(アフガン米兵乱射に住民激怒、「酔って遺体に火」との証言も 2012年03月12日(月)11時19分 ロイターより)
日本では静かに死者を悼んでいた2012年3月11日。
アフガニスタン南部のカンダハル州に駐留するアメリカ兵が、2か所の村で銃を乱射しました。
アフガニスタン大統領府によると、この事件で女性と子ども12人を含む16人が死亡しました。アメリカ軍によると、銃を撃ったのはアメリカ兵1人で、すでに身柄を拘束しているとしています。
オバマ大統領は、今回の事件を受けてアフガニスタンのカルザイ大統領と電話で緊急に会談し、遺憾の意を示すとともに、事実関係の速やかな調査と責任の追及に全力を挙げる考えを伝えました。
産経新聞 2012年3月12日付け記事
「酩酊状態で殺害楽しむ? 米兵乱射に「衝撃」 オバマ氏、事実解明に決意」 によると
米メディアによると、容疑者は陸軍の2等軍曹で、11日午前1~2時ごろに徒歩で基地を抜けだし、約1・6キロ離れた民家3軒に次々と押し入って銃を乱射 した。2等軍曹は基地に戻って自首した。動機は判明していないが、カンダハルの地元当局者によると、「酩酊(めいてい)した様子で殺害を楽しんでいるよう だった」との目撃証言もあるという。
ということです。下の写真のように現場では火をつけられ、遺体は一部激しく燃えており、米兵が火をつけたという証言もあります。
オバマ大統領としては、アフガニスタン政府と協力して現地の治安を改善させたうえでアメリカ軍の戦闘任務を終えたい意向ですが、度重なる不祥事で現地の反米感情が高まるのは必至で、今後一段と難しい対応を迫られることになりそうです。
オバマ大統領は声明を発表し、乱射事件は「悲劇的で衝撃的」だとした上で「米軍の優れた特質」からは考えられない行為で、米国がアフガン国民に対して抱く敬意とも一致しないと強調しました。
米軍の優れた特質?アフガン国民に対する敬意?
私はそれは感じません。
アフガニスタンでは、2012年2月、アメリカ兵が基地内でイスラム教の聖典コーランを燃やしたことに対する抗議デモが各地で起きたばかりです。
また、イラク戦争でのアメリカ軍による捕虜虐待や市民の虐殺は有名です。
9・11同時多発テロから10年 アメリカ市民は犠牲者だが、アメリカは加害者だ
さらに、リビアのカダフィ大佐とアメリカが協力して捕虜を拷問したことも明らかになっています。
米ブッシュ政権、カダフィ政権と協力し反体制派をリビアに引渡し、尋問・拷問
米軍が「特に劣った特質」、を持っているというのではありません。
戦争と軍隊、それが人殺しを本質とする以上、軍隊が人間性を失った行為に走るのはむしろ自然なことだといえるでしょう。
沖縄で日本軍が住民に集団自決を強要したとは信じたくない。
従軍慰安婦に日本軍が関わっていたと信じたくない。
同じ日本人が南京で住民を虐殺をしたなどとは信じられない、信じたくない。
その気持ちは分かりますが、それをしてしまうのが戦争であり、軍隊なのです。
(アフガニスタン南部カンダハル州で11日、米軍基地の外に集まった住民の周りで警戒するアフガン軍人=ロイター。自分たちの仲間が虐殺行為をしたのに、抗議に来た市民を威嚇する。この写真も軍隊の本質を表していますよね。)
今、自民党をはじめとして、自衛隊を軍隊にして、軍事法廷を設けるという改憲論が大きな声で叫ばれています。
自民党のトンデモ改憲原案はもはや「憲法」とは言えない この国にはまともな政党はないのか
橋下市長の「全ては憲法9条が原因だと思っています」のトンデモ論理 国民をなめてる維新八策に騙されるな
(アフガニスタン南部カンダハル州で11日、事件が起きた地域の米軍基地前に集まった地元住民)
しかし、専守防衛の自衛隊が集団「自衛」権を行使する自衛軍になる、軍隊を持つということは、単に名前が変わると言うだけの問題ではないはずです。
「人民解放軍」という立派な名前を持ちながら、天安門で、チベットで、自国の国民を戦車で轢き殺す。それが軍隊の本質です。
他国から自国民を守るだけの存在には決して止まらなくなるのです。中国の軍隊だから、アメリカの軍隊だから、という問題ではないのです。
