日日是好日

「アナザー・カントリー」について、実に主観的に書き散らしてます。
たまに身辺の雑記も。

あるマンガのセリフ

2013-10-07 20:32:30 | ほんをよんであふれたもの
きみは、人の心を思いやったことはないの……?

*****

本当に、
心の底から不思議そうに、
こう問いかけるんです。

これが「きみはなんって思いやりのない女の子なんだ!」と腹を立てているなら、
全然状況が違うのですが。

「つらいぜ! ボクちゃん」の一節。
かおり、という女の子に、渡が呟いたひとこと。

かおりは従兄の渡のことが大好きで、
でも、渡は望という年上の女の子が好きで。
私の方がずっとずっと渡ちゃんのことが好きなのに、
どうして渡ちゃんは私に振り向いてくれないの!
まあ、よくあるパターンですね。

前後がどうだったかはほとんど覚えていないのですが、
この一行だけは、痛切に心に響いた。

自分をいっしんに慕ってくれるかおりに、
渡がどうして靡かないのか。靡かなかったのか。
ああ、そうか。
こんな簡単なことだったのだ。
全ては読者の目にさらけ出されていたのに、
どうして私は気づかなかったのか。
どうして、高橋亮子がコマとコマの間に託した思いを、
読み取ることができなかったのか。
どうして作者の心を思いやらなかったのか。

人の心を思いやる。
これは言葉を変えれば、想像力があるということ。
おそらく、役者志望の望には、それがたっぷりあったのだ。

かおりを選んでしまえば、
渡の世界はそれ以上広がらない。


ものを書く場合は、作り手は「人(キャラ)の心を思いや」らねば何も書けません。
クリエイターのアンチテーゼとして、
高橋亮子は、かおりという少女を作ったのではないでしょうか。


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