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映画メモbox

ビデオで観た映画のメモ。直感的感想メモです。

KEN PARK

2005-02-12 06:50:49 | 少年ひりひり
KEN PARK
2002年 アメリカ・オランダ・フランス
監督 ラリー・クラーク/エド・ラックマン
脚本 ハーモニー・コリン
撮影 エド・ラックマン/ラリー・クラーク
美術 クレイグ・ゲットマン 編集 アンドリュー・ハフィッツ
衣装 ミッシェル・ポッシェ
出演 ジェームス・ランソン/ティファニー・ライモス
スティーヴン・ブーラード/マイク・アパレティーグ 他


少年少女にやさしい映画。
やさしさを感じる映画だった。

            

荒廃した中での
みんなのデリケートな気持ち。
相手が別の方向を向いていたり、
それ以前に自分の中で
感情がグシャグシャになっていたり。
どこにでもいいからそれを向けたい
どうにもならなさ感。

ラリー・クラーク&エド・ラックマン監督は
ステキなラスト・シーンをみせてくれていた。

少年少女3人のセックス。
魂の回復のような。
汚されたり、傷の入ったオーラを
修復するような。
天国にたどり着いて
一番最初に行われる儀式みたいだ。
汚されたかもしれないけど
傷ついたかもしれないけど
ちゃんと気持ちよくなっていいんだよ
っていうメッセージが聞こえてる。


そして私は、
この映画みたいな環境じゃなくても、
少年少女のエネルギーを
純化させるためのセックスは
なによりも清くて正しいんだ
やっぱり!!
と思い、何かに対して怒りたいような
気分になったのだった。





ラリー・クラーク&エド・ラックマン監督が1人1人の少年少女を
きちんと愛してこの映画を撮ったってことが
とってもよくわかる作品だった。



少年少女役のほとんどは演技経験のない人たちなのだそうです。
ラリー・クラーク&エド・ラックマン監督は
若者の才能を引きずりだすのが上手。
そしてすごくストレートに少年少女の気持ちの中をみせてくれる。

ラストの3人のセックスシーンは「私のアイディア」と
ラリー・クラーク監督がインタビューで言っていました。
脚本は『KIDS』のときと同じくハーモニー・コリン。
       


KEN PARK@映画生活





エレファント

2005-02-09 05:28:15 | 少年ひりひり
Elephant(2003年カンヌ国際映画祭 パルムドール&監督賞受賞)
2003年 アメリカ
監督・脚本・編集 ガス・ヴァン・サント
製作 ダニー・ウルフ 製作総指揮 ダイアン・キートン/ビル・ロビンソン
音響デザイン レスリー・シャッツ 撮影 ハリス・サヴィデス
出演 アレックス・フロスト/ジョン・ロビンソン
エリック・デューレン他 




少年たちの後姿を延々とみていて、
高校のときの退屈だったことを思い出した。
いつになったら大人になれるのかっていうくらい
1年は長くて退屈だった。

そんなことを思い出して
眠りそうになりながら
アレックスが弾く「エリーゼのために」を聞いたとき
「美」という言葉が浮かんできた。
ピアノの音から
アレックスの持つ
美の世界を感じたんだと思う。


アレックスはきっと美しいものがすき。
でも学校ではいじめられていて
美意識はめちゃめちゃに破壊されてて
彼の理想の世界とは
ほど遠かったんじゃないだろうか?

人を殺すことや
その後のことを考えることより、
美しい世界を取りもどすことが重要。
クールな世界に近くなれば近くなるほど
美意識は研ぎ澄まされて
親友だって自分の世界を汚すなら撃っちゃう。
彼だけのクールな世界を守るために。




ひとは美意識によって行動するんじゃないかな?
と思った。
たとえば、男女の別れでも、
進路を決定するときも、
それから、人を殺すときも。

魂が成長するってことは
小さな美意識をとっぱらって
大きな美に目覚めることだと思う。

でも、私はいまだ小さな美意識によって
縛られていて不自由。
そしてそんな自分が好きで、キライ。
自分の小さな「美」を壊されたら
徹底的に憎むと思う。
1年くらいは。

自分の美が壊されることを受け入れて
新しい美に目覚めることが
人の成長といえるのかもしれない。

エレファントを見て、なぜかそんなことを思った。




セリフはほとんどアドリブなんだそうです。
そして、オーディションで集められた生徒たちの名前も本名と同じ。
ジョン・ロビンソンのルックスは「サラ、いつわりの祈り」の作者J.T. リロイ
(トム・ウェイツも激ホメの作家)に似ているなあと思っていたら、
アーシア・アルジェントがこの作品を彼を使って映画化したそうです! 


エレファント@映画生活

  

Sweet Sixteen

2004-11-11 18:19:57 | 少年ひりひり
Sweet Sixteen 2002年カンヌ映画祭脚本賞受賞作品
2002年 イギリス・ドイツ・スペイン
監督 ケン・ローチ 製作 レベッカ・オブライエン
脚本 ポール・ラヴァティ 撮影 バリー・エイクロイド
編集 ジョナサン・モリス 美術 マーティン・ジョンソン 
出演 マーティン・コムストン/ウィリアム・ルアン/
アンマリー・フルトン/ミッシェル・クルター/ゲイリー・マコーマック 他

いっつも曇ってる。
イギリスの未来も出口もないような町。
小さな夢のために起こした行動は      
いつも最悪のかたちで
自分にすべて返ってきてしまう。

みんなの欲望や願望が小さな町の中で渦になって
グルグルグルグルまわって             
悪いエネルギーを生み出してるみたいだ。    
出口がないから浄化されない。
願望はかなってもほんの一瞬。   
それも何かを捨てた時だけ。

