部屋のドアを開けると、廊下からの明かりがセンの顔を照らす。
「うぅん……」
少し眩しそうに顔をしかめたので、すぐにドアを閉める。
センは予想通り既に眠っていた。
俺のベッドの横にぴったりと布団を敷いて。
「なんなんだよ……」
溜息混じりに、思わず口からそうこぼした。
電気を消したままセンを跨いでベッドに潜る。
さすが今日干しただけあって布団がかなりフカフカで気持ちいい。
一応センの布団も干したんだが……意味なかったかな。こいつ寝汗もかかないだろうし。
それでは、
「おやすみ」
もちろん返事はなかった。
「……逆だっつーの」
いつもの向きで寝ると、センの頭が俺の足側に、センの足が俺の頭側に来てしまう。
気にしないことにしていたが、すぐに限界がきて枕と自分の向きを変える。
さあ、今度こそ寝よう。
…………眠れない。
もうどのくらい目を閉じていたか解らないが、とにかく眠れない。
眠ろうとすればするほど、余計に眠気が遠ざかっていくようだった。
目を凝らして時計を見ると、十一時。二時間ほどこうしていたらしい。
だからといって今更起きて何かする気にはならなかったので、そのまま布団を被る。
その時傾いた、と言うほどではないが、ベッドの端の方に何か力が加わった。
「ん?」
そっちの方を見てみると、
「あ、あれ? 起きてたんですか? もももしかして、起こしちゃいました?」
ベッドの縁に手をついて、センがこちらを覗き込んでいた。
暗くて表情までは解らないが。
「いや、眠れなかったんだが……お前こそ起きてたのか?」
「あ、そ、それが同じく眠れなくて……ごめんなさいっ!」
そう言って、布団に頭まで潜ってしまった。
「じゃあ今度こそおやすみ」
「……おやすみなさい」
潜ったままなので、なんだかこもった声だった。
……駄目だ。やっぱり眠れない。
もう時間を確認するのもおっくうだった。
首の向きを変えてみたり、体の向きを変えてみたりしても、
いっこうに眠気がやってくる気配はない。
もう意地だった。なんとしてでも寝てやる。
しっかりと目を閉じ! 体の向きを固定し! 頭の中は真っ白に!
「明さん。もう、寝ちゃいましたか?」
寝たよ! 寝たから寝かせてくれ!
真っ白に! 真っ白に! 真っ白に! 真っ白……ん? なんか近……
目を開けた。
「ふぇ?」
「ん?」
目と鼻の先に、センの顔があった。
「…………」
「…………」
「ふぇえええぇぇぇっ!?」
「ぬおおおおおおおっ!? っご!」
お互いに奇声を発しながら、後ずさりする。
ちなみに俺は壁に頭をぶつけた。
「ななななんなんだよ! 近いよ!」
「なんで、なんで起きてるんですか!? さっき寝たかどうか訊いたじゃないですか!」
「…………」
「…………」
「……お前、ホントにどうしたんだ? 帰ってきてから変だぞ?
今の、どう考えたってその……」
「……自分でも解らないんです。春菜さんとお話してから、なんだか……」
だってお前、そういうのよく解らないって……いや、解ってないんだよな。
「……あの、春菜さんも、明さんも、大好きです」
ほらだから岩白と並べてるしさぁ……
「でも、でも違うんです! 明さんは……よく解らないけど、明さんは……!」
「うぅん……」
少し眩しそうに顔をしかめたので、すぐにドアを閉める。
センは予想通り既に眠っていた。
俺のベッドの横にぴったりと布団を敷いて。
「なんなんだよ……」
溜息混じりに、思わず口からそうこぼした。
電気を消したままセンを跨いでベッドに潜る。
さすが今日干しただけあって布団がかなりフカフカで気持ちいい。
一応センの布団も干したんだが……意味なかったかな。こいつ寝汗もかかないだろうし。
それでは、
「おやすみ」
もちろん返事はなかった。
「……逆だっつーの」
いつもの向きで寝ると、センの頭が俺の足側に、センの足が俺の頭側に来てしまう。
気にしないことにしていたが、すぐに限界がきて枕と自分の向きを変える。
さあ、今度こそ寝よう。
…………眠れない。
もうどのくらい目を閉じていたか解らないが、とにかく眠れない。
眠ろうとすればするほど、余計に眠気が遠ざかっていくようだった。
目を凝らして時計を見ると、十一時。二時間ほどこうしていたらしい。
だからといって今更起きて何かする気にはならなかったので、そのまま布団を被る。
その時傾いた、と言うほどではないが、ベッドの端の方に何か力が加わった。
「ん?」
そっちの方を見てみると、
「あ、あれ? 起きてたんですか? もももしかして、起こしちゃいました?」
ベッドの縁に手をついて、センがこちらを覗き込んでいた。
暗くて表情までは解らないが。
「いや、眠れなかったんだが……お前こそ起きてたのか?」
「あ、そ、それが同じく眠れなくて……ごめんなさいっ!」
そう言って、布団に頭まで潜ってしまった。
「じゃあ今度こそおやすみ」
「……おやすみなさい」
潜ったままなので、なんだかこもった声だった。
……駄目だ。やっぱり眠れない。
もう時間を確認するのもおっくうだった。
首の向きを変えてみたり、体の向きを変えてみたりしても、
いっこうに眠気がやってくる気配はない。
もう意地だった。なんとしてでも寝てやる。
しっかりと目を閉じ! 体の向きを固定し! 頭の中は真っ白に!
「明さん。もう、寝ちゃいましたか?」
寝たよ! 寝たから寝かせてくれ!
真っ白に! 真っ白に! 真っ白に! 真っ白……ん? なんか近……
目を開けた。
「ふぇ?」
「ん?」
目と鼻の先に、センの顔があった。
「…………」
「…………」
「ふぇえええぇぇぇっ!?」
「ぬおおおおおおおっ!? っご!」
お互いに奇声を発しながら、後ずさりする。
ちなみに俺は壁に頭をぶつけた。
「ななななんなんだよ! 近いよ!」
「なんで、なんで起きてるんですか!? さっき寝たかどうか訊いたじゃないですか!」
「…………」
「…………」
「……お前、ホントにどうしたんだ? 帰ってきてから変だぞ?
今の、どう考えたってその……」
「……自分でも解らないんです。春菜さんとお話してから、なんだか……」
だってお前、そういうのよく解らないって……いや、解ってないんだよな。
「……あの、春菜さんも、明さんも、大好きです」
ほらだから岩白と並べてるしさぁ……
「でも、でも違うんです! 明さんは……よく解らないけど、明さんは……!」