正相増幅は、入力を⊕端子に加えるので出力が入力と同相になる。新たに導入した「Isht」を正相増幅器でも通用するか確認のためアップする。
☟仮想短絡素子「Isht」を用いた正相増幅器の動作説明である。
・「Isht」を用いることで計算が容易になることが確認できる。
正相増幅は、入力を⊕端子に加えるので出力が入力と同相になる。新たに導入した「Isht」を正相増幅器でも通用するか確認のためアップする。
☟仮想短絡素子「Isht」を用いた正相増幅器の動作説明である。
・「Isht」を用いることで計算が容易になることが確認できる。
最近の一種、二種はオペアンプの出題が散見される。時の流れから三種にも出題されると考えられる。オペアンプ(演算増幅器)は、アナログ計算機の演算素子として研究開発されたものであり、回路に演算を行わせる方法はアンプの理想形を追求し、外付け部品を工夫することで可能となった。(その特徴は、内部と関係なく外付け部品のみで決まる性質にある)
・理想的な増幅器として開発されたオペアンプは、入力インピーダンス∞、出力インピーダンス0、利得∞、帯域幅∞である。
・主なテーマは、理想的な増幅器の内部構造を知ることで合理性のある新しい「仮想等価素子」を導き出し、仮想素子による「オペアンプ等価回路」の提案と、オペアンプの計算問題に応用することにある。
☟ブロックダイヤグラムからOPアンプには二つの入力があり、これを差動増幅器が受け持ちオペアンプの特徴の一つである入力インピーダンス無限大の実現に寄与している。
・2入力を単一出力に変換するのはカレントミラー回路であり、2-1変換を効率よく行い、かつ差動増幅器の性能を最大限に引き出すと同時に次段に伝達している。
・高利得アンプは、ダーリントン回路と定電流源をコレクタの負荷抵抗とみなして利得の無限大化を目指している。
・出力段はSEPP回路を用いることでインピーダンスを限りなくゼロに近づけて第二の仮想素子「VIany」の等価回路を得ることができる。
☟上記の理想増幅器を具体化したIC(μA741,NEC)の等価内部回路である。一見難しそうに見えるが、差動増幅とカレントミラー回路は難易度が高いが、それ以外は定電流源・定電圧源とSEPP回路で構成されている。(回路図はNECデータブックを元に独自に作図したものであり、TR番号等は異なる)
☟オペアンプの記号とその特徴を示す図である。何故か電験用はロジック回路のFF記号に見える「けったいな」記号を使っている。
<新しい発想と等価回路>
・一般にオペアンプの入力端子間は、電流=0で、電圧=0と、押し付けるだけで「何故?」の答えを知らないままに取り扱うので、難解に感じてしまう。
・μA741の等価回路を解析すれば、電流=0,電圧=0の不可解な現象の答えが見えてくる。
・まず、入力インピーダンス無限大は内部等価回路のAブロック差動増幅器のエミッタに定電流源を接続して差動増幅器の能力を最大限に高めることで実現している。
・入力インピーダンスが無限大と、みなせれば電流=0が成立つのである。次に差動増幅器は左右対称であり、入力電圧は平衡し、等しくなるので電圧=0となると考えられる。(差動増幅器回路の説明図を参照)
・以上の事を考慮して電圧=0、電流=0の入力端子の状態は、オペアンプの内部に「仮想短絡素子」が等価的に接続されていると考えることが、合理的である。
・電流=0で電圧=0という二面性をもつ状態を新たな「仮想素子」として取り入れて「仮想短絡素子」を記号化して「Isht」として取り扱う方法の提案である。
・慣れるまで戸惑いもあるが、慣れると、回路計算が容易に行える。
☟新たな仮想素子「Isht」と「VIany」を導入した基本等価回路図である。
☝オペアンプ内部は多数のTRとダイオードおよび抵抗・PN接合容量等で構成されているが、全体を高利得なブラックボックスとして扱う。ただし、入力端子と出力端子には新たな考え方が要求される。
・入力端子間は、電圧ゼロボルトであり、かつ電流ゼロアンペアである。こんな素子はいままで扱ったことが無かった。(これがオペアンプを難解にしている要因でもある)
☟二面性(二重性)の要素を同時に持つ入力端子は、入力端子間に「Isht」という新たな仮想素子がつながっていると、考えて回路計算を行うことが合理的である。
☟入力端子間に仮想素子「Isht」接続した計算方法で「Isht」の合理性を確認する作業から始める。ポイントは二面性(二重性)素子「Isht」を用いた等価回路を作成する。(電圧&電流の任意素子「VIany」は、外部条件であるV2になるので今は考えない)
☟計算作業は「Isht」等価回路に基づいて行うが、入力電圧(入力信号)と入力端子であるP点だけを抜き出して考えることが、第一作業である。二面性の電圧=0を利用してR1に流れる電流を計算する。
☟次に「Isht」の二面性の電流=0に着目する。R1を通ってP点に流れ込んだ電流はP点が「Isht」であり、電流=0の条件からキルヒホッフの法則によりP点に流入した電流の全てがR2へ流れることになる。
