goo blog サービス終了のお知らせ 

映画メモbox

ビデオで観た映画のメモ。直感的感想メモです。

キング・オブ・ポルノ

2005-06-18 07:15:07 | 堕ちてゆく
RATED X 2000年 アメリカ
監督 エミリオ・エステベス
原作 デヴィッド・マッカムバー
脚本 ノーマン・スナイダー/
アン・メレディス/デヴィッド・ホランダー
編集クレイグ・バセット
出演 エミリオ・エステベス/チャーリー・シーン
テリー・オクィン/ミーガン・ウォード
レイファー・ウィゲル/トレイシー・ハストン他




エミリオ・エステベスの監督作品。

『グリーンドア』などのポルノ映画制作で
有名になったミッチェル兄弟の話だった。

兄へのちょっとしたコンプレックスと甘えから
どんどん堕ちていってしまう弟役を
チャーリー・シーンが、
そして
弟を愛するあまり
世話を焼きすぎて
いっしょに転げ落ちていってしまう兄役を
チャーリー・シーンの実兄
エミリオ・エステベスが演じている。

この兄弟が演じていなかったら
こんなに作品に気持ちを近づけてみることは
できなかったかもしれない。
そしてエミリオ・エステベスが監督じゃなかったら
全く別のものになっていたはず。



こんなふうに今、
最高の状態のチャーリー・シーンを
撮ってあげることができるのは
エミリオ・エステベスしかいない。
みんながチャーリー・シーンに抱いているままの
イカレたイメージと、憎めない純真さ。
彼は、この作品の兄と同じように
弟を愛しているんだと思う。


もっといろんなふうに
撮ることもできる作品だと思うけど
エミリオ・エステベスは
“兄弟の憎しみ合い”にじゃなくて
“兄が弟を思う気持ち”にだけ忠実に
この映画を撮った。
エミリオ・エステベスが撮るなら
私はこれがいいと思う。


エンドクレジットの後ろに
雨と嵐の音が入っているところが
気に入った。
エミリオ・エステベスの
ひたむきさと誠実さが感じられる
気持ちの良い作品だった。

こんな純粋な映画は
あんまりないので貴重だと思う。



 
何年か前、
アクション映画に出演したときのインタビューで
「キケンなシーンもあなた自身が演じたのですか?」
という質問に
「なんでスタントがいるのに
俺がそんなことやらなきゃいけないんだ?
俺の仕事はキケンに体を張ることじゃない」
というようなことを答えていて
突然チャーリー・シーンが好きになりました。


これはビデオ(or DVD)でみるのにぴったりな作品だと思います。
私はビデオで映画をみるのが好きなので
こんな作品をずっと待っていました。
1年に1、2本あるかないかだけど…。

温度感がちょうどいいんだと思います。
映画館で見たら、さみしい気持ちになるのかもしれないけど
ビデオでみるとなぜかさみしい気持ちにはならない。
日常に寄りそった作品なのかもしれません。
日常というか、日頃の感情に。


キング・オブ・ポルノ@映画生活



パーティ★モンスター

2004-12-05 01:35:42 | 堕ちてゆく
party monster
2003年 アメリカ・オランダ
監督・脚本 フェントン・ベイリー/ランディ・バルバート
原作 ジェイムズ・セント・ジェイムズ「ディスコ殺人事件」
プロダクションデザイナー アンドレア・スタンリー 
衣装デザイナー マイケル・ウィルキンソン 
ヘアメイクアップ カブキ  撮影 テオドロ・マニアツチ 
音楽 ジミー・ハリー  音楽スーパーバイザー ハワード・パー
出演 マコーレー・カルキン/セス・グリーン/マリリン・マンソン
ウィルマー・ヴァルデラマ/ジャスティン・ヘイゲン/
ディラン・マクダーモット/ウィルソン・クルーズ/クロエ・セヴィニー





「存在すること」が仕事なんて最高だ。
「ファ~ビュラスでいること」。
セス・グリーンは原作者役を演じるにあたり、
本人からそうアドバイスをもらったそうだ。
ファビュラスでいることが仕事。
すてき。
             



80年代後半~90年代初頭のクラブ・キッズの実話。
能天気でうるおっていた時代なんだなと思う。
この映画の空気感もうるおっていてセクシー。
そして、sexシーンなんてひとつもないところがすごくいい。
監督はわかっているひとなんだなあと感心する。



魔法がかかった世界の中でしか会えそうもない
マイケル・アリグという実在の人物の役を
マコーレー・カルキンが演じてた。
このマジックみたいな夢みたいな
世界の中にリアルに住むことのできるのは
マコーレー・カルキンしかいないよ!!
と、みおわった後、心から思う。

