鍵穴ラビュリントス

狭く深く(?)オタク
内容は日々の戯言
イギリス、日本、リヒテンシュタイン、大好きです
プラトニックlove好き

ケイトの22

2016-03-29 08:34:46 | オリジナル小説
 お姫様はベッドに寝っ転がって、ロラが自分の子猫と遊んでいるのを見ていました。
「もう! ケイトはわたくしの! わたくしの!」
「もうニーナ! 足バタバタしないの」
と、扉を叩かれ、ジルとケイトが一緒に部屋に入ってきました。いつになくボォーとしているジルを、お姫様はしげしげと見つめました。
「どうしたの?」
ケイトがくしゅんとくしゃみをして、
「失礼しました、おひい様」
と言いました。
「ジル? 顔真っ赤よ」
「ジルの昔の恋人がみつかったんです、おひい様」
「ケ、ケイト!」
「え……?」
「ま、まだ分からないわよ! あれがアーサーだなんて。……だなんて」
最後は消えいりそうな声でジルは言いました。
 子猫はロラのもとを離れ、ジルに寄り添いました。ジルに懐いているのです。


 それから数日。平穏に時は流れていきました。
――と、門に誰か訪れたようです。呼び鈴が鳴りました。
 執事のロバートが案内して応接間に通しました。
 と、ローザが駆け上がってきて、二階のメイドたちに何か言っている声が聞こえました。メイドたち曰く、クリスが先日のくせ者がまたやってきたと言っている、ということです。
 ジルは口を手でおさえました。
 アーサーという王室直属の騎士がまたやってきたのです。