(1)知行国制度
知行国制度とは、国の所有を認められた知行国主が、国司の推薦権と、その国の収益を
得る権利を持つ制度。
【知行とは】
4年任期の国司の推薦権と、その国の税の収益権のこと
【知行国主】
一国の知行の権利を持ち、その地の国司推薦権を持つ、高級貴族のこと。
当初は、皇族限定だったのが、摂関家、有力貴族、寺社、受領、武士へと拡大していった。
知行国主の推薦する国司は、知行国主の親族か側近者である。
(2)知行国のなりたち
①9世紀~10世紀、公地公民が崩れ、院宮家(上皇、皇后、中宮、東宮)に、それに見合う禄を
与えることが難しくなった為、期間限定で国の所有(国司の推薦権と税の全額収入)を認めた。
②10世紀~11世紀、院宮家に限定されていた権利が、藤原摂関家をはじめ、有力貴族や有力寺社
にも広がった。
ただし、院宮家のように全額収益ではなく、朝廷への公納分を差し引いた分が、収益となる。
③11世紀の院政期に、「知行国制度」は急激に増加し、院政を支える基盤となる。
鳥羽上皇は、莫大な知行国を持ち、摂関家は2~3ヶ国を所有するようになる。
また、受領から公卿の仲間入りした「院近臣」も、元々の国を所有するようになる。
④こうして、公領はあたかも知行国主や国司の私領になり、
税の徴収役人である国司、受領の地位が利権化していった。
12世紀の平安後期の平家の繁栄時は、平家一族が30カ国以上の知行国を有し、富を得る。
その後、鎌倉時代に武士が土地を代々継ぐ、封建制度の基盤となっていくことになる。
(3)知行国のややこしポイント
※「遙任国司」と「知行国主」の違いは?
国司はもともと、京に住む文人貴族(公家)が任命されて、現地に赴任していたが、
現地赴任は、親族や側近に任せて、そのまま京に住み続ける国司のこと。
ちなみに、現地赴任する国司の「目代」は、全国司に対する現地赴任者ではなく、
国司のランク(守→介→じょう→目」の最低ランクである「目」の変わりに赴任
するので「目代」と称される。
知行国主は、国司より位が高く、今まで朝廷か院だけであった国司任命権を、
推薦権という名で与えられた、土地の支配者。
※「知行国」と「荘園」の違いは?
荘園は開墾した土地など、領主の私有地であるため、国への納税をしないため、
荘園が増えることは、国にとっては、困ることとなる。
知行国は、国が制度として、高級貴族に禄(給与)のかわりに与えた国のこと。
税はあがってこないが、国の資金としてみられている。
山川出版「詳細日本史研究」P124
知行国制度とは、国の所有を認められた知行国主が、国司の推薦権と、その国の収益を
得る権利を持つ制度。
【知行とは】
4年任期の国司の推薦権と、その国の税の収益権のこと
【知行国主】
一国の知行の権利を持ち、その地の国司推薦権を持つ、高級貴族のこと。
当初は、皇族限定だったのが、摂関家、有力貴族、寺社、受領、武士へと拡大していった。
知行国主の推薦する国司は、知行国主の親族か側近者である。
(2)知行国のなりたち
①9世紀~10世紀、公地公民が崩れ、院宮家(上皇、皇后、中宮、東宮)に、それに見合う禄を
与えることが難しくなった為、期間限定で国の所有(国司の推薦権と税の全額収入)を認めた。
②10世紀~11世紀、院宮家に限定されていた権利が、藤原摂関家をはじめ、有力貴族や有力寺社
にも広がった。
ただし、院宮家のように全額収益ではなく、朝廷への公納分を差し引いた分が、収益となる。
③11世紀の院政期に、「知行国制度」は急激に増加し、院政を支える基盤となる。
鳥羽上皇は、莫大な知行国を持ち、摂関家は2~3ヶ国を所有するようになる。
また、受領から公卿の仲間入りした「院近臣」も、元々の国を所有するようになる。
④こうして、公領はあたかも知行国主や国司の私領になり、
税の徴収役人である国司、受領の地位が利権化していった。
12世紀の平安後期の平家の繁栄時は、平家一族が30カ国以上の知行国を有し、富を得る。
その後、鎌倉時代に武士が土地を代々継ぐ、封建制度の基盤となっていくことになる。
(3)知行国のややこしポイント
※「遙任国司」と「知行国主」の違いは?
国司はもともと、京に住む文人貴族(公家)が任命されて、現地に赴任していたが、
現地赴任は、親族や側近に任せて、そのまま京に住み続ける国司のこと。
ちなみに、現地赴任する国司の「目代」は、全国司に対する現地赴任者ではなく、
国司のランク(守→介→じょう→目」の最低ランクである「目」の変わりに赴任
するので「目代」と称される。
知行国主は、国司より位が高く、今まで朝廷か院だけであった国司任命権を、
推薦権という名で与えられた、土地の支配者。
※「知行国」と「荘園」の違いは?
荘園は開墾した土地など、領主の私有地であるため、国への納税をしないため、
荘園が増えることは、国にとっては、困ることとなる。
知行国は、国が制度として、高級貴族に禄(給与)のかわりに与えた国のこと。
税はあがってこないが、国の資金としてみられている。
山川出版「詳細日本史研究」P124