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映画メモbox

ビデオで観た映画のメモ。直感的感想メモです。

ペイチェック 消された記憶

2005-01-26 07:00:30 | スピリチュアル

PAYCHECK
2003年 アメリカ
原作 フィリップ・K・ディック
監督 ジョン・ウー 脚本 ディーン・ジョーガリス
製作 テレンス・チャン他
撮影 ジェフリー・L・キンボール
出演ベン・アフレック/ウマ・サーマン/アーロン・エッカート
ポール・ジアマッティ/コルム・フィオール



細木数子氏の占いによると、
私はいま大殺界にいるらしい。
来年の節分まで何をしても上手くいかないので
新しいことはやらないほうがいいらしい。

それを知ってしまってすごく後悔した。
知らないほうがよかった。
知ってしまってからは、
何をやるときでも「きっとまたうまくいかないんだろうな」
と、どっかで必ず思っちゃう。
何をやってもうまくいかなかったとしても
ただ単に、自分のやりかたが悪かったとか
タイミングがいまひとつだったとか、
そういうふうに思えたほうがずっと幸せ。
でも『大殺界』という言葉のインパクトがありすぎて、
忘れたくても忘れられないのだ!
私は『大殺界』に支配されてる。



でもマイケル(ベン・アフレックの役)だって未来を変えたし、
谷亮子選手だって予言を「愛」の恐るべき力で変えて
金メダルを取ったし。
ほんとうは未来は未知なんだと思う。
家系から、私はこんな病気にかかるだろうとか、
この人とはきっとうまくいかないだろうとか、
そんな自分で考えるちょっとした予測さえも
自分を支配して現実にする力を持っているんだと思う。
そう考えると、人の思考ってすごい威力で怖い。

「未来を見ると、ひとは未来に支配される」
このメッセージが描かれた瞬間、
フィリップ・K・ディックのスピリチュアルな世界の中に
グワーン!! と入り込んだような快感とともに
『大殺界』の支配が解けたような気がした。





この映画はすごくSFっぽい感じがした。
自分にとってのSFっぽさっていうのは、
ハイテクと、「愛のちから」っていう原始的だけど
ハイパーなものが合体されたものなんだなと
この映画をみてわかった。

『フェイス・オフ』以来、久しぶりに
ジョン・ウー監督の作品をみたけど、
ハイテンションですべてのカットに力がみなぎっていて
ステキな監督だと思う。

ジョン・ウー監督は最初、
ベンの役をマット・デイモンにオファーしたらしい。
でもベン・アフレックでとってもよかったと思う。
ベン・アフレックの正統派な顔はSFっぽいから。
ウマ・サーマンも久しぶりによかった!! 『キル・ビル』の
アクションシーンではなんだかトロくみえていたのに
この映画でのウマはすばやく動いてた。
アクションの王様ジョン・ウー監督の力技?!。

あと、アクションの部分(カーチェイスとか)も
SFだからといって、車が空を飛んだりワープしたりしなくて
ちゃんと地道に逃げたり追ったりしてくれてて、
なぜか「うれしい」と思ったのだった。


ペイチェック 消された記憶@映画生活

 

女はみんな生きている

2005-01-23 22:39:41 | いろんな「愛」のかたち
Chaos
2000年 フランス
監督・脚本 コリーヌ・セロー
撮影 ジャン=フランソワ・ロパン(ベティ・ブルー)(今回はデジタル撮影)
音楽 リュドヴィク・ナヴァール 編集 カトリーヌ・ルノー
カトリーヌ・フロ/ラシダ・ブラクニ/ヴァンサン・ランドン
リーヌ・ルノー/オレリアン・ウイイク 他




愛情っていうのは、
そのひとを知ろうとする気持ちから
派生していくものなのかもしれない。
そしてそういう気持ちを持って、初めて
「生きてる」と言えるのかもしれない、
とこの映画をみて思った。

こんなことを描こうとして
描けてしまうフランス映画って
ほんとにすごい!




フランス映画っておもしろいなと
いつも思うのは人物がかわいいところ。
プライド(どうでもいい部分の)を
低く設定されてるひとたちが出てくるところ。

息子のつき合っていた女の子たち2人が(二股かけてた)
それぞれの新しい恋人と
自分のアパートに住み着いちゃっても
彼もそこに混じって眠っちゃうような。
ふつうは追い出すと思うけど。
とりあえず、なんでも受け入れちゃうところが
おかしくてかわいい。

そして、本当に大切な意味でのプライドは
高く高くあって、みんながそれを大切にしようとしてて
でもどうしたらいいのかもわからなくて
混沌とした世界が生まれているような気がする。
好き勝手にもがいているその空間は
みている私にとってすごく居心地がいい。


