烏鷺鳩(うろく)

切手・鉱物・文学。好きな事楽しい事についてのブログ

東京ミネラルショー 2018 (2018年12月14日~17日)〈1〉

2018-12-16 | 鉱物



「吉良殿、お覚悟!!」
元禄15年12月14日、316年前に赤穂浪士が吉良邸に討ち入りしたこの日、私は東京ミネラルショーの会場へと乗り込んだ!!
私は忠臣蔵が大好きなのだ。ちなみに、吉良上野介の「吉良(きら)」は「雲母」のことで、吉良の地元で雲母がたくさん採れることに因んだ名字なのだとか。


開場の45分前に到着したのだが、もうすでに200人は超えているかと思われる長蛇の列。今年も先着100名に配られるカレンダーはゲットできなかったが、良いのだ。もう既に私は夏の時点でカレンダーを購入していたのだ。「ジュラシック・ワールド 炎の王国」のカレンダーである。だから、もうすでにカレンダーについては満足である。
確かに、ミネラルショー名物の「鉱物カレンダー」は今年も素敵だった。写真がきれいなので大人気なのだ。いつか購入しようかなあと思っている。


列に並んでいる数十分の間、私はいつも本を読むのだが、いつもの事ながら、段々と頭に入ってこなくなるので途中で本をバッグにしまう。そわそわ落ち着かなくなってくるのだ。
チケットのもぎりとパンフレットの配布が始まるともう、頭は鉱物でいっぱい。一番最初に向かうお店の位置を頭の中で念入りに反芻するのみとなる。


さあ、いよいよ開場である!!
ここでダッシュなんかしたらいけない。人にぶつかるし、最悪の場合、石の並んだテーブルに激突し、お店の石をぶちまけてしまう。
だから、高鳴る心を抑えつつ、慎重に歩みを進める。


まず始めに、第一のお目当てであった”Bulgarian Minerals & Gems”のブースへ!!
こちらのお店では、去年、「水晶・方解石仮晶」を購入した。実はとあるアゲート(瑪瑙)を求めて尋ねてみたのだが、「新宿にはいつも持ってくるけど、池袋は持ってきていないんだ」と、お店の方が仰っていたのだ。
それでも、このお店、大変美しい標本を、たくさん揃えてらっしゃるので、前回にいっぺんで気に入ってしまったのである。並べ方も、鉱物の種類毎に揃えておくのではなく、色とりどりの標本を色のバランス良く並べてらっしゃるので、とても目を惹くのだ。

ところが、開場してすぐ向かったお店に、ブルガリアのおじさんがいない。仕方が無いので、並べられた鉱物を手に取って見せて頂いていた。と、あの、「オルフェウス・アゲート」が幾つも並んでいるではないか!!
もう「きゃー」といいたいほど嬉しくなってしまう。
「オルフェウス・アゲート」はブルガリアでしか採れない瑪瑙(メノウ)である。その色合いといい、インクリュージョンの複雑な美しさといい、憧れの瑪瑙であったのだ。

10分ほどして、おじさんがやってきた!!どうやらご飯を買いに出かけていたらしい。
そして今年もまた、ブルガリアのおじさんと鉱物話に花が咲く。
「去年、オルフェウス・アゲートのこと質問したのだけど」
「ああ。だから今年持ってきたんだよ」
嬉しい。覚えていてくれていたんだ。幾つもあるオルフェウス・アゲートを、おじさんは一つ一つ手に取りながら「これは、ここの部分がきれいだよね」とか、「この標本は完璧だ」とか、話が尽きない。とても悩んだ挙げ句、選んだのがこちら。



「オルフェウス・アゲート」のスライスと、「ブルー・アゲート」である。オルフェウス・アゲートの決め手は緑と茶色の部分のバランスと、まん中の樹木のようなインクリュージョンの見事さである。他の標本も甲乙付けがたく素晴らしかった。
そして、ブルガリアで採れるアゲートの中で一番珍しいという「ブルー・アゲート」。
「『サフィリン』と呼んでいるのさ。サファイアのようだからね。オルフェウス・アゲートよりも貴重だよ」
とおじさんが言っていた。透けるような淡いブルーが大変美しい。
「これはカボションに磨けばきれいな縞模様が現れると思う」とのことだ。半透明のブルーの層が、白い層を挟んでいる。一般的なブルー・レース・アゲートよりも透明感があり、一つ一つの層が厚みを持っているようだ。
「また来年お会いしましょう」と言って、おじさんと別れる。


次に向かったのは「アフガン・ブラザーズ」のブース。目当ては「ローマン・グラス」のビーズである。



こんな風に、美しいブルー・グリーンや紺色のガラスの破片をビーズに加工してある。
「ローマン・グラス」は、ローマ時代のガラス食器などの破片が、地中に長い年月埋まることでできた「銀化ガラス」と呼ばれる物である。銀化している表面の部分に、美しい虹色の光が現れる。大変面白いガラスなのである。
こちらのアフガン・ブラザーズでは、こうしたビーズ加工したものだけでなく、使用されていた当時のままの形で出土したローマン・グラスのカップなどがそろっているのだ。歴史のロマンみたいな物を感じる。まるで、ショーケースが博物館の一画のようで、見ているだけで嬉しくなった。
おまけに、「ラブラドライト」のブレスレットを頂いた!!


まずは、第1会場をぐるっとする。と、「グレープ・カルセドニー」がたくさん並んでいるお店発見!!
その名の通り、葡萄のように球状の結晶がつぶつぶとくっついた、薄紫色のカルセドニーである。数年前にインドネシアで発見された鉱物だ。実はこれ、以前、イギリス人の女性がビデオ・ブログで紹介されているのを見て、興味をもった鉱物なのだ。
割と大きめで、きらめきもある標本なのではないかと思う。


第1会場を後にして、CORO CORO STONEさんに会いに第2会場へ行く。
こちらの会場もすごい人だかりである。挨拶をして、ふと目にとまったのが「アホーアイト・イン・クォーツ」。極小のマイクロマウント標本である。
このアホーアイト、アホー石とか、アホイトとも呼ばれているのだが、超希少鉱物らしくて、そこそこの大きさだと、かなり高額になる代物である。それが、こんなお手頃価格で手に入るとは!!「ラッキー」とすぐさま手に取る。



左下のちびっこいケースが「アホーアイト・イン・クォーツ」である。私にはルーペという強い味方が付いているために、こうした極小結晶も「どんと来い」なのだ。
「小さいけど、しっかりミントグリーンのアホーアイトが確認できますね」と、ここでも店長さんと石話で盛り上がる。こういう、お店の人と石に関する色んな話をするのも、ミネラルショーの醍醐味の一つだと思うのだ。その醍醐味を存分に味わう。


第2会場を見て回る。チェコからいらしたブースで、これまたおもしろ鉱物発見!!
「クリノクロア・クォーツ」である。両錐水晶の表面をクリノクロアが覆って、黒っぽい緑のきらめきを放っている。これはあとでじっくりと調べてみたい鉱物だ。
お店の人によると、これは2年位前にロシアで発見されたのだという。まだまだ地球上には未知の鉱物が埋まっているのだ!!何というロマン。


さてさて、ここからもまだまだ続くので次回へ。

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