Fのぼやき

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『嗤う伊右衛門』京極 夏彦

2005-12-06 00:40:54 | 
映画を観たがストーリーを理解しきれなかったため、あらためて原作を買って読んだ。

少し驚いたのが原作の演劇じみたセリフ回しが原作中においても、全く同じといっていいほど使われていたこと。あれは蜷川さん独自の演出じゃなかったのね。勘違いしてた。とにかく、全てのセリフが芝居じみていて昨今の生活感あふれまくりの小説なんかとはちょっと違う。

この本を読んで驚いたのは作者の知識の深さと周到に計算されつくされた文章だ。
物語中の出来事自体は四谷怪談だとか四谷雑談集という本だとかの出来事に従っている。しかしその解釈の仕方は原作と全く異なるのだが、あまり不自然さを感じない。おそらく作者によるしっかり計算されているのだろう。

ストーリー自体は映画と一緒。映画はかなり原作に忠実だったといっていい。映画だけではストーリーを理解するのは難しいが、原作の持つ雰囲気を十二分に伝えている。映画と原作を両方がお互いを補完しあっている感じだ。

今回京極夏彦の作品を始めて読んだのだが、かなり面白かった。村上春樹といいどうやら、ちょっと変わった文体の作品の方が自分にはあっているようだ。

『嗤う伊右衛門』 ★★★★(5点満点)

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