憲法9条を改悪しようというなら、自国の軍隊が人間性を失うことまで覚悟すべきだと思います。
平和を守ることで人権が守られる。人権を守ることで平和が守られる。
よろしかったら、上下ともクリックをしてくださると大変嬉しいです。
アフガン米兵乱射に住民激怒、「酔って遺体に火」との証言も
3月11日、アフガニスタン南部カンダハル州で16人が死亡した米兵による銃乱射事件で、父親と姉妹1人を殺害された住民らが当時の様子を証言した。写真は遺体を乗せたバンに座る老人(2012年 ロイター/Ahmad Nadeem)
[ベランダイ(アフガニスタン) 11日 ロイター] アフガニスタン南部カンダハル州で11日未明に発生し、16人が死亡した米兵による銃乱射事件で、父親と姉妹1人を殺害されたジャン・アグハさん(20)らが、当時の様子を証言した。
アグハさんによると、父親はカーテンの合間から外の様子を見ていたところ、突然喉と顔を撃たれ即死。その後、複数の米兵が自宅に侵入してきた。米兵が自宅にとどまっている間、アグハさんは床に寝そべり、死んだふりをしていたという。
「とても怖かった」と語るアグハさんは「母は目と顔を撃たれた。見た目で母と分からないほどだった。兄弟は頭と胸を撃たれ、姉妹も殺された」と説明した。
アグハさんの証言では、「複数の」米兵が事件に関与しており、酒に酔った複数の米兵が事件を起こしたとの別の目撃者の証言もある。これに対し、ワシントンの米国防総省高官は、単独犯の可能性が高いとしている。
「私に向けて銃を撃ってきた。弾は壁に当たった」。こう話すアグハ・ララさんは、米兵の様子について「彼らは笑っていた。普通の状態ではなく、酔っているように見えた」と証言した。
その上で「これは大量虐殺だ。多くの銃弾を浴びた遺体が散乱していた。カーテンか毛布と一緒に燃やされたようだった」と怒りをあらわにし、「これが米国人が言う支援部隊なのか。彼らは野獣で人間性のかけらもない。タリバンの方がまだましだ」と非難した。
子ども9人と女性3人を含む計16人が死亡した今回の事件で、北大西洋条約機構(NATO)が主導する国際治安支援部隊(ISAF)は、事件に関与したとして米兵1人を拘束し、取り調べを続けている。
カブール(CNN) アフガニスタン当局者らによると、同国南部カンダハル近郊で11日未明、米兵が民家を襲って銃を乱射し、住民16人が死亡した。米兵は拘束されたが、動機などは明らかになっていない。
アフガンに駐留する北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)は、単独犯との見方を示した。オバマ米大統領はアフガンのカルザイ大統領との電話で「悲劇的で衝撃的」な事件だと述べ、同国民に弔意を表した。
カルザイ大統領の声明などによると、現場はカンダハルの南西約25キロに位置する2つの村落。米兵は4軒の民家に侵入して発砲したとみられ、成人の男性4人、女性3人と子ども9人が死亡、5人が負傷した。同大統領は「許せないテロ行為だ」と非難した。
NATO とアフガン当局が動機などの解明を急いでいる。複数のISAF幹部が匿名で語ったところによれば、現場周辺で展開中の軍事作戦はなかった。別のISAF当 局者は、この米兵が同日午前3時ごろ基地から出て行くのをアフガン軍部隊が目撃し、米軍に通報していたと述べた。米軍側では点呼の結果、米兵1人が行方不 明になっていることが判明し、ただちに捜索を開始。米兵は戻ってきたところで、無言のまま拘束されたという。
カンダハルとその近郊は、反政府武装勢力タリバーンの本拠として知られる。ISAFのアレン司令官は迅速な徹底捜査を約束する一方、ISAFの戦略に変更はないと述べた。
米兵によるイスラム教聖典コーランの焼却で火がついたアフガン国民の対米感情が、さらに悪化する恐れが指摘されている。
他国への軍事進出としての戦争、それを実行する軍隊、それを決定する政治とは何か、私たちは知らなすぎると改めて思いました。
この記事を読んで思い出した自分の記事をトラックバックさせてください。
教養のおありになる村野さんならではの記事3本だと思います。
父と娘の詩など、自分も娘がいるので胸が詰まりました。
これからもよろしくお願いいたします。