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映画メモbox

ビデオで観た映画のメモ。直感的感想メモです。

パフューム

2005-04-20 18:13:30 | 芸術家の人生
PERFUME 
2001年 アメリカ
監督 マイケル・ライマー
脚本 マイケル・ライマー/L・Mキット・カーソン
製作総指揮 ジェフ・ ゴールドブラム他
撮影レックス・ニコルソン
出演 エステラ・ウォーレン/ジェフ・ ゴールドブラム
ピーター・ギャラガー/カイル・マクラクラン
マリエル・へミングウェイ/オマー・エプス/レスリー・マン
ミシェル・ウィリアムス他



成功のために
愛する人との時間を
切り捨てることができるだろうか?

そこから外れても
誰も待っていてはくれず、
カチカチと秒刻みで動いていく
N・Yのファッション業界の中で。

でも、最愛の人との時間を
成功のために捨てたら
その愛を取り戻すことは
二度とできなかったとしたら?


    


すごく難しい選択だ。
大抵の人なら
成功のために走るだろう。

なぜなら、愛する人との時間は
いつだって作れるような気がするから。
いつだってそばにいて、
待っていてくれるような気がするから。

だけど、
この映画に出てくるデザイナーのように
人はいつか死ぬし、
家族や恋人と
愛を交わすことができる時間は
限られているのかもしれない。
一緒にいるための時間を切り捨てれば、
その人への愛を切り捨てるのと
同じことなのかもしれない。


     


登場人物たちはみんな才能がある。
仕事の方に時間をかけてほしいと
見ていて思ってしまうほど。
だからなおさら難しい選択だということが
よくわかる。

でも、この映画の中で
最後に残っていたものは、
純粋な思いから発せられたものだけ。
成功や仕事のために動いていったひとたちは
とても危うく見えていた。
夢の中で生きているみたいに。
そして、その夢はいつか覚めそう。




     

洪水のように、いろんなエピソードのシーンや登場人物が
すごいスピードで入り乱れ、でもしっかりしたカットで
落ち着いて撮られた作品だった。
ポルノみたいにインチキくさいDVDジャケットだったけど…。








アメリカン・スプレンダー

2005-04-08 02:01:28 | 芸術家の人生
AMERICAN SPLENDOR
2003年 アメリカ
監督・脚本 シャリ・スプリンガー・バーマン/ロバート・プルチーニ
製作 テッド・ホープ 
撮影 テリー・ステイシー 編集 ロバート・プルチーニ
美術 テレーズ・デプレス衣装 マイケル・ウィルキンソン
作曲 マーク・スオッゾ  キャスティング アン・グールダー
出演 ポール・ジアマッティ/ホープ・デイヴィス
トビー・ラドロフ/ジェームズ・アーバ二アク/マディリン・スウィーテン 他




自分の人生をマンガにするって
どんなふうだろう?

こうやって映画についての
ブログを作っているのも
ちょっとだけ似ているかもしれない。
映画をみるという行為に
もうひとつの目がくっついているような。

ハーヴィー・ピーカー氏は
マンガの原作を書いているひと。(原作者)
作画者がその脚本に
絵を入れてマンガになる。
ネタはハーヴィーの人生。
それが『AMERICAN SPLENDOR』というコミックだ。

この映画は、実際の
ハーヴィー・ピーカー・ファミリーや
コミックの世界をミックスしながら
すごく自然に
マンガを読ませるみたいに
『AMERICAN SPLENDOR』実写版を
みせてくれる。



こうしてハーヴィー・ピーカー氏の
人生を映画でみると
(マンガで読んでもそうなんだろうけど)
このひとって運がいいなあと思う。

ガレージ・セールで
レコードを漁っていたとき、
まだ無名の、やがてとっても有名になる
コミック作家ロバート・クラムに出会ったり。
そのひとは後に
ハーヴィーの原作に絵をつけてくれる。

それから
1人で耐えられないほど孤独なとき、
最高にぴったりの女のひとが
やってきてくれて結婚したり。

ガンも闘病生活をマンガにすることで
のり切ったり(信じられない!)。

おまけにガンになったおかげで
奥さんが欲しがっていた
『子供』がやってきたり。



誰の人生でも
こういう運の良さは
同じくらいあるのかもしれない。
彼はそのつど起こったことを
マンガにしているから
すべてがなにげなく記録となって
まさにマンガのように奇跡的に
私たちに思わせてくれることが
できるんだと思う。

これをみた後は、
きっとみんな自分の毎日を
マンガにしてみたくなっているはず。
そして、自分の奇跡的な運の良さを
客観的にみることができたら
楽しいだろうと思って。





実際のハーヴィー・ピーカー・ファミリーと、
演じている俳優のひとたちがすっごく似ていてびっくり。
顔も似ているけど、魂のありかたが似ている。
これをみると、本当に俳優ってすごいと思う。
本物の奥さんも、自分の役を演じている役者について
「深い内面まで理解して演じてくれて驚いた」と言っていました。


アメリカン・スプレンダー@映画生活





アドルフの画集

2005-01-07 22:47:13 | 芸術家の人生
MAX
2002年 ハンガリー・カナダ・イギリス
監督・脚本 メノ・メイエス
製作 アンドラス・ハモリ
撮影監督 ラホス・コルタイ 美術デザイナー ベン・ヴァン・オス
出演 ジョン・キューザック/ノア・テイラー
   リーリー・ソビエスキー


ヒトラーが画家になりたかった頃の話。




画商のMAXはあらゆることにに芸術を見出す男だ。
あらゆるところに芸術を見たいのかもしれない。
MAXも絵を描いていた。
でも戦争で右腕を失って
もう描くことができなくなった。
だからこそ前よりも広い目を持って
芸術を探すようになったのかもしれない。

