心のふるさと「伊勢の神宮」と神道のあれこれ@れーじん

日本人の心のふるさとといわれる伊勢の神宮。
伊勢国のれーじんが伊勢の神宮や神道、それに関連することをお伝えします。

神社参拝時の作法② ~手水舎<てみずしゃ>~

2015-01-11 22:00:00 | 神道の作法
神社の入口にある鳥居をくぐり、参道を少し進むと、手水舎<てみずしゃ>が見えてきます。
柱と屋根だけの建物の中に、清水のたたえられた鉢があります。


この場所で、参拝前のお清めとして手と口をすすぎます。
これは、川や海の清らかな水に身体をひたして心身の穢れ<けがれ>を祓う<はらう>、「禊<みそぎ>」を簡略化したものです。
お詣りの前に、ここで心身を清らかにします。
手水舎の清水で心身を清めることを「手水を取る(使う)」といいます。

では、具体的な手水の取り方です。

1 手拭きの用意
まず、ハンカチなど手をふくものの端を、取り出しやすいようにポケットやカバンから出しておきましょう。
ぬれた手でカバンや服を触っておろおろするのは、あまり恰好のよいものではありません。

2 清水をくむ

右手で柄杓<ひしゃく>を持ち、清水をくみます。
左利きの方も、右手で持って清水をくんでくださいね。
この柄杓1杯の清水で、両手と口をすすぎます。(途中で清水をすくい足さない)
手洗い・うがいではないので、水量はこれで十分です。
そして、以下3~7については、鉢の手前、排水用の溝等の上で行います。

3 左手を清める

左手に清水をかけます。

4 右手を清める

柄杓を左手に持ちかえて、右手に清水をかけます。

5 口をすすぎ清める
注:柄杓に直接口をつけてはいけません。

再び柄杓を右手に持ち、左の手のひらに清水を受けて溜め、その水を口にして、口をすすぎます。
この行為は「お清め」であり、「うがい」ではないため、口にする水は少量でかまいません。
口から水を吐き出すとき、口元を左手で覆って隠すと、見た目に美しいでしょう。

6 もう一度左手を清める

口をすすぐ際に、清める前の口を左手につけたので、もう一度左手を清めます。

7 柄杓の柄を清める

柄杓を手前にむけて立て、清水を柄杓を柄につたわせて流し、清めます。
この時、左手を添えて柄杓を立てると美しく見えます。

8 柄杓を元の位置に伏せて戻す

3から6については、あまり高い位置で行うと、周りに水が飛び散ってしまいます。
自分の穢れ<けがれ>をすすいだ水をまき散らして、周囲の方々を不快な気分にさせないよう、少し低い位置で行うとよいでしょう。

なお、お詣りする神社の規模によっては、手水舎がないところや、手水舎の水質がビミョーなところなど、手水が取れない場合もあります。
(摂社・末社などは神職さんが常駐されておらず、四六時中管理ができない)
そのようなときは、自分なりに礼を尽くしてお詣りをすればいいと思います。

余談ですが・・・・・・
先日、皇大神宮(内宮)で、清水たたえられた鉢の真上で両手を清めている参拝者を見かけました。
(口はすすいでいませんでしたが・・・)
「えっ?!それって、アンタはいいかもしれないけど、アンタの後に続く大勢の参拝者は、アンタの穢れの混じった水で手水を取るんか?!」
と、非常に嫌な気持ちになりました。
神社は古来より人々が真摯に祈りを捧げてきた、非常に神聖な場所です。
様々な人が様々な思いを胸に参拝します。
周囲の方々が不快にならないよう、気をつけたいものです。

※作法については、神社本庁が発行・監修を行っている書籍等に基づいています。

神社参拝時の作法① ~鳥居(神社入り口)をくぐる~

2015-01-11 22:00:00 | 神道の作法
世の中には、様々なルール・作法がありますね。
それらは、周囲の方々に敬意をはらったり、お互いに気持ちよく過ごすためのものだと思います。
もちろん、神道にも様々な作法があります。
これから数回にわたり、神社参拝において最低限知っておきたい作法を記事にします。
今回は、神社の入口にある鳥居をくぐり、神聖な敷地である境内<けいだい>に入るところを記します。

