~Words~

心に宿る言葉たち

自分の感受性くらい

2008-10-10 | Favorite 詩

 

何かがパチンと弾け、滞っていた気持ちがいきなり流れ始めた。

この詩に出会った時・・・そのくらいの衝撃を受けた。

なんというのか。

テーブルを拳で思いっきり殴りつけた時のような・・・

 

 

自分の感受性くらい/茨城のり子


ぱさぱさに乾いてゆく心を

ひとのせいにはするな

みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを

友人のせいにはするな

しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを

近親のせいにはするな

なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを

暮らしのせいにはするな

そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を

時代のせいにはするな

わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい

自分で守れ

ばかものよ


Heroes

2008-06-15 | Favorite 詩

 

何を書きたいのか。とか、何を描きたいか。じゃなく

その時、自分が何者であるかが、分かる人は

まっすぐで、捻じ曲がってても

爽やかに笑いながら アングラな風を漂わせても

そこが魅力となるわけで・・・

やっぱり 私にとって、ヒーローなのである。

・・・・・と思った。。。。。。

 

 

 

 

~寺山修司への七〇行~より

         谷川 俊太郎

 

 

でっかい鼻の大男よ

きみはフレンチ・ホルンを吹くことが出来なかった

だがきみはある晩パリで

私をクスクス料理に連れていってくれた

そして私にくろずんで

かさかさに乾いた手を見せた

 

         

 

否定形で語るのも

きみに敬意を払うひとつの方法

きみは子どもを残さなかった

家を残さなかった

土地を残さなかった

勲章を残さなかった

残さぬことできみが残した

目に見えぬもの

                               

執着していたものは一体なんだったのだろう

夥しいきみの比喩は

丈高いポックリをはき

肩にレイン・コートを羽織ったきみの姿ほどには

世界を語らない

でっかい鼻の大男よ

きみはフォルクスワーゲンを運転できなかった

だがその助手席できみは

決して眠ることはなかった

 

 


詩人からの伝言

2007-11-07 | Favorite 詩

 

声にハッとし

仕草にハッとし

言葉にハッとする。

 

惹きつけられる時

いつも「ハッ」とした瞬間がある。

私は、あまり読書家ではないのだけど、

それでも、時々は読書もする。

そして、たまに「ハッ!」っとする書物と出会う。

その「ハッ!」っとする書物と出会うと

作家の人間性に惹かれていく。

人間性に惹かれると又、何回も読む。

 

もう、何回読んだだろう。 

この本はそんな1冊・・・

田村隆一氏の「詩人からの伝言」

詩人、歌人、俳人、翻訳、エッセイスト・・・

色んな顔を持つ“田村流”辛口エッセイ。

本当におじいちゃんなの?と疑いたくなるような

若若しい語り口・・・大好き!です。

 

『詩人からの伝言』中表紙にある田村氏の詩を少し・・・

 

 

 

『 言葉のない世界』より~

 

言葉のない世界を発見するのだ 

 

言葉をつかって 


真昼の球体を 
 

正午の詩を


おれは垂直的人間


おれは水平的人聞に

とどまるわけにはいかない・・・

 

 


~ONCE~

2006-12-03 | Favorite 詩


あなたにはお気に入りがひとつあるはずである
いや、ふたつかもしれない。みっつあるかもしれない。
けれどNO1は必ずあるはずだ。
それをあなたは言いふらすだろうか。

それを口にするのはかなり気分よく酔っ払った時か、
好きな人の前ではこっそりと打ち明けるかもしれない。
でも、普段のあなたはそんなことはあまり口にしない。

それはどうして?

そんな事は決まっている。大切だからだ。特別だからだ。
そして、あなたは思う。何故こんなに『特別』なのかな?と・・・

久しぶりに谷川さんの詩でも。。。

                   

               LOVE  IN  THE  AFTERNOON

                                  谷川  俊太郎

 

あなたは黙って生き残る人だった

そして生き残ることの厳しさに

じっと耐えてゆく人だった

あなたは不器用に突っ立っている人だった

そしてその大きな背で

青空のありかを教えてくれる人だった

あなたはうつむいて口ごもる人だった

そしてそのあなたの沈黙から

私たちは信ずることの強さを学んだ

あなたははにかんで笑う人だった

そしてあなたは笑うと

大きな子供のように無邪気だった

あなたはとぼけてウインクする人だった

そしてそういう自分に

ひどくびっくりしたりした

あなたは拳の中に苦しみを握りしめた

そしてその孤独によって

男の美しさを示す人だった

あなたは大きなカウボーイだった

あなたはこの世からちょっぴりはみ出し

そういう自分をもてあましていた

あなたはやさしい人だった

だがそのやさしさを

決してあらわに見せない人だった

 


