空の色

Ricaの気まま日記と詩の世界

『LOVE ASIA 花びらの舞う海へ』:レビュー(バレ有り)

2005-05-07 01:41:14 | ドラマ・映画(ネタバレ有もあり)
『LOVE ASIA 花びらの舞う海へ』

ソニーミュージックエンタテインメント

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2004年2月、フジテレビ系列全国28局にて放送され
         反響を呼んだドキュメンタリードラマ
(西日本テレビLOVE ASIA三部作 第一作 ~海~ )

監督:瀬木 直貴
出演:
  • 柏木 洋介:西島 秀俊
  • バハリ・スガンダ:ヒム・ダムシッ
  • 塚山 由美:板谷 由夏
  • 柏木 耕造:小松 政夫

    [あらすじ]
    柏木洋介(西島秀俊)は8ヶ月前に勤めていた東京の製薬会社を辞め、
    何をするもなく、目的の無い日々を送っていた。
    ある時、ジャカルタの商社に勤める友人の元を訪ねるため
    ひとり、インドネシアを訪れることにした洋介。
    しかし、生憎、友人は出張に出ていて2週間戻らないと言う…。
    途方にくれた洋介はしかたなく街を歩き回り、あるレストランに入る。
    しかし、洋介は現地の通貨、ルピアを持っていなかった。
    言葉もわからぬまま店員ともめるうち、奥から日本語を話す、
    店のオーナーが出てきた。
    彼の名はバハリ・スガンダ(ヒム・ダムシッ)。74歳になる老人だった。
    バハリは洋介の事情を理解し、自宅に洋介を泊めることにした。

    インドネシア2日目の朝、バハリと彼の店の店員が何やらもめている。
    店員が言うには、バハリが心臓の病気を患っているというのに
    ひとりで長旅に出ようとしているため、それを止めているのだった。
    店員の言葉には耳を貸さず、あくまで旅に出ると意思を通すバハリ。
    事の成り行きで洋介が付き添えば大丈夫だとバハリが店員をなだめすかし、
    ともにフローレス島まで旅に出ることになった。
    フローレス島までは飛行機では数時間で到着するのだが、
    バハリは飛行機は嫌いだからと、陸路と海路で向かうのだと言う。
    それでは10日間はかかる長旅だった。
    バハリは洋介にフローレス島にいる息子に会いに行くのだと告げた…。
    息子は30歳。洋介と同い年らしい。

    旅の途中で、バハリと洋介が宿を探している時に日本人女性、由美(板谷由夏)と出会う。
    由美は自分が泊まっているという宿を紹介してくれた。
    彼女はアパレル会社に勤めていて、休暇をとって織物、
    中でもインドネシア伝統のイカットという織物の勉強をするために
    インドネシアを訪れているのだと言う。
    洋介はひと時、3人で一緒に旅をしていくうちに自分の中を見つめなおし始める。
    そして由美は一足先に自分のやりたいことを見つけ、去っていく。
    一つの目的を持って旅をしている由美と比べて、
    時間を費やすだけの自分に洋介は焦りと憧れを感じた。
    『自分は何のためにココに来ているのか』

    洋介は父、耕造(小松政夫)の言葉を思い出していた。
    耕造は洋介の実家である福岡県糸島で船の船長をしていた。
    そんな父とは母の命日で帰省した折、久しぶりに耕造と言葉を交わした。
    『会社辞めて、何かやりたいことでもあるとか!!』
    耕造は洋介が8年勤めた会社を辞めたことに対し、厳しい言葉を掛けた。
    洋介ははっきりとそれに返答することができないまま。
    そんな耕造に洋介は『父さんのようにはなりたくない』と
    言ってしまったのだった…。

    由美と別れて数日、バハリと二人で乗った船であるものを見つける。
    その船はいたるところに日本語があふれていた。
    洋介は船が日本のどこを航海していたのかを知りたくて、
    船長から航海日記を見せてもらう。
    すると、その船は壱岐と博多を往復していたのだ。
    ふと、父、耕造の記憶が蘇える。
    そして思わず、その日記を自分の父が書いたのだと船員に話す。
    何冊か日記を開いていくうちに見つけたそれは洋介の目から涙を溢れさせた。
    航海のさなか、息子が産まれ、『洋介』と命名したと記述されていたのだ。
    それは紛れも無く、洋介の父、耕造の書いたものだったのだ。
    あの日、反発して父にツライ言葉を浴びせてしまった洋介。
    その後、父は急逝し、それが最後の言葉になってしまったことを
    洋介は深く後悔していた。