☟以上の計算過程をまとめると、下図のようになる。出力端子には「VIany」なる第二の仮想素子がつながっている。
・第二の仮想素子は「電圧&電流が任意の素子」であり、外部の条件で任意に決まる。これは出力インピーダンスがゼロオームの条件からつくり出された仮想素子であると考えることが合理的である。
・この例では出力V2の電圧になる。「VIany」は便宜上つけてあるが、実際の扱いでは出力の条件で決まる任意素子であり、計算過程で気にする必要は無い。
・この仮想短絡の考え方を単なる現象でなく新たな「等価素子」して具体的に扱う方法を用いれば、オペアンプの計算はオームの法則とキルヒホッフの法則で簡単に解くことができる。2種レベルおよび1種レベルでも可能である。
・入力インピーダンス∞の説明は、差動増幅器の詳細な解説が必要であり、A4数ページの量なので割愛する。
(差動増幅器はエミッタ抵抗が大きいほど性能が向上するので、エミッタに定電流源を接続すると、∞の抵抗が接続されたと等価になり、入力インピーダンスも∞とみなせることがZin≒∞のヒントである)
・前段の差動増幅器の能力向上にカレントミラー回路が貢献しているが、この回路の明快な解析書籍に出会っていない。
・カレントミラー回路の解析に取り組むと、半導体回路が電流素子であることを思い知らされる。電圧思考から電流思考への切り換えを要求される。
<追加項目>別々になっていたオペアンプの追加を合わせて再掲である。
差動増幅の解説は、内容が多すぎるので割愛したが、二面性のイメージに役立つと思える回路図の作成を試みた。
☟(a)図はμA741の内部等価回路から基本部分を抜き出した。
※差動増幅器は、最も優れた増幅回路に属すると、考えられる。真空管時代から使用されていたが、特性を揃えることと、温度環境まで考慮した実装等に高度な技術が要求されるためアマはオーディオ回路以外で使用する例は稀であった。
・IC化により特性のバラツキや温度環境が一様に出来ることと、定電流源が容易に構築できるため差動増幅器が多く用いられるようになったと理解される。
(IC化のために差動増幅器が開発されたのではないことを付け加える。IC化⇒差動増幅器の書籍がある)
・定電流源の内部インピーダンスが無限大とみなせることで、差動増幅の能力が最大限に引き出されている。(カレントミラーも貢献している)
令和元年(2019年5月20日)に新SI単位が施行された。130年間使われてきたキログラム原器が、実用の世界から文化遺産に変わった日である。穿った見方をすると、単位の世界が、古典力学から量子力学へと切り換った日でもある。
・タイトルの太陽光発電とは無関係に思えるが、蛍光灯の生産が終了し、照明の主役はLEDへと変遷する。LEDは、電圧を掛けて発光させるダイオードであり、太陽光発電は光のエネルギーを電気に変換するダイオード(セル)を組み合わせて大きな電力に変換している。
・新SI単位のキログラムは質量の単位であり、その基準はプランク定数が採択された。光子エネルギーが質量の単位基準に変わったのである。キーワードは「光」で三者がつながる。
☟太陽光発電のブロックダイヤグラムの一例を雑誌で発見した。
☝太陽光発電は光-電気変換であり、半導体の応用である。
TTL-IC用の5V電源、オペアンプ用の15V電源には3端子レギュレータのアナログ回路も使用されているが、パソコンはじめ多くの安定化電源はスイッチング電源に置き換わっている。
個人が自作するにはアナログ安定化電源が適している。スイッチング電源は設計&装着技術が高い壁となっている。
☟下図は基本的なスイッチング電源のブロック図の一例である。ダウントランスを使用せずに商用電源を直接整流して用いるのが一つの特徴である。商用電源のダウントランスはコスト面と、容積的に問題点が多くあった。
☝駆動トランスと絶縁トランスを用いているが、スイッチング周波数が高いのでトランスは小型化できる。駆動トランスは安全性を考慮しているが、フォトカプラを使用したり省略する場合もある。
・PWMはパルス幅変調制御の略称であり、パワーエレクトロニクスでは多用されている方式である。
☟下図は基本回路である。TRをスイッチとして直流をON-OFFしている。チョッパ回路の基本構成であり、Lrとフリーホイリングダイオードを利用した「降圧チョッパ」になる。
☝制御部はIC化されている。三角波は方形波を積分することで容易に得られる。
チョークインプットは整流回路方式の一つで、多くの整流回路はコンデンサインプット回路であるが、回生エネルギーを利用する目的がありチョークインプットを採用している。また、負荷抵抗およびLrとコンデンサCで積分回路を構成てリプル分を軽減している。
☟下図は比較波形として三角波の傾斜部を利用して基準電圧とのズレを誤差増幅で増幅した制御信号でスイッチグTRのON-OFF間隔を決めている。
波形で確認すると出力V0が高い方向に変化した場合は、ONの期間を短くして平均電圧を下げる方向に制御する。低い方向の変化の場合はその逆の動作となる。
※このパルス幅で出力を制御する考え方は重要である。