どシリアスなマヌケの日常

毎日毎日、ストーリー漫画を描き、残りは妄想.,いや構想の日々の日記。

「亜遊の手紙」14

2023-04-01 11:55:00 | 日記
アズサは居なくなった子供の母親の背中をさすって「恐らくルリは亜遊と一緒にいる。安心しなさい。」と落ち着かせようとしていた。ワタリは母親に言った。「1歳児なら、そんなに遠くには行けないと思います。近くにいるが見えない状態なんだと思います。私が2人を連れて帰ります。約束します。待っていてくださいね。」と言うなり外に出て行った。

ワタリは「母子の家」を出ると頭の中にある「王宮の図面」を開いた。ひと区画ずつ「遠隔視」で見て回った。
外。。。はあり得ない。だめだ。赤族の概念じゃないんだ。大きさも変わっている可能性がある。。。大きさが違うのならば隙間からも出てしまう!王宮内には居ないのを前提に考え直そう。隙間で大きいのは通気口とオープンエア。子供は飛翔しない。。。ワタリは考え続けた。
恐らく通気口。。。だとしたら、王宮の外にいる。ワタリは門番に話して外に出た。
赤族でないものには、どう見えるんだろう。ワタリは赤色の目を閉じて「弥川之皇の尊」の目に戻した。
ああ。。。他国の者から「赤界」と呼ばれる理由がわかった。トーンの違う、赤、橙、黄色の渦しか見えない。それも渦を巻いて動いている。上下の間隔も怪しくなる。
この空間に迷い込んだら、何をするのが一番か亜遊には分かるだろうとワタリは思った。

遠くには居ない。直ぐそこにいる。ワタリは赤色の目に戻ると外苑を歩き回った。ほんの300メートル先に子供を抱いた亜遊がいた。




亜遊は子供を抱いて座って子供に話しかけていた。
「思った通り。座るのが一番です。流石は亜遊様。」とワタリが言うと「その声は弥川之皇の尊」?私には赤い渦しか見えない。」
「私の名前はワタリだと言ったでしょう。ここは謎の国。赤鬼が造った国。鬼の手下しか住めないように作られているのです。私が亜遊様の腕を掴みますから、目を瞑って一緒に帰りましょう。」
ゆっくりゆっくり歩きながら「母子の家」に向かった。
途中でワタリは亜遊からもらった手紙のお礼を言った。
亜遊は「私と同じ扱いを受けているワタリのことは、よく考えていたの。だから、鬼に食べられると聞いて手紙を書こうと思った。。。でも、ワタリは違ったんだね。鬼の手下になって得意なことを仕事にできた。良かったね。私も王妃でなくなってから、いろんなことをしてきた。高天原のベテラン女官だよ。綺麗な着物を着た人形じゃなくなった。今の私は高天原の者。己の役目を果たすのが神界に住む我らの務めでしょ。だからね、この子が外に飛び出した時、引き戻そうとお着物を掴んだの。そしたら一緒に赤い渦に巻き込まれちゃった。ご迷惑をおかけしました。」と言って少し頭を下げた。
「いいえ。母子の家の弱点がわかりました。帰ったら直ぐ直します。亜遊様」

ワタリは母子の家に亜遊とルリを連れ戻った。
通気口は塞いで仕舞えばいい。直ぐに作業に取り掛かった。終わるとアズサに事の経緯を説明して対処も終わったと報告した。ルリの母はワタリに泣いてお礼を言った。アズサもお礼と共に「私も赤族の目」を持っているのに違う世界にいるという危機感が足りず反省しています。」と言っていた。「気をつけて暮らすように大人達に話します。」とも言った。

エラことエリ様は、正体がバレてもボランティアを辞めなかった。
ミホもアズサも知らんぷりしてあげることにした。
亜遊は「それの何が問題ですか?」という態度でエラと一緒に花壇の世話をしたり子供を預かったりした。

紫袴の女官、抄花だけはエラと距離を置いていた。怖かったのである。


15に続く。。。



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