2006-06-26 | Favorite 詩

精神的な話をすると、『内の宗教に入れば、あなたはもっと
伸びるよ』とか『もっともっと人の為になるように』とか・・・
そっちに結びつけたがる人々が私の周りに多い。

だが・・・違う。違う。

私はただ、輪郭を伝えたいだけなのだ。

輪郭だけを・・・

 

僕の額に流れる汗に 

あなたは何を思うでしょうか

生きる力に気が付きますか 

同じ時を生きるあなた

ここで巡り合えたあなた 

一つだけ聞いてください

偽りの微笑みと

見せかけの涙だけは 

やめてやめてください

あなたの心に

素直になってください

そこから二人の

絆ができるのだから

僕は額に流れる汗に

生きる喜び感じるのです

明るい僕に気が付きますか

同じ時を生きるあなた 

ここで巡り合えたあなた

ともに生きてください

それだけでまえとは違う

 

今ここで 

僕を知らなくても

 

あなたの心に

素直になってください

そこから二人の

絆ができるのだから

そこから二人の

絆ができるのだから

                     word by 松兼 功

 

 


静寂の中の勇気

2006-06-22 | Favorite 詩

 

夕焼けの中で ハーモニカが鳴り響く

妙にやさしくなって 人を傷つけた事を痛み

妙に素直になって 破れた恋を悲しみ

これからどうして生きていったら

いいのか分からず

涙を流す 美しい人にあの人は心を

奪われるけど 人の心には

自分なりの ふるさとがある

 

やけになって 自分を見失わないようにと

やさしい虫の声が教えてくれる

そっと 教えてくれる

たとえ 同じ方向へ 歩いていても

自分の世界を持ち 夕焼けの中で

鳴り響く ハーモニカの様に

人の心を動かせるものを 

いつも持っていたい

愛にかなうのは愛しかないと 

ひたすら信じて歩いて行こう

 

夕焼けの中で ハーモニカが鳴り響く・・・

        word by 井上徳浩

  


ゆらゆら ふわふわ

2006-06-11 | Favorite 詩

昨日。。久しぶりに知り合いのライヴハウスへ
お友達のjazzバンドのライヴを見にいった。
どんな音楽であれ、やっぱり生はいい。。

jazzボーカルに酔いしれた後
静まり返った店内でマスターの精神論を聞きながら・・・

久しぶりにゆったりとした時間を過ごさせてもらった。。

今年はもっとこんな“ふわふわ ゆらゆら”とした時間が
私には必要なようだ。

 

くじけそうでくじけてなんかいられない

やることがいっぱいあってスケジュールがいっぱい

ゆっくり寝てもいられない 僕はママと一緒のスケジュール

ママは僕のマネージャー いつもスケジュール張をみてる

たまには休みもいれてよね ぼくだって疲れちゃうよ

学校 病院 家庭教師 これじゃ僕もきれちゃうぞ

僕の時間はみんなより ずっとゆっくりなんだよ


だから ママ 

ゆっくり ゆっくり

加湿器のゆげのように 

ふわふわ ゆらゆら

ゆっくりと 

僕の時間に 

合わせてよ・・・

                Words by 仁木 大輔

 

 


どきん

2006-06-05 | Favorite 詩

 

ちょっと疲れた時・・・「谷川俊太郎」さんの詩を読むと心が安らぐ。。

・・・と同時にわくわく! どきん!とさせられる。。

一所に留まらず様々な心の在り方で大人に強烈な印象を

与えてくれる谷川さんは正に現代の流れをかえる詩人だと言えるだろう。

 

 

さわってみようかなあ つるつる

おしてみようかなあ ゆらゆら

もすこしおそうかなあ ぐらぐら

もいちどおそうかなあ がらがら

たおれちゃったよなあ えへへ

いんりょくかんじるねえ みしみし

ちきゅうはまわってるう ぐいぐい

かぜもふいてるよお そよそよ

あるきはじめるかあ ひたひた

だれかがふりむいた! どきん

 


2006-01-31 | Favorite 詩


自分の理想を他人に押し付けそうになったり、

頭でばかり考えこんでいると

どちらか一方に片寄ってしまって

心がかちかちに固まってしまう

そんな時、“金子みすヾ”という童謡詩人が

私を揺り動かし、燈のようなあたたかさで

心をほぐしてくれる。

 

 

    

 私が両手をひろげても、

 お空はちっとも飛べないが、

 飛べる小鳥は私のように、

 地面(じべた)を速くは走れない
 
 
私がからだをゆすっても

 きれいな音は出ないけど

 あの鳴る鈴は私のように

 たくさんな唄は知らないよ
 

 鈴と、小鳥と、それから私

 みんなちがって、みんないい

 


