途上国の製品を、フェアトレードのように同情で買ってもらうのではなく、
世界のトップブランドと同じようにその製品の価値を認めて買ってもらう、
その為には、一流のものを作れるひとを育て、その生き方に誇りを持ってもらう。
そのことが途上国への社会貢献につながるのだという強い信念のもと、
メイドインバングラデシュのバッグブランド
「マザーハウス」を立ち上げた女性、
そのひとが山口絵理子さん(28歳)なのです。
こんなにも自分の気持ちに一直線なひとがいるんだと驚きました。
入学してすぐから壮絶ないじめにあい、結局6年間一度も給食を食べられなかった小学校時代。
髪を染め、煙草をふかし、非行に走った中学時代。
名門の男子柔道部に頼み込んでいれてもらい、それこそ想像を絶する練習を重ね全国7位の座を勝ち取った高校時代。
偏差値40の工業高校から、これまた猛勉強して受かった慶應義塾大学。
竹中ゼミにも入り、ワシントンにある米州開発銀行でインターンとして働く。
エリート街道まっしぐらと思いきや、
途上国の援助をするのに、そこにいるスタッフが一度も途上国を訪れたことがないということにショックを受ける。
トップの人間が現場を知らずに理論だけで政策を作っている。
このものすごい違和感が、
その後の彼女の生き方を大きく変えていく。
彼女はPCに向かい
「アジア 最貧国」と入力し検索してみた。
でてきたのは
「バングラデシュ」
政治汚職度世界一と言われる最貧民国。
2週間の滞在予定で向かった先に、結局彼女はその後の人生のすべてを懸けていくことになるのである。
それまでもすごいが、バングラデシュに行ってからもまたすごい。
彼女がそこでみたものは、
絶望しか思い浮かばないような悲惨な現状。
それでも懸命に、生きるために生きている人たちの姿。
ここでも彼女は鍛えられていく。
なんどもなんどもこの国の人に裏切られる。
時間をかけて信頼関係を築き上げていってもだ。
なのにこのひとは打ちのめされ泣きじゃくりながらも、
また立ちあがってゆくのである。
常に一番を目指して競争に勝たなければと突っ走って来たという彼女が、
バングラデシュに行き、そこに滞在し、起業し、会社を経営する中で、その価値観を捨てたという。
そんなことはちっぽけなこと。
そして彼女がみつけたのは「自分自身が信じた道を生きる」ということ。
常によりどころとするのは尊敬する人の言葉でもなく、素晴らしい本でもなく
「自分自身」ときっぱり言い切る。
わたしは思う。
一番を目指しそこに向かって死ぬほど努力してきたからこそいえる言葉なのだろうと。
昨年3月に放送された情熱大陸。(
その2・
その3)
このなかにでてくる(その3)現地ディレクターのアティフ・デワン・ラシッド氏の言葉が実に印象深い。
それにしてもなんて笑顔が美しい人なのでしょう。
そして華奢な上半身にくらベ、どんだけ壮絶な練習をしてきたかを物語る下半身。
いやぁ~、ほんと驚きました「あきらめない」彼女の生き方に。
自分で見たものを信じる。
たしかにね。
わたしもそういう気持ち20代の頃ものすごくあったな~。
こんだけネット社会だと、ますますネットの中だけでなんでもわかった気になってしまいますよね。
情報に振り回されっぱなしのわたし、反省・・・。
うぉぉおぉ~、わたしも頑張らねば!
わたしだってまだまだやれる!そんな勇気が湧いてくる本でした。
10月には第2弾もでます。