(有)妄想心霊屋敷

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欲たすご縁は女の子57 長い時間は青白く

2007-01-31 22:07:41 | 欲たすご縁は女の子   四日目
違う? 違うってなんだよ。よく解らないって言われても……
いや、そりゃまあなんとなくは解るよ? いくらなんでも。
でもだからって俺はどう反応すれば?
「明さん、これ、何だか解りますか……?」
お、俺に訊くんじゃねえよ! なんて答えりゃいいんだよ!
え、え~っと、お前は俺に惚れて……
ぐわーっ! どこの勘違い男だよこれ! なし! なし!
あ~、き、気持ちは嬉しいけど……
じゃなくて! 断ってどうすんだよ! 説明だ説明!
「明さん……?」
一人で頭を抱えてうなっていると、再度名前を呼ばれた。
そっちを見ても、暗くて殆どシルエット。表情までは解らない。
とその時、部屋全体が僅かに明るく、青白くなる。
雲に隠れてた月が出た……んだろう。その時の俺に窓の外を確認する余裕はなかった。
何故ならその瞬間、その青白い光に照らし出されたセンと目が合って……
「…………」
「…………」
……すぐに逸らした。
なんでそんな悲しそうなんだよ! 目がちょっと潤んでるし!
この状況でその目はちょっと色々ギリギリだから勘弁してくれよ……
ドラマとかだったら格好良く抱きしめたりする展開なのかもしれんがな、
現実にはそうもいかないんだよ! いけるかっつーの!
「あー、その、解らないなら解らないでいいんじゃないか」
逸らした目を閉じ、腕を組んで、さっきの質問に対する回答を始める。
余裕ぶった話し方の反面、内心バクバクだった。自分が何言ってるかもよく解らない。
仕方ないだろこの状況じゃ。
「それがなんなのかってのはひとまず置いといて、
 お前はいつものようにやりたいようにやってればいいんじゃないかなうん」
適当にそれっぽいこと言っといて、相手の反応を待つ。
…………あれ、反応遅
「!?」

その瞬間。それが起こり、同時に俺が目を開いたその瞬間、部屋の時間が止まった。
俺の視界に入ってきたのは、目と鼻の先にあるセンの顔。
ただ、前回の必死に寝ようとしていた時のあれと違うのは……
センの目が閉じていたことと、俺の口が、塞がれていたことだった。
時間が止まっていたのが五秒間か、はたまた五分間か、俺には解らなかった。
なんたって、俺の思考も止まっていたからな。情けない話だが。

五秒後か五分後か、とにかくセンの顔が離れ、塞がっていた口が自由になる。
「……や、やりたいようにやってみました……」
「あ、ああ……」
「…………」
「…………」
あ、俺ずっと腕組んだままだった。……どんな豪傑だよ……
「……おかしいですよね」
「えあ? え、何が?」
慌てて組んでいた腕を解く。いやまあ、これのことじゃないだろうけど。
「わたし、なんでこんなこと……」
「あ、ああ、今の? いや別にあの、おかしくはないと……
 俺もその、嬉しかったって言うか……」
……嬉しいって、何言ってんだ俺。ってあれ?
「だってわたしは、人間じゃ……」
「お前今、『わたし』って……?」
被った。
暫らく双方黙る。センが喋りそうにないので俺が先にいかせてもらうことにした。
「……『やりたいようにやれ』って言ったのは俺だからな。
 それでお前がそうしたかったんなら少なくとも俺はそれでいい。
 今更人間かそうじゃないかで文句なんか言うかよ。今までだってそうだったんだ」
「明さん……!」
「ほれ、次お前」
言ってから物凄く恥ずかしくなったので、とっととセンの話を聞くことにする。
「あ、はい。あの、今日わたし春菜さんの家に行ったじゃないですか」
そうだな。そんで制服貰ってきたんだよな。

「その時気付いたんです。今の名前を貰う前から、わたしはわたしだったって」


2 コメント

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Unknown (Unknown)
2007-02-01 01:18:21
キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━!!!!
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Unknown (代表取り締まられ役)
2007-02-01 22:55:07
コメントありがとうございます

はい、きました。
……もう、顔から火ぃ噴きそうです。
とか言って今日の話もまた……
ああ、とめられない……

(止められないって書くと「やめられない」と読まれそうなので
 ひらがなで書くことにしたチキン)
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