烏鷺鳩(うろく)

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秩父鉱山の車骨鉱(Bournonite)

2018-04-11 | 鉱物
2017年の東京ミネラルショー(池袋)で、秩父鉱山のブーランジェ鉱と車骨鉱の共生標本を手に入れた。買ったのではない。なんと福引きで5等を当てたのだ。くじ運などあまり縁のなかった私が、よりによって秩父鉱山の鉱物を当てたのだ。これはすごい事である。「秩父鉱山の」というところが、2017年の「鉱物奇跡の年」(個人の感想)を象徴する。これが秩父鉱山に縁のあった出来事その2である。


ブーランジェ鉱と車骨鉱の組み合わせというのがやはり秩父鉱山らしい。何が言いたいかというと、単に自慢したいだけである。


ただしこの標本、車骨鉱が極小で、普段私はこれをルーペを使って観察しながら楽しんでいる。ルーペ無しではご覧になってもお気づきにはなるまい。



ほれ、この通り。緑色の矢印の先にその鉱物は存在する。(おそらく)方解石の白い谷間にちょこんと、遠慮深くくっついているのだ。ブーランジェ鉱はちょっとけばけばの立っている灰色の部分だから何となく肉眼でも確認できるのだが、車骨鉱の車骨具合をご紹介したいにも、スマートフォンのカメラでは限界がある。


というわけで、こんな物を買ってみた。



3コインショップにて5コインで購入。スマートフォンのカメラレンズにクリップで取り付ければ、接写、魚眼、ワイドの撮影が可能になるという優れものである。その優れ具合をさっそく試してみた。



なんと、車骨鉱の車骨たる所以である、歯車の刻みのような部分がはっきりと撮影できたのだ!ようやく私の自慢の車骨鉱が日の目を見たというものである。


それでは、車骨鉱について。
科学組成:CuPbSbS3
フランスの鉱物学者デ・ボーノン(J. L. de Bournon)にちなんで命名された。鉛、銅、アンチモン(Antimony)の硫化物で、重く黒い結晶の集合体や、十字形の透入双晶として産出する。特徴的な透入双晶の形から、歯車状の鉱石という意味の俗称を持つ。日本名はこの俗称の翻訳である(『岩石と宝石の大図鑑』p.144)


というわけで、上の写真は車骨鉱を真横から撮影した形になっている。歯車を横から見ているとご想像頂きたい。


おそらく、この辺りで、「車骨鉱」で画像検索をかけた方々がいらっしゃるであろう。


たとえ肉眼では捕らえられないほどの極小標本でも、私にとっては大事な宝物の一つである。今後もルーペ片手に観察を楽しむ事にしよう。



【参考文献】
・『岩石と宝石の大図鑑』 青木 正博 翻訳 (誠文堂新光社 2007年4月10日)

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