ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

夏の仕事

2020-07-07 | 手作り

vancourier.com

 

 

先週、やっと杏のフリーザージャムを作り終わったが、今週は白桃が山のようにキッチンにあるので、ホームメイドのピーチアイスクリームを作ることに。うちの些少果樹園は、Bountiful(豊富な、潤沢な)という名前をあげるべきかもしれない。ストーンフルーツ(桃、ネクタリン、杏など)は夫がせっせと間引きして、少数でもなるたけ大きな実をつけさせようと頑張っていたにも関わらず、たくさん実をつけてくれた。私の好きなイチジクも鈴なりで結構大きな実をつけてくれる。冬には柑橘類が豊作だったし、レモンは絞って冷凍してある。大きなチェスト型の冷凍庫は、もう目一杯そうした食物で溢れている。自然の恵は無駄にしたくはない。勿論たくさん友人やご近所へもお配りした。

 

ここはロッキー山脈地帯にある州や東部や北部の州のように冬ごもり的に冬仕度をする必要はそれほどない。そうした州の一つに住んでいた若い頃は、夏になると、冬用の野菜や果実の瓶詰やジャム作り、ピクルス作りで忙殺されていたものだ。私はただのお手伝いとしてだったが、そういう経験はありがたいものだ。冬に備える、災害時に備える、そうした行為は学んでいて無駄にはならない。

 

東部の州に住んでいた上から二番目の姉は、近くにトマト畑や桃の果樹園が多くあったので、初夏から、安価で入手できる野菜や果実で、よくCanning(瓶詰や缶詰)をしていた。トマトソースからピクルスやチャツネ、イチゴやピーチのジャム、杏やピーチは二つ切りにして瓶詰にしていた。西部太平洋側の州に住む長姉は、自宅の森に入ってたくさんのゼンマイを収穫し、それを瓶詰にしたり、放置され、荒れ果てた古い果樹園で許可を得て小さな洋梨や林檎をもいでそれらも貯蔵保存していた。野生ベリー類は溢れんばかりにそこら中茂り、姉と二人で私はたくさん摘んでジャムにした。ジャムも時折ルバーブとイチゴを合わせて作っていた。そんなジャムや杏や桃の瓶詰とホームメイドの全粒粉パンの重たいローフをたくさん貰って、秋学期に大学へ心豊かに戻ったのだ。

 

瓶詰に比べて缶詰は、主にドライな食物を詰める。穀類、小麦粉、砂糖、塩、スープの素、豆類、脱脂粉乳、フリーズドライの野菜、果実、などである。普通の主婦や素人ができる範囲のものである。中には牛肉の水煮を瓶や缶に詰め、保存貯蔵する人もいるが、私はもっぱら安全範囲内での食品にとどめている。

 

#10サイズの缶や蓋、中に入れるシリカゲルパケット等が市販されているし、小さいが、缶を蓋で封じるための機械は、私の場合は街のはずれにある教会の福祉事業のための小さなCanneryを利用する。そこでは食糧を缶詰にして必要な人々へ提供するのだが、奉仕でお手伝いした時、個人的貯蔵のためにそこの施設を利用できることを知った。20年前からそこで穀類やドライミルクを缶詰にしてきたが、とても便利である。

 

今ではCanningは滅亡しつつある台所の芸術とさえ呼ばれるが、まだまだその「芸術」を愛してやまない人々がいる。第二次大戦後、冷凍冷蔵庫の発達のおかげで、冷凍食品が人気を呼び、特に女性が外へ仕事に出るようになってから、すでに調理済みで冷凍してある食品をオーブンで温めるだけで用意できる食事は、救世主のようでさえあった。その便利さのおかげで、家庭の瓶詰・缶詰による食品保存貯蔵は影を潜めつつあったが、1970年代の大地回帰(ヒッピーの産物)とでも言える、自分で土地を耕し、種を植え、食物を作ろうという風潮が人気を取り戻していた。1980年代は手作りを大事にする風潮が生まれたが、そう長続きはしなかった。

 

ところが最近は自然で安全な食品を求める声が高まり、家庭菜園はもちろん、養鶏や乳牛飼育など、そうした農業活動が個人でも許される地域に住む人たちの間で広がっている。地産地消への期待、化学物質を使わない食糧を希望する風潮が生まれてから久しい。再度人気を集めている家庭用缶詰は、私たち自身の栽培した農産物の寿命を延ばし、国内外から出荷される食品購入を減らすことで、二酸化炭素排出量を削減することになる。また、食品の生産・供給源に関わることによって、保存料、化学物質、塩、砂糖など、食品に含まれるものを制御できる。

 

家庭菜園や果樹園の管理はまめにしなければならないし、無駄なく収穫をし、それらを貯蔵保存する過程は、確かに現代生活ではそう楽なことではない。その殺菌方法がhot water bathと言われる煮沸消毒・殺菌なので、いくら冷房の効いた台所でも、汗だく気味になるし、高温なジャムなどの液体で火傷する羽目になったりする。きちんとした煮沸殺菌後でも、蓋がへこまなければ、再度煮沸してくれぐれも食中毒にかからないように細心の注意を払わねばならない。

 

それでも出来上がった瓶がずらりと並ぶと、やり遂げた気持ちが心地よい。暑い夏の台所での、熱い活動への思いは、毎年果樹に実がなり始めると途端に湧いてくる。それがなければ夏ではない、とでも言うように、ガラージからメイソンジャーのしまってある箱を取り出し、いそいそと洗浄、「戦い」に備える私である。

 

 

 


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2 コメント

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感心します。 (ハブグレジュンタのマミー)
2020-07-08 07:05:11
娘が昨日帰っていきました。寂しいですが、ちょっとほっとしています。
私はCanningを一切やったことがありません。畑(と言うほどでもないですが)ではキュウリとトマトを作っていますが、ほぼ半分は野生動物に食われます。やってみたいとは思いますが。食べ物の40%を無駄にしていると言われているアメリカ、なんでも豊富で安いので保存を考えなくても良いと思ってします。娘がいた10日間毎日食事を作りましたが、残り物もたくさん出ました。無駄をしないように主人と犬2匹で食べきりたいと思います。
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コメントをありがとうございます (ままちゃん)
2020-07-09 01:19:02
お嬢様は良い息抜きをなさってお帰りになられたことでしょう。まだまだ続く見えない敵との戦いが待っているのですから。毎朝起床するたび、今日は何か良いニュースがあるといいな、と思うのですが、なかなか。人々の心が荒んできているのが、最近よくわかります。加州はアジア系移民のおかげで発展してきたと言っても過言ではないのに、今度は英国からの白人男性がアジア人を侮辱すると言うニュースがあり、彼は後から言い訳を書いていますが、ちっとも謝罪も何もないので、全く反省していないのだと誰でも見て取れます。IT関係の会社を経営しているまだ若い人なのに、こんなに頑なにDiversityを拒否するのが、逆に哀れに思えてきました。あなたこそ、英国へお帰りになられたら?と誰でも思うことです。こうしたやるせない世事を少しでも離れてCanningするのも良いストレス解消になります。マミー様の庭には今日はどんな野生動物がやってきましたか?
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