    やがてフローレス島にたどり着いた二人。
    しかし、バハリが心臓の痛みを訴え、急遽、病院へとむかう。
    洋介はバハリを気遣い、息子に連絡したいから連絡先を
    教えてくれるよう、バハリに話した。
    しかし、バハリの口からは意外な答えが返ってきた。
    なんと、息子は1年前に死んだのだと言う。
    時折、海を遠い目で見つめていたバハリ。
    そこに彼は息子の面影を見ていたのだろうか…。

    バハリの旅の目的は彼の命日にフローレス島付近のとある島の沖で
    遭難してしまった息子を弔うためだったのだ。
    息子のいる海に花びらをまくこと、それがバハリの息子への弔いだった。
    それを知った洋介は病に倒れたバハリのために代わりにひとりでその島を探す。
    しかし、言葉もわからず、苦戦する洋介。
    ある村人に丘の向こうに日本人がいることをきき、
    すがる思いでひたすら歩き続ける洋介。
    見つけた日本人はフローレス島で真珠養殖を営む名取という男だった。
    そして彼の協力を得て、やっとのことでバハリの言っていた島を見つける。

    洋介はさっそく島へとバハリを連れて行く。
    バハリは事情を話して島の村長に小船を出してもらうことに。
    島の人の協力を得て、バハリの乗った船は島の沖へと漕ぎ出す。
    そして、透き通る青い海に黄色や赤、白の花びらをまいていく。
    それを洋介は丘の上から眺めながら漠然と思っていた。
    『今日、初めて海に出会った気がする。
    この海が僕と大切な何かを繋げてくれた気がする』
    そして、自分も海にかかわる仕事をしたいと。
    青い海を目の前にし、亡くなった父を思い出しながら、
    洋介は、インドネシアの海で温かくて大切な何かを見つけた…。
    -------------------------------------------------

    [作品レビュー]
    ロードムービーと言うことで、現地の人とのふれあい、
    または、同じたび仲間との出会いを通して
    主人公が父との絆の大切さを思い出していく物語です。

    インドネシアの美しい海や、その海ではしゃぐ子供達。
    とてもキレイな光景がたくさん出てきます。
    そして、何よりも現地の人々のそのままの生活も見ることもできます。
    「作られたもの」よりも「そこにあるもの」が表現されていたことが
    とても私は好きでした。
    #もちろん、映画として「作られたもの」も好きですが、
    この作品ではドキュメンタリードラマとしての描き方が心地よかったです。

    洋介が東京で製薬会社の営業が肌に合わなくて辞め、
    何の目標もなく、ただ空っぽのままインドネシアを旅しながら
    自分の中の答えを見つけていく姿がとても印象的でした。
    誰だって人生の目標を無くすことってあると思います。
    ただ、忙しいだけの時間が流れていく中で、
    ふと気がついたとき自分は何のために生きていくのか、と
    自分に尋ねたとき、その答えが出てこない。
    洋介はまさにそんな感じで、由美にどうして会社を辞めたのか聞かれた時も
    どこかぎこちない答え方をしていました。
    洋介と違って由美は悩みながらもある目標に向かって旅をしているわけだから、
    洋介が引け目を感じてしまうのもわかります。

    遠くへ自分探しの旅に出て見つけた答えって案外
    一番近いところに既にあったものなんじゃないかなぁって感じました。
    近すぎてわからないって言うか、遠回りしないとわからないって言うか。
    そんな不器用さが人間っぽい感じで好きなんですが(^-^)
    そして答えを見つけたときにはそれを再確認して、
    迷って、悩んで、苦しんで…、でもその分だけ大切にしていける。
    #まさに親子の絆はそうなのかもしれませんねぇ~。
     当たり前すぎて時折、忘れてる感じが(>_<)
    素敵なドラマだなぁ、と思いました(^-^)
    とても温かくてジーンとする作品でした。

    そして、西島さんがとてもナチュラルにインドネシアを歩いて、
    旅をする姿がとても溶け込んでして素晴らしかったです。
    海辺で船に乗る子供達を笑いながら見てたり、
    バイクで島の道路を走る姿とか、
    あまり見たこと無かった姿だったので新鮮でした☆
    民族衣装もとっても似合ってたし(^ヮ^)
    ホントに旅をしているみたいで、ドラマじゃないみたい!!
    父の航海日記を見つけるシーンではまた涙が零れてしまいましたー。
    西島さんの演じる涙のシーンには今のところ、全戦全敗です!

    やっぱり、カッコよかった~(^ヮ^)
    海がとっても爽やかで、海と西島さん、とても素敵でした!!
    ナレーションも西島さんだったし♪
    個人的には西島さんの博多弁も聞いてみたかったです(^-^)
    小松の親分はさすがにはまり役でした♪
    -------------------------------------------------
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