稲敷資料館日々抄

稲敷市立歴史民俗資料館の活動を広く周知し、文化財保護や資料館活動への理解を深めてもらうことを目的にしています。

特別展「常刕江戸崎不動院」の見どころ!(1)

2022年02月17日 | 日記
 江戸崎不動院の草創について(1)

不動院の草創については、『茨城県史料 中世編Ⅰ』の
不動院文書の解説に、「文明2年(1470)土岐氏を檀越
に、幸誉法印権大僧都を開山として創建された天台宗の
寺である。」と見えます。

この根拠となった史料として、「医王山過去帳」(№2)
や『不動院記録』に収録された「先師代々位牌写」(№3)
が今回展示されています。


また『茨城県史料 中世編Ⅰ』の逢善寺文書の解説には、
「江戸崎城主で不動院の開基でもある土岐治英」との記述
もありますが…

『江戸崎町史』では、文明2年の不動院創建を、「土岐原
景成を檀越に」としていますが、記録上、土岐原景成と
不動院の関係を示すものは残されていないのです。


その点を踏まえ、『茨城県史料 中世編Ⅰ』の逢善寺文書
の解説では、江戸崎城主土岐治英が、元亀3年(1572)
8月3日に不動院五世静久代に両界曼荼羅図を寄進したと
いう、前出の『不動院記録』の「両界曼荼羅裏書写」から、
土岐治英を不動院の(中興)御開基と見た、とも考えられます。

この土岐治英は、天文22年(1553)に鍛冶の岡澤又二郎
に名字状を与え(岡澤文書)、同じ静久代に信太庄土浦
(現稲敷郡美浦村土浦)より竪14間半(26.4m)×横7間半(13.6m)
の巨大な堂宇を移築するなどの事業をおこない、天正13年(1585)
4月15日に没しています。

ご開基さまが経済的な支援者だとすると、ご開山さまは一寺
を開いた宗教的な意味での初代をさします。

不動院の場合は、比叡山無動寺から不動明王を護持してやっ
てきた、幸誉法印権大僧都がそれに当たります。



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