彼はヒトラーの絵にも才能を見たがっていた。
ヒトラーという人間の奥に隠れている何かを
知りたかったのかもしれない。
何か過剰なそれが
絵の才能だと信じたかったのかもしれない。

ヒトラー自身もそう信じたがってた。
でも自然の流れで、
運命のめぐり合わせで
ヒトラーは絵を捨てて政治家になった。
本当は絵を描いて、お金持ちのひとたちに買ってもらって
みとめられたかったのに。
絵のために政治活動をやめる決心だってしてたのに。

運命はヒトラーに政治を選ばせるようにしている。
(ようにみえる。)
演説をヒトラーに頼んだ陸軍将校が、
「キミの頭脳が絵の具で、観客はキャンパスだ。
さあ、行って絵を描いてこい」と言う。
ヒトラーは観客というまっ白のキャンパスに色をぬり
自在に絵を描くことができる。
才能だと思う。
MAXに認められた最後の近未来の絵だって、
ヒトラー帝国の元になるスケッチだし。
ヒトラーは絵を描いているときよりも
演説をしているときのほうがイキイキしているし、魅力的。
そんなふうに、ひとは自分が活かせる方へ
流れていくのが自然なんじゃないだろうか?
ヒトラーの意思や憎しみからというよりも
「運命」のほうが強い気がした。

ヒトラーがMAXに、
「私を古くさい価値観でカテゴライズしないでくれ。
私の政治活動こそがニュー・アートだ」
というようなことを言っているシーンがある。
MAXはそれを負け犬の遠吠えのようにして聞いていたけど、
私はヒトラーの言っていることに共感してしまった。
(製作者側は自己表現できない喪失感・欲求不満が
彼を政治に向かわせたと言っていたけど)
ヒトラーにとっては結局、政治がアートだったんだと思う。
そして、MAXに認められた最後のスケッチを
現実社会の中で作り上げた。
自分の意思に反して、悪の方にしかパワーを向けられないことは
ヒトラーにとっても不思議だったに違いない。




芸術について考えているひとにはおすすめな映画。
ジョン・キューザックがたくさんの答えをくれます。
ヒトラー役のノア・テイラー(『シャイン』で主人公の青年期を演じた俳優)
の演説シーンがスゴイ…!! これをみるだけでも価値ありと思える。

アドルフの画集@映画生活





ポロック 2人だけのアトリエ

2004-09-15 02:07:14 | 芸術家の人生
POLLOCK 2000年 アメリカ
監督 エド・ハリス
原作 スティーヴン・ネイファー/グレゴリー・ホワイト・スミス
撮影 リサ・リンズナー
出演 エド・ハリス/マルシア・ゲイ・ハーデン/
   エイミー・マディガン/ジェフリー・タンバー 他 



エド・ハリスは    
ジャクソン・ポロックの人生を生きることで
何かを見つけようとしているみたい

そして、この映画を撮ることで
ポロックの人生をやさしくなでてあげているみたい

                     
エド・ハリスの内部を探求しているような気分

ジャクソン・ポロックというよりも
                 
                

彼は映画「POLLOCK」を製作して
何を見つけたんだろう?

約10年間もジャクソン・ポロックという人物に
とりつかれていたというけれど

エド・ハリスの、どこかへ向かって強く伸びる
ピュアな欲求(または意思)を感じた。

その行き先を見つけたんだろうか?



この映画をひたむきに撮ったエド・ハリスが好き。
 
 

(絵を描くシーンでは、
 エド・ハリスが実際に描いている。
 絵を描いているシーンを
 こんなに長々と自信を持って見せてくれる映画は初めて。)

                 
ポロック 2人だけのアトリエ@映画生活




アイリス

2004-08-28 19:19:14 | 芸術家の人生

Iris  2001年 イギリス
監督・脚本 リチャード・アール
製作総指揮 アンソニー・ミンゲラ シドニー・ポラック
出演 ジュディ・リンチ ケイト・ウィンスレット
   ジム・ブロードベント ヒュー・ボネヴィル 他


(晩年アルツハイマー病にかかった作家アイリス・マードックについての映画。
原作は、アイリスの夫ジョン・ベイリー。)


言葉と、愛する人の記憶がなくなったとき
彼女に残ったものは何だったんだろう と考える。

海辺で、「物語を書きなさい」と夫から渡されたメモ用紙を
一枚ずつちぎって、その上に小石をのっけていた。

言葉を失った彼女は、言葉を人一倍愛していた。

だけど彼女は、本当は元々言葉なんて書きたくなかったのかも。

こうして、自然にただある海や小石がもう芸術で、詩や物語で、
わざわざ書く必要なんてないと思っていたのかもしれない。

夫のように、ただ純粋になりたかったのかもしれない。
そして、アルツハイマーになった彼女は、
やっとそうなることができた。


夫は、妻の世界を(自分にも誰にも)理解できなくても、
それを無理してわかろうとしたり、
ムリヤリ彼女の心の中に入ろうとしないで
ただ、それを大切にしてあげていた。

本当は、とてもわかりたいのに。

妻は、だからこそ彼が好きだし、
唯一の純粋な美しいものだと思って
彼を自分の世界の一部にしっかりと入れてる。
でも彼はそれを知らないから、
彼女がアルツハイマー病のせいで彼を認識しなくなったとき、
なおさらつらかったんだと思う。


映画では、構成がよくなく(話を引っぱる力もなくて)
いまひとつ鮮明ではないけど、
きっと夫、ジョン・ベイリーの原作はすばらしいに違いない。