落語の方にはよく、馬鹿の与太郎というのが出てまいりますが、この馬鹿というのにもいろいろありまして、四十八馬鹿百馬鹿と、細かくタイプ分けがされている。このなかには兄弟で馬鹿というのがありまして、
「あんちゃん、あんちゃんってんだよ」
「な、なんだよ、急にこっち向くんじゃないよ。おまえのツラはそれでなくてもすごいんだから。ええ。なんだってんだ」
「えへへ。あのさ、あんちゃん。1年ってのはあれ、13ヶ月あるんだよな?」
「・・・かーっ。馬鹿だねおまえは、本当に。そんなこと言ってるからみんなから馬鹿にされんだよ。そんなわけねえだろ!」
「ええ、だってそうだろ? いちがつ、にがつ、さんがつ、しがつ、ごがつ、ろくがつ、なながつ、はちがつ、くがつ、じゅうがつ、じゅういちがつ、じゅうにがつ・・・お正月。ほらみろ、13ヶ月じゃねえか」
「ばかやろ、盆が抜けてら」
とまあ、どちらが馬鹿なんだかわからなかったりします。
これだけでも十分迷惑なんですが、さらに恐ろしい方向に発展すると、一家総出で馬鹿、なんてのがありまして。
「あんちゃんあんちゃん」
「なんだよ」
「あのさあ、来年の桃の節句と端午の節句は、どっちが早く来るのかなあ」
「ばか! ばかばかばか! おまえそんなのわかんないの? 生きるにあたって頭つかってるか? そんなの決まってるだろ、桃の節句が早く来ることもあれば、端午の節句が早く来ることもあるんだよ。なあ、おとっつぁん、そうだろ?」
おとっつぁんは奥の部屋から怒鳴りつけた。
「ばかやろう、来年のことが今からわかるか」
それを聞いてたおっかさん。
「あらまあ、やっぱりうちのひとは、心強いよぉ」
かき麿
「あんちゃん、あんちゃんってんだよ」
「な、なんだよ、急にこっち向くんじゃないよ。おまえのツラはそれでなくてもすごいんだから。ええ。なんだってんだ」
「えへへ。あのさ、あんちゃん。1年ってのはあれ、13ヶ月あるんだよな?」
「・・・かーっ。馬鹿だねおまえは、本当に。そんなこと言ってるからみんなから馬鹿にされんだよ。そんなわけねえだろ!」
「ええ、だってそうだろ? いちがつ、にがつ、さんがつ、しがつ、ごがつ、ろくがつ、なながつ、はちがつ、くがつ、じゅうがつ、じゅういちがつ、じゅうにがつ・・・お正月。ほらみろ、13ヶ月じゃねえか」
「ばかやろ、盆が抜けてら」
とまあ、どちらが馬鹿なんだかわからなかったりします。
これだけでも十分迷惑なんですが、さらに恐ろしい方向に発展すると、一家総出で馬鹿、なんてのがありまして。
「あんちゃんあんちゃん」
「なんだよ」
「あのさあ、来年の桃の節句と端午の節句は、どっちが早く来るのかなあ」
「ばか! ばかばかばか! おまえそんなのわかんないの? 生きるにあたって頭つかってるか? そんなの決まってるだろ、桃の節句が早く来ることもあれば、端午の節句が早く来ることもあるんだよ。なあ、おとっつぁん、そうだろ?」
おとっつぁんは奥の部屋から怒鳴りつけた。
「ばかやろう、来年のことが今からわかるか」
それを聞いてたおっかさん。
「あらまあ、やっぱりうちのひとは、心強いよぉ」
かき麿
なにがあっても、旦那を立てる。
教育上一番のことです。
こういう家庭だから、父親を尊敬し、言うことも聞く子供になり、
犯罪に走る子供にならないのです。
母親次第なのです。
そういう解釈もあるのですね。
奥が深いなあ。