大人たちは妥協してあきらめて   
自分の目先の欲求を
かなえるだけで満足して暮らしている。
血がつながった子供の存在よりも
自分の欲求をかなえるほうが大事。
楽しいことがそれしかないから。
その世界から出られないために。         
                    
少年少女たちはあきらめていない。
この小さな曇った町の中でも
大きな夢をかなえられるような気がしてるのか、
それとも出口があることを信じているのかな。     

Sweet Sixteen。     

ほんとにそういういう感じ。
まだ汚れを知らない少年。
それってすごく危険なことなんだ。

  

ケン・ローチ作品を好きになったのは
この映画がきっかけ。
みる前は重たい退屈そうな映画を撮る人だと思ってた。  

実際には、退屈なシーンなんてひとつもない。
すべてがスリリング。         
主人公だけじゃなくて、       
すべての登場人物の感情が多面的。    
リアルな細部が積み重なって
いろんな人間の思惑や欲望が混ざり合って
ひとつの映画に。ここまで真心をこめて
丁寧に作られた映画を観ることができるなんて
最高に幸せだ。
ケン・ローチ作品を観るたびに毎回思う。



DVD特典で知ったけど
ケンローチ監督は、現地でオーディションを開いて
演技経験のない人たちを採用したそうだ。
主要人物のほとんどが          
映画出演を経験したことのない人々。
(主役の男の子はサッカーのプロチームに入ったばかりだったとか。)
なぜケン・ローチ監督はそういうことをしたんだろうか?
普通の俳優を使ったほうがラクじゃないかと思うけど、
ここに秘密があるのかもしれない。         
なぜあんなにリアルにみえるのか。          
前にケンローチ作品の『リフ・ラフ』をみたとき、
ロバート・カーライルが知らない俳優だったらいいのになと
思ったことがあったから。

少年役マーティン・コムストンのインタビューによると、       
監督は無理に演技を押し付けたり
かたちだけをつくったりせず、
演じる人の内側から気持ちを引き出して
作品を作っていったらしい。
ちょっとでも傲慢なケを持っている監督なら    
そんな気の長いことは絶対にできない。
自分の選んだ人たちを心から信頼しているからこそ
そういうことができるのだと思う。
そして彼らをの力を最大に引き出した
ケン・ローチ監督はすごい。
 
ダイアリーM…ケン・ローチについて。breadloveさんの熱い記事。








ジョンズ

2004-08-30 18:38:47 | 少年ひりひり
Johns
1997年 アメリカ
監督・脚本 スコット・シルバー
撮影 トム・リッチモンド        
音楽 チャールズ・ブラウン/ダニー・キャロン
出演 デイヴィッド・アークェット/ルーカス・ハース 他


「誕生日にプラザ・ホテルに泊まりたい」っていう願い。
ほとんどホームレスみたいに暮らしている男娼の子の。
そのために1日を駆けずり回って
必死さが伝わってくれば伝わってくるほど、
彼の願いが浮き彫りになる。

プラザ・ホテルに泊まれれば、何かが変われる気がするんだ。

それに、自分で決めたことだから、
何がなんでも実行しなくちゃいけない
(夢をかなえなくちゃいけない)
気持ちがとてもよくわかる。
どんなにめちゃくちゃなことをしたとしても。
どんなにめちゃくちゃなことに巻き込まれたとしても。

話は、自分のしたことは自分にかえってくる、という
『カルマ』がテーマ。
だから、この映画は自動的に、
私が勝手に考える『ひりひりの法則』にばっちりあてはまる。

 
   少年は、自己中心的であるべき。
   そして、それによって追いつめられていくべき!
       =ひりひりの法則
            
                


主演のデイヴィッド・アークェットとルーカス・ハースが、
主人公たちの内面の気持ちをきちんと動きで表現してて、
人物像がリアル。
それぞれの願望もリアル。
そしてその願望の方向が
まったくべつべつの方向を向いていることもリアル。


見た直後よりも、3ヵ月後くらいに強く効き目をあらわす映画。
なぜか。
           

                       

ハリケーン・ストリート

2004-08-30 03:41:26 | 少年ひりひり
hurricanestreets
1997年 アメリカ
監督 モーガン・J.フリーマン
出演 ブレンダン・セクストン・サード/イザドラ・ヴェガ/
   ショーン・エリオット 他



子供たちの映画なのに、
子供たちがみんな生き生きしていない。
それは子供たちの心で脚本が書かれていないから。
大人の想像の中の子供でしかないから、
だと思う。


何回がんばっても映画に没頭できなかった。
ストーリーにも、画面にも、魅力が見えない。
少年が痛い目にあっても、ひりひりしない。
だって、その少年の心は、少年じゃないから。

旅行に行くのが夢だったのに、
いくら困っていると言われたとしても、
やっと手に入れたチケットを
人にあげたりは、少年ならしない。

そういう自己中心さが自分を追いつめて
痛い目にあうからひりひりするんじゃないかな。

意地悪な役の男の子は、出てきたときから
すっごい棒読みセリフの下手っぴだったけど、
唯一、彼の存在だけがリアルだった。


少年は、自己中心的であるべき。
そして、それによって追いつめられていくべき!
(勝手に考える「ひりひりの法則」)


私には良さがわからなかったけれど、
この作品はサンダンス映画祭で
監督賞、撮影賞、観客賞を受賞してます。