映画メモbox

ビデオで観た映画のメモ。直感的感想メモです。

GERRY(ジェリー)

2005-07-07 18:50:38 | スケルトンな世界

GERRY 2002年 アメリカ  
監督・脚本 ガス・ヴァン・サント 制作 ダニー・ウルフ
脚本・出演 ケイシー・アフレック/マット・デイモン
撮影監督 ハリス・サヴィデス
音響 レスリー・シャッツ 音楽 アルヴォ・ベルト


2人はどこへ行くつもりだったんだろう?
どこまで歩いても
静かで美しい大自然の風景。
それなのになんでこんなところで
ここまでズタボロにならなきゃいけないんだろう?
という顔で足を引きずりながら歩いている2人。
ほんとうに、自然はこんなにも美しいのに
嵐がきたわけでもなく
雪崩や竜巻がおこったわけでもないのに
なんでこのひとたちはこんなにも
ボロボロにならなきゃいけないんだろう?
というよりも、
2人が勝手にボロボロになっただけなんだけど…。
自然をナメていたから。
2人は最初から“ジェリってた”。

   

2人がずーっと無言で歩いている間、
私は映画とはまったく関係のない
別のことを考えていた。
彼らもきっと私と同じくらい
各自の思考に入り込んで
歩いていたのだと思う。
そしてたまに正気に返ると
歩くことに退屈していた。
それがとてもよくわかる。
でも、退屈なんていえないくらいの
境地に陥ってしまってからは
「果てしない」とか
「どこまで行っても」とか
「もしかして死んだりして」
とかいう言葉がよぎって
自分とは無関係に美しいその風景を
憎んだにちがいない。
最後の方は、そのことさえも
受け入れていたのかも。

   

弱そうな方のジェリーが力尽きたとき、
もう1人のジェリーが殺した。
悪いことだとは思わなかった。
殺された方も望んでいたし
大自然の中では、弱いものが殺されるのは
当然な気がしたから。

でもそのあと
すぐにハイウェイが見えてきてしまった。



   
この映画を見ている最中、
あ~、今眠れたら幸せだなと思いました。
でも眠たくなりませんでした。
目がギンギンに冴えているときに見てしまったから。
この映画の中のジェリーたちと一緒に
大自然の中をさまようしかありませんでした。
それは時間が果てしなく長く伸びていっているような
ある意味つらい体験でした(贅沢な体験でもあったと思うけど)。
こういう感覚を共有させるためにガス・ヴァン・サント監督は
こういう撮りかたをしているのかもしれません…。

この感想を書いたあと、友人に
「あれは殺したんじゃないよ、幻想なんだよ。
あっちのジェリーは自然に力尽きたんだよ、
というふうにオレは見たけど」
と言われて愕然としました。
私は殺したと思いこんでいたので。
もう一度、見る勇気はないけど、
そこのところがどうだったのか確かめてみたい気もします。


ジェリー@映画生活




最新の画像もっと見る