(有)妄想心霊屋敷

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欲たすご縁は女の子59 変な奴。でも? だから?

2007-02-02 22:12:05 | 欲たすご縁は女の子   四日目
再度止まっていた時間が、再度動き出す。
センと俺は顔を離し、座ったまま至近距離で向かい合った。
「明さん」
「なんだ」
「わたしで、いいんですか?」
「お前じゃないと、嫌だ」
センの目が丸くなる。
自分でも気持ち悪いくらいに、あっさりとそう答えた。
ほらやっぱり。俺はこいつのことが――
「……あっ、ごっごめんなさい。今更こんなこと訊くの変ですよね」
「お前はいっつも変だよ」
「あぅ……」
視線を落とす。
「でも……いや、だからかな。俺はお前が……」
落ちた視線が再び戻り、真っ直ぐに俺をみつめる。
……なんでこんなことすらすら言えるのかね。
「好きだ」
「……わたしもです」
変だよな。お互いに。今のこの雰囲気に飲まれてるんだろう。
朝になったら、今夜の出来事は恥ずかしい記憶に分類されてたりするんだろうか?
でも今俺は、確実にこいつが好きだ。絶対だ。
後でどんなに恥ずかしくなったって、断じて嘘じゃない。
明日になっても、来週になっても、来月になっても、来年になっても、
ずっと、今日のこの眠れなかった時間のことは忘れない。だから……
伝えられて、ホントによかった。
伝えてくれて、ホントにありがとう。
「ありがとうございます。明さん……」
だんだん、センの目が閉じていく。
「これで……わたしは、胸をはって……」
言葉も途切れがちになる。
「明さんの……」
そこまで話すと、完全に目が閉じたセンが倒れこんだ。
「……おい?」
呼んでみても、反応なし。
「おい」
肩をゆすってみる。反応なし。
「おい!」
体を起こしてみる。
「……すぅ……すぅ……」
寝てた。
「び、びっくりした……」
センの肩を掴んだまま、自分の肩を落とす。
「そこまで過剰なドラマ的展開はお断りだっつーの……」
急に倒れるから、てっきり何かあったのかと思った。
……とりあえず、布団に入れてやるか。

もともとセンの布団の上だったので、
掛け布団をどかし、センを寝かせて、上から掛け布団を掛けなおす。一丁上がり。
……しかし、その作業中に全く目を覚まさないって凄いな。
この状況で寝るのも凄いかもしれんが。
ホントに変な奴だよお前は。でも今は、
「おやすみ」
ベッドに戻り、俺も寝ることにする。
そういや、結局今何時だ?
……三時。明日の朝、起きれるかな……
目を閉じる。今度こそ眠ろう。
……こうやって眠ろうとしてたらセンが目の前に居たんだよな。最初。
今日はたまたま眠れなかったけど、もし俺があの時普通に寝てたら?
多分俺は目を覚まさなかっただろうし、そしたらセンに何も言えなかったな。
眠れなくてよかった。
眠れなかったと言えば、横で寝息たててるこいつも眠れないとか言ってたな。
……嘘付けよ。俺が寝るまで、無理して起きてたんだろ? 今のその様子じゃ。
お前はいっつも気を使って、そのくせいっつもやりたい放題で……

ホントに、変な奴。……ありがとな。起きててくれて。


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