1 参拝前にお手洗いをすませる
小学1年生のようで申し訳ないのですが、これって結構大切なことだと思っています。
なぜなら、たいていの神社は、お手洗いが境内の外、もしくは手水舎<てみずしゃ>(手と口を清めるところ)の手前にしかないのです。
参道の途中でもよおしてしまったら、我慢して参拝を続けるか、一旦境内の外に出てお手洗いを済ませるかどちらかです。
もちろん我慢していたら、しっかりお詣りなんてできません。
お手洗いに行くとなれば、歩いてきた参道を戻り、お詣りを仕切りなおすことになります。
寒い日に大きな神社の参道を延々と歩いている最中、そんな事態におちいってしまったら、先にも行けず後にも引けずで最悪です。
折角のお参りが残念なことにならないよう、お手洗いに行っておきましょう。

2 ペットは外でお留守番
ペットは神社に入れません。
(特別にペットのご祈祷が可能な神社があるようです。その場合は神職さんの指示に従ってください。)
キャリーに入れてワンちゃんやネコちゃんの顔が見えなくても、もちろん神様はお見通しです。
どうしてもペットを同伴しなければならない場合は、境内の外で預かっていただける場所を確保する必要があります。
ちなみに、神社によっては境内に馬や鹿、鶏がいる場合があります。
これらの動物は神様のお使い(=神使<しんし>であり、私たち人間よりも神様のおそばにいる存在です。
そういうわけで、普通の動物とは異なるのです。

3 携帯電話は電源を切る、またはマナーモードにする
自分が神前で手をあわせている時に、派手で耳障りな電話の着信音が聞こえてきたら、げんなりしませんか?
神聖な境内で大きな声や大きな音を出すのはやめましょう。

4 鳥居の手前で衣服を整える
神社の境内入り口に鳥居があります。
鳥居の手前で、衣服を整えます。
ジャケットなどの上着のボタンをとめ、帽子や手袋を脱いでください。
日傘もここでたたんだ方がいいでしょう。

5 境内に入る前にごあいさつ
衣服を整えたら、上半身を15度ほど前にたおすお辞儀(会釈)を1回して(一揖<いちゆう>)、境内に入ります。
よそ様のお家へ入るときに、「ごめんください」「お邪魔します」と挨拶するのと同じ要領ですね。
お辞儀は、かいつまんで説明すると、次のように行います。
 ①鳥居の手前で、足をそろえて肩をおとし、腕・手は力を抜いて自然におろして身体の横に付け、姿勢を正して立ちます。
 ②その状態で、背を丸めずに上半身を前に倒すと、腕は自然と前に出てきます。
 ③そのまま腕をブラブラさせるわけにはいかないので、手のひらを太ももに沿わせます。
  立っている時に身体の横にあった手は、お辞儀が深くなるにつれて、太ももの外側から膝に向かってななめにスライドさせていきます。
 (もっとも深い90度のお辞儀(拝<はい>)の際には、手が膝のお皿の骨を覆うようになります。)
昨今、女性が立っている時やお辞儀をする際、手を身体の前(お腹や股のあたり)で重ねていますが、これは神道の作法および日本古来の礼儀作法ではありません。
お辞儀については、後日くわしく記事にする予定です。

6 参道は真ん中を歩かない
参道を歩く際、よほど混雑していない限り、真ん中を通るのは避けましょう。
参道や拝殿・本殿の中央は「正中<せいちゅう>」とよばれる、神様の通り道だからです。
神社の参道のほとんどは、中央が少し高く、端は少し低くなっています。

こちらは皇大神宮(内宮)の参道です。
このように参道がゆるやかなかまぼこ状になっていると、雨が降っても水が脇にはけていきますから、合理的でもあります。

参道を少し進むと、参道脇に手水舎が見えてきます。
次は、参拝前のお清めです。

※作法については、神社本庁が発行・監修を行っている書籍等に基づいています。