日経新聞に取り上げられていたモーツアルトの魔笛のDVDを入手しました。
好みの問題ですが、DVDは耳と目を楽しませてくれますが、繰り返し鑑賞するにはCDの方がすきです。
クラシックDVD名盤セレクション2021(初回生産限定)
グルベローヴァ、サヴァリッシュ/モーツァルト:歌劇『魔笛』
『魔笛』は、オペラの最高傑作として最も親しまれ世界中で頻繁に演奏されていますが、ユニテル原盤によるこの『魔笛』は、1971年以来バイエルン国立歌劇場の音楽監督をつとめていたサヴァリッシュの指揮、エファーディングの演出、ローゼの装置で1979年に始まったプロダクションです。グルベローヴァ、ポップ、モル、アライサをはじめ、最高の歌手陣、メルヒェン風の幻想とフリーメーソン的な思想性を融合したエファーディングの演出、そしてローゼの夢あふれる美しい装置が一体となって、磨きあげられた見事な舞台を作り上げています。(メーカー資料より)
【収録情報】
● モーツァルト:歌劇『魔笛』全曲
ザラストロ…クルト・モル(バス)
タミーノ…フランシスコ・アライサ(テノール)
夜の女王…エディタ・グルベローヴァ(ソプラノ)
パミーナ…ルチア・ポップ(ソプラノ)
パパゲーノ…ヴォルフガング・ブレンデル(バリトン)
パパゲーナ…グドルン・ジーベル(ソプラノ)、他
バイエルン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
ヴォルフガング・サヴァリッシュ(指揮)
演出:アウグスト・エファーディング
装置、衣装:ユルゲン・ローゼ
制作:1983年、ミュンヘン(ライヴ)
映像監督:ペーター・ヴィントガッセン
収録時間:159分
片面2層/COLOR/4:3/NTSC
音声:1. リニアPCMステレオ、2. DTS 5.1chサラウンド
字幕:1. 日本語、2. ドイツ語
※星5のコメント-1
映像が古くなったとはいえ、魔笛の良い映像の一つには確実に数えられるこのDVDが、字幕付きで廉価で購入できるのは有難い。
指揮も配役も良いが、特に夜の女王役のグルベローヴァは最高で、彼女の歌唱を味わうだけでも見る価値がある。演出もポネルに迫るなかなかのもの。衣装も含めて違和感はない。
※星4のコメント
魔笛は、ザルツブルクで数回、シュットゥットガルトの来日公演などライブで一番見ているオペラですが、最近のドイツ系の斬新すぎる演出を見る前にやはりオーソドックスなものを見ておくほうが良いと思います。その意味では、この盤はなにかが抜群によいとまではいいきれませんが、非常にバランスよくまとまっているのでお勧めです。
※星5のコメント-2
皆さんのレヴューを拝見していると、評価はともかく、どれも的を得ているので感心しました。私は、魔笛はMozartの最高芸術の一つだと思っているのですが、その理由は、①後宮、フィガロ、コジ、ドン・ジョヴァンニは人間の煩悩がテーマになってましたが、本作はメルヘンの題材にし人間愛を歌っておりMozartの到達した精神性を表していること。
②ストーリー展開はやや困難な部分があるものの、音楽には冗長さがなく、まるでクリスタルのような純粋なMozartのエッセンスが凝集されていること。そこにはMozart特有のアイロニーもちりばめられていること。
③当時の貴族社会でフィガロのような反骨的な部分から、恐らくMozartが目指した一般大衆への彼のメッセージが台本も含めて込められていること。例えは適切ではないかもしれませんが、Beethovenの第9のような位置づけの作品だと思います。
そのために、色々な解釈が可能であり、また歌手、オケ、演出に、他の作品よりも一段と高いレベルが要求されるのだと思いますし、どの演奏でも評価が分かれる所以だと思います。 さて、LD時代から愛聴するこの演奏は私はこの演奏は大好きで、聞いた中では最高の評価です。もちろん、アライサよりシュライヤーやヴンダーリッヒのほうが良いという人はいるでしょう。グルベローバは当代最高の夜の女王だと思いまし、ポップのパミーナも非常に可愛らしい。モルのザラストロもすばらしいです。
パパゲーノ、パパゲーナも演出にぴったりです。本作のように、脇役も非常に重要な役割をもつ場合のオペラは、特に実演では全てにベストを揃えるのは現実には困難と思います(聞き手の好みもありますし)。
マエストロ・サヴァリッシュの演奏も非常に手堅く決して煽るような演奏ではなく(聞き手によっては逆に退屈かも)、本作品の本質を捕らえて、演出歌手の特性を上手く引き出した演奏だと思います。 私の好みでは、この演奏を超える演奏は未だに経験していません。
☟こちらはCD版です。指揮者、キャストは異なります(夜の女王はルチア・ポップ)
クレンペラーと超豪華キャストによる名盤『魔笛』が、お買い得価格になって再発売
『魔笛』という作品の奥深さ・可能性をいろいろと体感させてくれる演奏。舞台の無いレコードでは必要無いと、台詞を全部カットした結果、モーツァルトの音楽が連続することとなり、それぞれの曲が切れ目なしに続々登場するのは、雰囲気の持続という意味合いでもやはり効果的。
さらにそこで示されるクレンペラーの解釈もユニークで、通常コミカルな“フムフム...”といった曲でさえ、実に美しい響きと複合的な構造を持つことを如実に知らしめてくれるあたり、まさに比類がありません。
