Waking Life
2001年 アメリカ
脚本・監督 リチャード・リンクレイター
美術監督:ボブ・サビストン
出演 ワイリー・ウィギンズ/イーサン・ホーク/ジュリー・デルビー
スティーブン・ソダーバーグ/リチャード・リンクレイター 他たくさん




夢の中で生きている。
何度も何度もくりかえし。
目が覚めたと思ってもまだ夢の中。
そのくりかえしにウンザリすると
目覚めたいと思うようになる。
目覚めたいと思うなら、目覚めればいい
リンクレイター監督は言う。
それはきっと信じられないほどに簡単なことなんだろう。
勝手に人間が制限を作り出しているだけなんだろう。
空を飛ぶことやテレポーテイションだって
かんたんにできるに違いない。
目覚めるということは
今の瞬間を受け入れるということ。
「今」という瞬間を拒否して
「次」を延々と求めて
夢をみて生きるんじゃなくて。
そして
「今」の瞬間を受け入れるということは
すべてを受け入れるということ。
「いつか」のために生きるんじゃなくて
不満足だと思っている部分も含めて
「今」の全部を受け入れるということ。
一瞬一瞬の感覚の中で
喜びを感じるっていうことらしい。
「否定」からは自己探求は難しい
と、映画の中でおじいさんが言っていた。
たまにラッキーな出来事が起こって
喜びから「今」の瞬間を自然と受け入れることができて
素晴らしい出来事を連続で体験したとしても
誰かに腹を立てたり、うす黒い気分になると
その奇跡がウソだったみたいにぴたっと止まる。
だから、いままでのツキを
「奇跡」とか「幸運」だとしか呼べなくなる。
運命のいたずらとしか思えない。
そしてまた夢の中で生きる。
「今」を受け入れたときの素晴らしさを
思い出すこともできなくなって。
でも本当の意味で目覚めれば人間だって
マジカルな世界の中で生きることが
できるのかもしれない。
できるんだと思う。




そんなふうに考えさせてくれる
霊性と現実の結び付けかたを教えてくれる映画だった。
日々の生活の中で気づかなくなってしまっている大事なことを
いろんな面からたくさん情報として教えてくれる。
全部まじめに聞いていると疲れるけど、そのうちに
大量な情報の中から好きな部分だけ受け取ればいいんだ
ってことがわかってくる。
5分でぶっ飛ぶ快感ドラッグムーヴィーとかいう宣伝文句が
ついていたけど、全然そんなんじゃないまじめな作品だった。
この監督が前に撮った「恋人たちの距離」もおもしろかった。
それはリンレイター監督のベースの部分に
自分が共感しているからなんだと
この『ウェイキング・ライフ』をみて気がついた。




スピリチュアルなことが苦手な人も入りやすいように
表向きには「夢」をみているという設定にしてあるけど、
この作品の中でもどこかで言っているとおり
「夢」を扱った作品はほとんどが駄作だから
「夢」の映画だと勘違いされるリスクも背負って
リンクレイター監督はこの映画を撮ったんだと思う。
すごくまじめに、しかもおもいきり。
実写にデジタルペインティングを施してあるそうだ。
気が遠くなりそうな作業!!