ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

感謝の気持

2017-12-29 | アメリカ事情
http://kimchilds.com
 
 
 
 
 
「ポリアンナ」と言うデイズニーの映画がある。エレナ・ポーター原作「少女パレアナ」の映画化で、ヘイリー・ミルズがポリアンナを演じている。この中で、ポリアンナは、Glad Game(よかった探し)を提唱・実践して頑なだった人々の心を溶かし、幸せな気持ちへ変えていく。 
 
 
しかしながら、心理学では、ポリアンナ症候群と称する用語を用いて、楽天性の負性を表し、現実逃避の一つとさえ言う。ウィキペディアによれば、ポリアンナ症候群は、
  • 直面した問題の中に含まれる(微細な)良い部分だけを見て自己満足し、問題の解決にいたらないこと」
  • 「常に現状より悪い状況を想定して、そうなっていないことに満足し、上を見ようとしないこと」

などを指すそうである。

 

ところが、この正反対の意味で、「ポリアンナ効果」がある。1964年に合衆国のチャールズ・E・オズグッドと言う心理学者が、否定的・悲観的・後退的な言葉よりも、肯定的・楽天的・前進的な言葉の方が、人に肯定的な大きな効果をもたらす、と例えた。ウィキペディアによれば、この見方は、一般的には、

  • ポジティブな感情を伴った記憶ほど思い出し易く、ネガティブな感情を伴った記憶は思い出しにくい。
  • 一般に人は肯定的な評価を好む。
  • 否定的評価は肯定的な評価に比べて集まりにくい。

などを指すそうだ。

 

こうした対極的な心理学用語は、二つともポリアンナ(パレアナ)から来ている。ところが原作や映画では、ポリアンナが現実逃避や自己満足で「よかった探し」をしているのではない、と読者や鑑賞者は気がつく。難しい心理学的説明なしに、人生を歩いていくに必要な勇気ややる気を持たせることだ、と気がつく。そこに自己満足や現実逃避があるとは思えない。

 
このGlad Gameに似ている、Gratitude Journal(感謝日誌)がある。どんな状況にあっても、人は多かれ少なかれ、毎日何かに対して、ありがたい、と思うことがある。雨の降る前に干してある洗濯物を取り入れられた、とか、今日美味しい野菜が安く手に入れられた、とか、あるいは一つも期待していなかった人からの親切、と何かしらあるものである。それらを毎日(あるいは毎晩)書き出して、ジャーナルにしていく。ノートブックでは続かないのなら、メモに書いて、折ってから、メイソンジャーに入れていく。
 
 
 
 
https://blog.honest.com
 


これは、脳に感謝の気持を持つことを探し始めさせる。つまり感謝日誌や感謝のメモを入れる感謝ジャーは、脳に一つの課題を与えることになる。Live Happyと言う雑誌の科学編集者ポーラ・フェルプスは、「私たちは生まれつき、自然に否定的な偏りを持ってきています。これは、私たちに何をしたら、悪い方向へ向かい、生存を脅かすのかを、考えさせ、それを回避する努力をさせる効果があるのです。それが私達の生存できる助けになるのです。その否定的偏っている脳を感謝日誌を続けることによって、私達の世界の見方を肯定的に変えられるのです。」
 
 
ポーラ・フェルプスは、感謝日誌を9年続けていて、好結果を得ていると言う。彼女が推薦するやり方は、感謝のメモを簡潔に手短にまとめ、日々三つほどの新しい(感謝している)ことを書き留めること。これらをノートに書き込んだり、メモをジャーに入れていく。二人の医学博士、ランディー・サンソンとローリー・サンソンは、医学ジャーナルの「精神分析」に幾多の感謝研究の結果を次のように分析している。
 
 
 
この感謝研究に参加した人々は、感謝に対して特に注意を払わない人々に比べて、人生の小さなことにも感謝の念を持つことにより、幸福で健康な状態や人生への満足度をさらに高めている」と、両医学博士は報告している。


こんな効果は、ポリアンナの「よかった探し」に似ている。それが現実逃避や自己満足とは私には思えない。科学者を揶揄するわけではないが、楽天主義の負のサイドを根掘り葉掘りするよりも、どんな小さなことにも喜びを見つけていける人間の強さに焦点を当てることの方が、私は好きだ。

 

 

 


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