歌手陣も粒揃いで、共にデビュー間もなかったルチア・ポップの可憐な夜の女王に、ヤノヴィッツのどこまでも透明なパミーナ、こわいほどの迫力を備えたフリックのザラストロに、ゲッダによる端正なタミーノ、ベリーの愉快なパパゲーノ等々。侍女にまでシュワルツコップ、ルートヴィヒ、ヘフゲンというのような豪華なキャスティングはまさに超ド級。
余談ながら、このようなキャスティングとヘヴィーな演奏により、近年の演出でときおりみられる“夜の女王側=善”、“ザラストロ側=悪”という雰囲気が濃厚に感じられるのもこの録音の大きな特徴といえ、多層的な意味合いを持つとされる『魔笛』の様々な面が示された演奏としても、その価値には大きなものがあると思います。(HMV)
オリジナル・マスターテープより、2016年アビー・ロード・スタジオ24bit/96kHzリマスター音源使用。
歌詞対訳は付いておりません。(輸入元情報)
【収録情報】
● モーツァルト:歌劇『魔笛』 K.620 全曲
ニコライ・ゲッダ(タミーノ)
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(パミーナ)
ヴァルター・ベリー(パパゲーノ)
ルチア・ポップ(夜の女王)1993年54歳(闘病後没)
ゴットロープ・フリック(ザラストロ)
フランツ・クラス(弁者)
エリーザベト・シュヴァルツコップ(第1の侍女)
クリスタ・ルートヴィヒ(第2の侍女)
マルガ・ヘフゲン(第3の侍女)
ルート=マルグレット・ピュッツ(パパゲーナ)
ゲルハルト・ウンガー(モノスタトス)
カール・リープル(第1の武者)
フランツ・クラス(第2の武者)
ゲルハルト・ウンガー(第1の僧侶)
フランツ・クラス(第2の僧侶)
アグネス・ギーベル(第1の少年)
アンナ・レイノルズ(第2の少年)
ジョゼフィン・ヴィージー(第3の少年)
フィルハーモニア合唱団(コーラス・マスター:ヴィルヘルム・ピッツ)
フィルハーモニア管弦楽団
オットー・クレンペラー(指揮)
録音時期:1964年3月、4月
録音場所:ロンドン、キングズウェイ・ホール
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
音源:オリジナル・マスターテープより、2016年アビー・ロード・スタジオにて24bit/96kHzリマスター
※星4のコメント
クレンペラーが指揮した永遠の名盤がシングルレイヤーSACD化された(ハイブリッド盤ではない)。この録音では全ての台詞がカットされているので異を唱える人もいるし、確かにその気持ちもよく分かる。しかし、ここで聴かれる演奏が魅力的であることについて、否定する気はさらさら起きない。2016年リマスターの通常CDでも充分に素晴らしいと感じたが、SACD化によって更に一段と豊かな音響に恵まれたと言って良いと思う。ただし、広く奨めるには価格が高いこと、その割には通常のプラケース収納であり高級感がないこと、解説書にも大したことは書いていないこと等を考慮し、星4つとした。
※星5のコメント-1
クレンペラーのモーツァルト・オペラの中では、一番抵抗のない名演。やはりイタリア・ブッファよりドイツ・ジングシュピールの方が体質にあっているのだろう。魔笛は有名な割には十全な全曲盤が少なく、私は魔笛を聞きたくなると、クレンペラー盤かショルティ盤を聞いてきた。台詞が省略されているのも不満と言えば不満だが、カラヤン、ベームの旧盤もそうであったことを思えば1960年代にはまだ、こうした音楽以外のものは、レコードには不要と思われていたのだろう。ただ一流の歌手たちは、台詞を語っても一流ということが、他のレコードや実演などからわかっているので、省略されているのはやはり残念というしかない。
コロラトゥーラから始めたポップの夜の女王はすばらしく、後宮のブロントヒェンとならぶこの分野の貴重な記録といえよう。この後、よりリリックなパミーナやスザンナ、さらには伯爵夫人やアラベラなどよりドラマチックな世界にひろがっていったのだ。他の歌手も綺羅星のごときすばらしさで、歌手のバランスのよさに関しては他のどんな全曲盤より優れているといえよう。録音後50年あまり過ぎても、少しもその生命と魅力を失わない貴重な録音と言える。
※星5のコメント-2(辛口コメント?)
LPもCDも持っているが、シングルレイヤーを買って良かった。音が柔らかいし、一つ一つの楽器がよく聴こえる。逆説的だが、数多くのスキャンダルにまみれたクレンペラーだから、無垢な音楽になるのだろうか。クレンペラーが指揮するマーラーの交響曲やスコットランド、ローエングリンに通じるものがある。確か、クレンペラーの80歳を記念して、当時のEMIが総力を結集して録音したものと思われる。そして、レッグが関わる最後となるもので、録音が始まるとレッグは一切口出しをさせてもらえず、締め出されたらしい。
真のオペラファンはセリフなしを好まないのだろうが、真のクラシック音楽好きはセリフを好まない、と言えば反感を買うだろうか。歌詞はメロディのしもべであるならば、音楽のないセリフは要らない。
解説の堀内氏は一流のオペラ評論家らしいが、本演奏のLP発売時、同じ曲のベーム盤の方を買って良かった、と自慢げに書いている。この人は一流のオペラ好きで、一流のクラシック音楽評論家ではない、と言いたい。堀内氏は当時の主流はカラヤンで、対抗がベームと書いている。笑止千万。
※現役のオペラ歌手ではアンナ・ネトレプコが好きですが、「夜の女王」役は無いようです。
今は亡きルチア・ポップ&エディタ・グルベローヴァの歌声は魅力的に思います。
因みに、ルチア・ポップのデビューは、魔笛の夜の女王役で1963年クレンペラーの指揮とあります。