ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

「戦後史の正体」(孫崎享)

2016-03-17 07:44:12 | 読書
戦後の歴代首相の評価を、すべて対米追随か自主かの二者択一で切って捨てた怪書。

1)日本国憲法
日本国憲は、日本を速やかに武装解除、無力化するために、進駐軍が日本に押し付けたものであることは間違いない。
日本の歴史とか文化とか伝統とか、そういったものには一切配慮していない、前文などはまるで高校生の英文和訳レベルの日本語。憲法改正を悲願とするのは、自主路線の首相であればむしろ当然のこととも思えます。
ややこしいのは、日本国憲法が、教科書的に正しい、どの国にもっていっても使える、ある意味理想的なひな形を使用した憲法であるということです。
普通なら、いろいろとしがらみがあってこんなものは施行できない。何もかもなくした、何も文句の言えない戦後の日本だからできたことです。
理想的であるがゆえに現実と矛盾も生じるし、理想的であるがゆえに、金科玉条のごとくあがめ、一言一句変えるべからずという人も出てくる。
一般的に対米追随と野党に言われる自民党が憲法改正派で、共産党等野党勢力が守れという、歴史とは皮肉なものです。

2)60年安保闘争
岸首相が不平等だった日米安保条約を改正した立役者で、米国は手ごわいこの人を排斥しようと思った。60年安保闘争の真相が岸を失脚させるためで、その黒幕は米国。
国際政治のことなど何も知らないに等しい全学連に活動資金を提供してデモを扇動させ、岸首相を退陣に追い込んだとは、CIA恐るべし。
CIAに踊らされてデモに行くようなことのないよう、まずはしっかり勉強して広い視野を持てるようにしようと思いました。

3)沖縄返還と繊維輸出規制
佐藤栄作首相も、現役時代のマスメディア受けはあまりよくなかったみたいなので、ノーベル平和賞を取ったと聞いて本当に驚きました。
それまでは米国に対しいうのもはばかられた沖縄返還を、核抜きで実現した佐藤さん、国内よりもむしろ海外の人の方がしっかり見ていたということか。
その一方で、この時すでに、首相が退陣しなければならないほどの深刻な日米貿易摩擦が発生していたのですね。このことを当時の日本人はどれくらい知っていたのでしょうか。

4)ロッキード事件
これも何やらよくわからない事件でした。金を受け取ったのは軽率だけど、そもそも一国の総理が、全日空の旅客機の機種選定の決定権を持っていたとは思えません。
日中国交回復を果たした田中首相、これを収賄として起訴した検察、実刑判決をした司法が不羈不偏ではなかったとすれば、ましてそれが米国の謀略だったと言われると、本当に怖いなと思います。
それにマスコミも。あの時はマスメディアが、日本中が、手のひらを返したように田中角栄批判一辺倒でしたので、、、

5)日米貿易摩擦
ソ連が崩壊し、冷戦構造が崩れたとき、米国の仮想敵国は日本になった。とびぬけたスーパーパワーになった米国が、次に叩こうと思ったのは日本の経済力、ジャパン・アズ・ナンバーワンといわれた時代から、一転日本は米国の思惑通り弱体化しました。
佐藤首相の時の繊維の貿易摩擦で、米国のやり口をしっかり学んでおけば、レーガンの仕打ちにももう少し対応できたと思うのですが。

何よりも我々日本国民が、マスメディアのいうことを鵜呑みにするのではなく、自主路線を貫こうとする気骨のある政治家を重箱の隅をつついて引き倒してしまうことのないよう、政治を勉強して広い視野を持たねばいけませんね、やはり。
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