演技しているマコーレー・カルキンをみるのは
これが初めてだ。(子役時代の映画をみたことがない。)
なんか、口もうまくまわってないみたいだし
身体つきも演技もまだ子供みたいなんだけど
そんなマコーレー・カルキンじゃないとこの映画は
もしかしたらコケてしまっていたかもしれない。
マコーレー・カルキンの存在自体が
もうこの映画の役にぴったりなんだ。





いたずらにしても、それ以上の悪いことをやるにしても
いいことといけないことの境界線が
本気でグチャグチャなマイケル。
何をしてしまっても、謝ることはあっても
罪深く自分を思わないところが大好き。
そしてそういうことが許される
(許されなかったとしても通ってしまうというか、
いまみたいに低い位置まで降ろされて
どす黒いイメージをはりつけられるわけではない)
90年初頭っていいな。
みんなに余裕のある時代だったんだと思う。

クラブシーンとマイケルの生活がだんだん廃れていく様子も
あんまり悲しくなく描かれているところもすきだ。
魔法のオーラとかモヤがどんどんなくなって
子供の面影が残るマイケルの輪郭がはっきりと
画面に映るだけで充分悲しさがわかるから。
メチャクチャにやってきたマイケルが
「もうメチャクチャだ」って言うなんて笑っちゃう。
そして、悲しい。





こんなふうに撮ってある映画をずっとみたかった。
時代の1シーンを切り取るのって難しいのか
いままでたくさんこういう映画をみたけれど
みんなコケてた。
この映画も雑誌で酷評されているのを読んだことがあった。
でも私の欲求は充分に満たされた。
その時代の空気感を狂いのないように
大切に撮ってある作品だと思う。
ときどき、ピタッと映画が停まってしまうんじゃないかって
ヒヤヒヤさせられる前半のいびつな感じも含めて大好きだ。




監督の2人はドキュメンタリー版の「party monster」を
1999年にすでに撮っている。
イメージがはっきりしているせいか、キャスティングが端役まで完璧だと思う。
セス・グリーン(いつも変な映画に出てる。チャーミングな演技で大好き)も、
マリリン・マンソン(すごい! この完璧なひとは誰?!と思ったら…)も、
ボーイフレンド役のひとも、赤毛のひとも、憎くてダサいエンジェル役のひとも、
みんなみんなぴったりだ!! 
衣装とメイクももちろんステキ。
映画で使われた衣装の多くは実際のクラブキッズから提供(1000着以上も!!)
されたものだそうだ。OFのときの衣装もよかった。




『パーティ★モンスター』についてのみなさんの記事

むーびーだいやり~
Let me go








 

コンフェッション

2004-08-30 23:43:32 | 堕ちてゆく
Confessions of a Dangerous Mind2002年 アメリカ
監督・製作 ジョージ・クルーニー
原作 チャック・バリス
脚本 チャーリー・カウフマン     
撮影 トム・サイゲル
出演 サム・ロックウェル/ ドリュー・バリモア
   ジョージ・クルーニー/ジュリア・ロバーツ/ルトガー・ハウアー 他


『コンフェッション』は、ジョージ・クルーニーの初監督作品。

楽しみにして観た。
観た人はみんなつまんないと言ってたけど。
国家的殺人をTVプロデューサーがやっていた
という題材がおもしろいし、
ジョージ・クルーニーの映画制作のセンスが好きだから。
前に彼がプロデュースしたマーク・ウォルバーグ主演の
『ロック・スター』もロック映画のツボをついていて、
最高!   
    
           
『ロック・スター』のときのようには、
題材からみんなが期待するものを見せてくれない。
タイミングがズレてズレていくかんじ。
スカッとさせてはくれない。

でも観終わったあと、その「ズレ」は
ジョージ・クルーニーが意図したものだったんじゃないか
って気がしてくる。

自分のバカな番組の司会をしながらも、
いつ殺されるのかヒヤヒヤしながら
主人公の精神状態はボロボロ。

脈打ってみえるような日常の中で
まみれていることしかできなくて、
自分がどんどん行きたくないところへ
落ちていってしまっているのに
どうにもできないかんじ。

そういうシーンが
ずっと心に引っかかってる。

あの「ズレ」のせいで。

この主人公の人生においては
(彼の二重生活においては)、
すべてのエピソードは体感から
ズレてズレてあったんじゃないかと思う。
それをジョージ・クルーニーは
一生懸命表現しようとしたのかもしれない。

きっと、この人物(チャック・バリス)に
共感するところがあったんだと思う。
ジョージ・クルーニーとこの作品の距離が近づきすぎたために、
私たち観客にはその意図が見えづらくなったのかも。


「自分だけがみんなとちがう精神状態で生きていくコドク」の話。
程度はぜんぜんちがう(殺人したことない)けど、共感。

 

コンフェッション@映画生活