(有)妄想心霊屋敷

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欲たすご縁は女の子53 曲がり角、猫、何故か声

2007-01-27 22:26:11 | 欲たすご縁は女の子   四日目
というわけで、昨日明さんに連れて行ってもらった時と同じ道を辿る。
たしか次にあそこで曲がって……
あの時は怖かったなぁ。凄い急カーブだったし、落ちそうになったし。
……あれ、でも駅の方角からすると別にここで曲がる必要ないような?
道が切れてたりするのかな。どうしよう?

考えてるうちにその曲がり角に着いてしまったので、一旦止まる。
どうしようかな……曲がれば確実だけど、曲がらなくても行けそうだし。
まあ、このまま行って駄目だったらどこかで曲がればいいか。
よーし、真っ直ぐ行こー。

見慣れない景色の中をただ真っ直ぐ進む。
まだよそ見運転は少し怖いから、あまりその景色を楽しめないのがちょっと残念。
首動かすとハンドルがそっちに向いちゃうんだよね。
明さんの後ろだったら楽ちんなのになぁ。
……なんて思っていると、前方に何か動くものを発見!
そのまま近づくと、
「猫!」
だった。まるでこちらを気にしないかのように、堂々とこっちに向かって歩いて来る。
自転車を停めて待ちながら見てみると、真っ白な体に、赤いすじ。首輪だった。
「飼い猫なのかなぁ?」
周りを見ても、人は居ない。お散歩中かな? いい天気だしね。
猫はもうすぐ傍まで来ているのに、それでもこちらを見ようともしない。
随分人に慣れてるみたいだった。
ついに横を通り過ぎようとした時、触ってみたくなったのでしゃがみこんで手を伸ばす。
そしたら猫と目が合った。
その瞬間猫は飛びのいて、こちらを威嚇し始めた。
びっくりしてこっちも手を引っ込める。
暫らく睨み合った後、……いや、こっちは別に睨んでないけど。
とにかくその後、猫は少し距離を取りつつ歩いて行ってしまった。
やっぱり人に慣れてなかったのかな? いやでも飼い猫みたいだし……
不思議な猫。

再び自転車に乗って進んでいると、家が増えてきた。
そのうちなんだか見覚えのある建物を見つけた。
「あれ? この幼稚園、前も見たような……
 ってことは、やっぱり曲がらなくてもよかったんだ」
明さん、なんで曲がったんだろう? しかも急に思いついたみたいに。
……気まぐれ? そういうことにしとこっと。解んないし。
更に進むと、線路が見えてきた。あとはこれに沿っていけばいいんだよね。

そこから駅まではあっという間だった。
今日も人少ないなあ。まあその方が好都合なんだけど。
「確か明さん、この辺りに自転車停めてたよね」
駅の隣に自転車を停めて、早速透明化!
その直後。
「はあ……」
「ふえ!?」
予想外に近くから声が聞こえた。すぐ後ろのベンチから。
いくらなんでも近すぎる、と驚いてそちらを振り返っても誰も居ない。
「あれ……?」
そうだよね。人が居るなら自転車停める前に気がつくはずだし、気のせいだよね。
「あーもう。やっぱりつまんないわね」
「ええっ!?」
今度は決定的だった。目の前の、誰も居ないベンチから確かに声がする。
お、お化け?
……いやまあ、今の状態を考えたら人のこと言えないけど。
もしかして、同族の方かな? いやでも、それなら向こうの声が聞こえるはずないか。
こっちの声には反応してないみたいだし……
「なにが『また明後日』よ馬鹿。一人じゃつまんないって言ったじゃないのよ……」
よく解らない声さんの独り言は続く。
「口だけでもいいから「また明日」って言ってよ……もう、一人はこりごりなのに……」
一人はこりごり……
「家に居たって、誰も気がついてくれないのよ……居場所が、ないのよ……」
誰も気がついてくれない……?
この声の人、もしかして泣いてる?
なんだか、そんな気がする。

「あーっ! もーっ! あのラムネ野郎ーっ!」


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