烏鷺鳩(うろく)

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モロッコの褐鉛鉱(Vanadinite)

2018-04-16 | 鉱物


杏の砂糖がまぶしてある白と黒のマーブルチョコレートケーキ。


最初にこの標本を見た時に、見た目の美しさから味覚までが刺激されたようだ。なんだか、褐色の褐鉛鉱(バナジン鉛鉱とも)が、砂糖菓子がきらめいているように見えたのだ。つまり、美味しそうに見えたのである。鉱物だけど。ブルガリアの鉱物屋さんのブースで、色とりどりの標本の中、ひときわきらきらと輝いて見えた。




雪の降り積もった黒い枝に、紅梅がほころび始めた、というようにも見えてくる。梅の花の香りが漂ってきそうである。


褐鉛鉱の結晶自体はどれも小さい。けれど、ルーペで拡大すると、六角形の板状の結晶がはっきりと確認できる。白いところは重晶石。「砂漠のバラ」でおなじみの鉱物だ。黒い部分は鉄か何かだと思われる。





赤・白・黒。モロッコの大地からやってきたお菓子の様な鉱物だ。だが、思わずぺろっとなめてはいけない。鉛の鉱物だからよろしくない。でも、「美味しそう」と思わずにはいられない。美しいけれどちょっと危険な鉱物。見る度に私の味覚と嗅覚を刺激してくれる。



【参考文献】
・『岩石と宝石の大図鑑』 青木 正博 翻訳 (誠文堂新光社 2007年4月10日)

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