自分の親に対して無関心で
居留守を使う中年の息子夫婦。
そのまたティーン・エイジャーの息子も同じく。
親に無関心で居留守をつかったり、
みんなみんな忙しく
自分中心で生きている。

そんな彼らの日常をグネグネねじれさせて
目を覚まさせ、しかも売春組織のことや
大金がからむ事件まであって…などの
ドラマのすべてが2時間弱におさまっているなんて!
6時間の映画をみたような充実感だった。






あんまりにもすばらしい映画って
感想があんまり出ません。

始まってすぐに事件が起きるので
(ほんとうにビックリするほどすぐ。タイトルより前!)
フランス映画ってかったるいと思うひとでも
入りやすいと思います。
コリーヌ・セロー監督の『赤ちゃんに乾杯!』は
1985年にセザール賞最優秀作品賞・脚本賞を受賞し、
アメリカでリメイク版『スリー・メン&ベイビー』(87)
が作られたのだそうです。
この監督のほかの映画もみたいと思いました。

(あと、どうでもいいことですが、
主人公の家に飾ってあった「福」の書が
さかさまになっていたのが気になりました。)



女はみんな生きている@映画生活








ゾルタン★星人

2005-01-17 05:16:39 | コメディ

Dude,Where’s My Car                    
2000年 アメリカ
監督 ダニー・レイナー  脚本 フィリップ・スターク
撮影 ロバート・スティーヴンス
出演 アシュトン・カッチャー/ショーン・ウィリアム・スコット 他
 


 
アシュトン・カッチャー、
監督が困惑するほど演技がヘタ、
というような記事を読んだことがある。
だからいままでアシュトン・カッチャーの映画は
観ないように観ないように避けてきたけど、
とうとう観た! 
なぜかっていうとこの映画は
天つば↑↓CINE TALKさんのところで
星4つ! をもらっていたから。


 
私はアシュトン・カッチャー、すごくよかった。
表も裏も暗さが1パーセントもない笑顔が。
こんな笑顔ができるひとなんている?!
大人なのに。5歳児くらいの笑顔だ。
それをみてると、嫌なことがサーッと消えていきそうになる。
明日から、自分も良い人間になれそうな気さえする。


昨日の記憶なんてなくてもいいんじゃないかな?
これはゾルタン星人に消されたせいだけど、
そうじゃなくても、主人公の2人は覚えていなさそう…。
そして、それって楽しそう。
人は記憶があるから時間を無駄使いするのかもしれない。
後悔したり、余計な予定を立てたりとか。
この2人はバカだけど、1日をおもいきり遊んでいてうらやましかった。


これに出てくる悪者『超いい女の巨人』てすごい発想。
超いい女なのに、ゴジラみたいにドスドス歩いて怖いの。
そして、かわいいパンツもちゃんと履いてる。
すごーくモヤモヤする変な怪物だ。
でも、2人はバカだから何を見ても別にあんまり驚かなくて、
そのくせ、クルクル巻きのストローに感激したりする。
このシーンで、「ああッ!」と胸がしめつけられた。
私もカラーのクルクル巻きのストローに
感動したことがあったことを思い出したから!
どうしていま、そのストローで毎日ジュースを飲まないんだろう?
飲むべきだ! 絶対。
それから、お弁当箱に夜ご飯をつめて食べたりもしよう!
(↑『ゾルタン星人』とは関係ありません。)

   
                                
 
 
汚れたこころをクリーンにしたい時にはオススメです。
アシュトン・カッチャーにはそういう効能があると思う。 

ゾルタン★星人@映画生活








アドルフの画集

2005-01-07 22:47:13 | 芸術家の人生
MAX
2002年 ハンガリー・カナダ・イギリス
監督・脚本 メノ・メイエス
製作 アンドラス・ハモリ
撮影監督 ラホス・コルタイ 美術デザイナー ベン・ヴァン・オス
出演 ジョン・キューザック/ノア・テイラー
   リーリー・ソビエスキー


ヒトラーが画家になりたかった頃の話。




画商のMAXはあらゆることにに芸術を見出す男だ。
あらゆるところに芸術を見たいのかもしれない。
MAXも絵を描いていた。
でも戦争で右腕を失って
もう描くことができなくなった。
だからこそ前よりも広い目を持って
芸術を探すようになったのかもしれない。

彼はヒトラーの絵にも才能を見たがっていた。
ヒトラーという人間の奥に隠れている何かを
知りたかったのかもしれない。
何か過剰なそれが
絵の才能だと信じたかったのかもしれない。

ヒトラー自身もそう信じたがってた。
でも自然の流れで、
運命のめぐり合わせで
ヒトラーは絵を捨てて政治家になった。
本当は絵を描いて、お金持ちのひとたちに買ってもらって
みとめられたかったのに。
絵のために政治活動をやめる決心だってしてたのに。