The Songs of Mother Goose

2005-12-05 | Favorite 詩

私が“マザーグース”に出会ったのは、昔々・・                                   ジャニス・イアンの「Love is blind」という曲が主題歌になっていた                           ドラマの中だった。。タイトルはすっかり忘れてしまったが                           毎週エンディングに母が子どもを寝かせる時の読み聞かせが印象的で・・                       それから、すっかり“マザーグース”の虜になってしまった私は                                                 5冊で6000円という絵本にしてはちょっと贅沢な買い物をしてしまった。              でも、それは今でもずっと私の宝物で・・                                訳詞が又、私の好きな「谷川俊太郎」氏というのが、                                     二重の喜びでありますuu。♪o(^-^ o ) その中から一篇ご紹介しましょう。。

                                 

 

おとこのこって なんでできてる?

おとこのこって なんでできてる?

かえるに かたつむりに

こいぬのしっぽ

そんなもんでできてるよ

おんなのこって なんでできてる?

おんなのこって なんでできてる?

おさとうと スパイスと

すてきな なにもかも

そんなもんでできてるよ

               


黄昏時

2005-11-05 | Favorite 詩

たまには、すり切れて伸び伸びになったカセットテープを聴くのも                  よいものです。思い出のたくさんつまったこのアルバムを・・・

 

ポートレイト~ローレンスパークの想い出~

 

アルバムの片隅に 色あせた写真ひとつ

   呼び起こされた遠い日 北風とあのローレンスパーク

  果かないほどまぶしい 冬の陽を背中にあびて

 17歳の私は駈けまわる あなたを見てた

    グレイのコート置去りにして 「君が居るから寒くはないんだ」と・・・

  写してくれた私の笑顔が少しぶれてる

手袋ごしに触れたあなたの あたたかな手はまるで幻のよう―

 

雪がとけてくローレンスパーク いつか恋も消えて

蒼いひとみにさよなら

夢で逢える日まで

夢で逢える日まで

Say good-by to you and Lawrencepark 

                                    Word)竹内まりや        


幻の男たち

2005-10-24 | Favorite 詩

 ちょっと人間離れした(す、すみません)彼女が好きです。。。                                                   “淺川マキ”の1984年のライブから・・・

 

     「それは スポット・ライトではない」  日本語詞 浅川マキ
                             B.Goldberg-G.Goffin

     もしも  光が  またおいらに
     当たるなら  それを  どんなに  待ってるさ

     ずっと以前(まえ)のことだけれど
     その光に気付いていたのだが
     逃(の)がしただけさ

     だけど  ふたたび  いつの日にか
     あの光が  おいらを照らすだろう

     あの光  そいつは
     古びた町の  ガス燈でもなく
     月灯りでもない
     スポット・ライトでなく
     ローソクの灯じゃない
     まして太陽の光じゃないさ

     あの光  そいつは
     あんたの目に
     いつか輝いていたものさ

     また  おいら  いつか
     感じるだろうか
     あんたは何を  知ってるだろうか


あくび

2005-10-15 | Favorite 詩

あくび

  ぼくは四十 きみは十  としは少しはなれているけど

  おんなじ時代のおんなじ国に ぐうぜんいっしょに生きている

  ぼくは四十 きみは十 ならった教科書は少しちがうが

  むかしもいまも 地球はまわって 朝がくればおはようなのさ

  大臣がなんどかわろうが

  うそつきはやっぱりいやだな

  子犬はやっぱりかわいいな 

 

  やがてきみは四十 ぼくは七十 

  その時も空が青いといいんだが

  いっしょにあくびができるように――

谷川 俊太郎                       


ぼくは言う

2005-10-09 | Favorite 詩

ぼくは言う

大げさなことは言いたくない ぼくはただ水はすき透っていて冷たいと言う

のどがかわいた時に水を飲むことは 人間のいちばんの幸せのひとつだ

確信をもって言えることは多くない ぼくはただ空気はおいしくていい匂いだと言う

生きていて息をするだけで 人間はほほえみたくなるものだ

あたり前なことは何度でも言っていい ぼくはただ鯨は大きくてすばらしいと言う

鯨の歌うのを聞いたことがあるかい 何故か人間であることが恥ずかしくなる

そして人間についてはどう言えばいいのか

朝の道を子どもたちが駈けてゆく

ぼくはただ黙っている ほとんどひとつの傷のように

その姿を心に刻みつけるために・・・ 

                               谷川俊太郎 作