かみいた落語塾

噺家さんの指導のもと、小咄から古典落語までしっかり学べる、老若男女うぇるかむの落語団体、上板橋落語塾のかわら版!!

小咄ノート13「男女の仲」

2005年10月07日 | 参考書
世の中がいろいろと変わってまいりまして、男女の仲なんてのも昔と今では、ずいぶんと違ってきてるみたいですね。この前なんかも電車に乗っておりましたら、高校生くらいの男の子と女の子が、人目も気にせず、ちゅんちゅくちゅうちゅう。。。
ねえ、ほんとにうらやまし・・・じゃない、嫌になっちゃいますがね。

昔はってえと、そんなことはありません。
女の子なんか、普段から恋焦がれている男性を往来で見かけただけで、真っ赤になってうつむいちゃってたくらいで。
「あ、、、向こうからあの人が・・・恥ずかしい・・・」
なんてね。こういうときですよ、男が恋におちる瞬間というのは。

で、「そろそろ行ってしまわれたかしら」なんて顔をあげると、男の方も真っ赤になって固まっていたり。
結局お互い三日間、その場に立ち尽くしていたなんて話もありますが。

周りの見る目もそうだったようですね。
「おい見ろよ、あそこの若い男女。さっきからぺちゃくちゃぺちゃくちゃ・・・もう3時間以上も立ち話してるよ」
「えぇ? 3時間以上? うそだ・・・」
「うそじゃねえって、おれは3時間前から、ずっと見てたんだから!」
「ず、ずっと見てたの? 偉いねおまえも。どれ・・・ああ、いるな。あの若い男女が、ふうん。それにしてもあれだな、あの女のほう、ずいぶんといい女だな」
「そう、そうなんだよ。それがだよ、ずっと、いちゃいちゃいちゃいちゃ・・・ちくしょー!!」
「な、泣いてンのか。まあ、おまえの気持ちもわかるよ。なあ、冗談じゃねえよ。第一、町内の風紀が乱れるってんだ」
「そうだ!」
「よし、じゃあひとつ、ふんどしでもぶつけてやろうじゃねえか」
「ふ、ふんどし?」
「おうよ。おめえなんぞ、何日も洗ってねんだろ。それをさ、ぶつけてやるのよ」
「ああ、なるほど! ・・・でもなあ。おれ今日、ふんどし締めてねんだよ」
「ひどいやつだね、どうも。じゃあ、水でもぶっかけるか。・・・いくぞ? そーれ!」
バーンと水をぶっかけちゃう。
あとから聞いてみると、色でも恋でもなんでもない。兄妹でもって引越しの相談をしてた、なんて話もあります。

晴れて夫婦になってからもそうですな。
昔のご夫婦というのは、おもてを歩いていても、並んで歩くことなんぞなかった。奥様の方が、旦那様の後を2,3歩遅れて、そそとしてついて歩く。どうかするってえと、5歩も6歩も遅れて歩く。
今の人には信じられないかもしれませんが、昔は男が強いといわれていたんですな。
今はってえと、なんですかね、奥様のほうがハムのような身体をゆすって、前を歩く。その後ろを5個も6個も買い物袋持たされた旦那様が、ついて歩く。
「あなたぁ! ぐずぐずしない!」
なんてね。
旦那様のほうは哀れですよ。
「ちょ、ちょっとまって、せめて一つは荷物持ってぇ!!」

今だって、お年寄りなんかは、そんなことないんですよ。
奥様のほうがやっぱり、遅れて歩くようでして。。。
この前なんかも、池袋で呼び止められましてね。

「おや、かき麿さんじゃないか」
「あれ、社長! ご無沙汰してます」
その社長は、普段渋谷に住んでいるんですが、池袋で会うなんぞ珍しいものですから、

「今日はどうされたんですか?」
「いや、なにね。恥ずかしい話なんだが、女房に頼まれてね、買い物につきあっているんだよ」
「あれ、いいじゃないですかぁ。そうですか、お二人でお買い物に。。。って、あれ、奥様のお姿が見えないようですが・・・」
「いますよ」
「へ? どこに?」
「うーん。いまごろ、新宿あたりじゃないかな」

かき麿

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