運命はヒトラーに政治を選ばせるようにしている。
(ようにみえる。)
演説をヒトラーに頼んだ陸軍将校が、
「キミの頭脳が絵の具で、観客はキャンパスだ。
さあ、行って絵を描いてこい」と言う。
ヒトラーは観客というまっ白のキャンパスに色をぬり
自在に絵を描くことができる。
才能だと思う。
MAXに認められた最後の近未来の絵だって、
ヒトラー帝国の元になるスケッチだし。
ヒトラーは絵を描いているときよりも
演説をしているときのほうがイキイキしているし、魅力的。
そんなふうに、ひとは自分が活かせる方へ
流れていくのが自然なんじゃないだろうか?
ヒトラーの意思や憎しみからというよりも
「運命」のほうが強い気がした。

ヒトラーがMAXに、
「私を古くさい価値観でカテゴライズしないでくれ。
私の政治活動こそがニュー・アートだ」
というようなことを言っているシーンがある。
MAXはそれを負け犬の遠吠えのようにして聞いていたけど、
私はヒトラーの言っていることに共感してしまった。
(製作者側は自己表現できない喪失感・欲求不満が
彼を政治に向かわせたと言っていたけど)
ヒトラーにとっては結局、政治がアートだったんだと思う。
そして、MAXに認められた最後のスケッチを
現実社会の中で作り上げた。
自分の意思に反して、悪の方にしかパワーを向けられないことは
ヒトラーにとっても不思議だったに違いない。




芸術について考えているひとにはおすすめな映画。
ジョン・キューザックがたくさんの答えをくれます。
ヒトラー役のノア・テイラー(『シャイン』で主人公の青年期を演じた俳優)
の演説シーンがスゴイ…!! これをみるだけでも価値ありと思える。

アドルフの画集@映画生活





アメリカン・ラプソディ

2005-01-04 00:08:50 | 家族
AN AMERICAN RHAPSODY
2001年 アメリカ・ハンガリー
監督・脚本 エヴァ・ガルドス
撮影 エレメール・ラガリイ
出演 スカーレット・ヨハンソン/ナスターシャ・キンスキー/
   ラファエラ・バンサギ/トニー・ゴールドウィン

(1950年代、自由を求めてハンガリーからアメリカに亡命した家族。
末の娘ジュジーだけがアクシデントから置き去りにされる。
6年後、やっと本当の家族と出会えたジュジーの物語。)

((ラストのことまで書いてあるので、これからみる予定のある方はご注意!!))


  
小さい頃、従兄弟の家に泊まりに行って
真夜中、自分の家に帰りたくなって泣いたことがある。
すごくコドクを感じて。
この家のひとはみんな
私のことを本当には知らないから。           
                             
いつもは毛布でできたクマの寝袋に入って寝ていることとか
寝る前に養命酒を飲まなきゃいけないこととか
清潔魔のお母さんが洗濯したバスタオルのにおいを嗅ぎたいとか
そういう細かいことだけど。

この映画をみて、そのときのことを思い出した。
私は次の日になったら帰れるからいい。
でもジュジーは帰れない。
本当の家族といるのにコドク。            
5歳(6歳?)のジュジーにとっての両親は、            
いままで育ててくれたハンガリーの里親なのだ。
アメリカで一緒に暮らすことになった本当の両親じゃなくて。

家族の中でジュジーだけが別の歴史を持っている。
そして、他の3人はジュジーの歴史をあまり想像してはくれない。

5歳まで育ててくれたハンガリーの里親の
優しさとか暖かさとかおおらかさが
ジュジーの記憶にある。
ジュジーだけの記憶に。
みんなはそれを知らない。
それが痛々しい。
アメリカの本当の両親は
やっと一緒に暮らせることになって喜んで
彼女に触れることができて、
優しくキスすることはできても
彼女のいままでの記憶を共有することはできない。
だから彼女を理解することができない。
いくらきつく抱きしめても無理。
ジュジーのコドクは変わらない。             

ジュジーは高校までそのままアメリカで暮らした。
ふるさとのハンガリーのことを思いながら。
覆いかぶさるように一方的に愛を与える母親に反抗しながら。
宙ぶらりんな心のまま。
でも、その間にまたジュジーの歴史が作られていたのだ!
ジュジーはハンガリーに行って
そのことを確認できてよかったと思う。


   
最近、映画をみていると、
愛ってなんだろう?
とたびたび思う。
この作品をみてるときも考えた。

愛ってなんだろう?

与えるもの?
相手を理解しようとすること?
束縛しないこと?


だけど、よけいなものがいっぱい
ごちゃごちゃくっついていて分かりにくくなっていても
根底は「愛」、な場合もあると思うし、

よくわからない。




    
アイデンティティ・クライシスの話だと思います。

エヴァ・ガルドス監督の実体験! が元になっているストーリー。