安全保障関連法は憲法が保障する平和的生存権などを侵害しており違憲だとして、戦争体験者ら509人が26日、安保関連法に基づく自衛隊の派遣差し止めや国家賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。同法の違憲性を問う集団訴訟は全国で初めて。原告弁護団によると、札幌など少なくとも全国15地裁で同様の提訴が予定されている。

 東京地裁に提訴したのは、自衛隊の活動差し止めを求める行政訴訟と、平和的生存権の侵害により精神的苦痛を受けたとして、1人当たり10万円の損害賠償を国に求める訴訟の二つ。集団的自衛権の行使が違憲であると主張し、安保関連法が3月に施行されたことで「戦争体験を思い出して苦しみにさいなまれている」などの具体的な被害が原告に発生したと訴えている。

 原告は全国各地の20~80代で行政訴訟が52人、国家賠償請求訴訟は457人に上る。原告弁護団は621人で元裁判官や元検事も多く含まれる。このほか、約1500人が第2次提訴に向けて準備を進めている。

 安保関連法をめぐっては、これまでに違憲との確認を求める訴訟が個人によって複数起こされたが、いずれも具体的な審理に入らず却下されている。