Fのぼやき

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セマンティックWebへの個人的結論

2006-01-09 00:05:36 | セマンティックWeb
The Web Kanzakiを見ていたら「ちょっとしたメモ」の新規エントリーに以前紹介したSPARQLに関する記事についての話があった。大御所とたまたまにせよ同じ目のつけどころだったのが嬉しい。2年間セマンティックWebをやってきてよかった。

そのセマンティックWebとも、お別れの時が近づいてきた。
今度の修士論文がセマンティックWebに関する研究の最後のまとめになるだろう。


そこで最後にたどりついたセマンティックWebの個人的理想像を書いてみたい。


セマンティックWebの最終的形態は?

たった一つのクエリ文を書くだけで色々なオントロジで書かれた情報からデータを持ってこれるもの。さらにいえばRDBでもXMLでもその他どんなストレージシステム、Web、あわよくば自然言語、そしてさらには生身の人間からでもデータをとってこれるもの。つまりあらゆる情報に対するアクセス手段となるもの。

そのようなシステムをつくることは可能でしょうか?
その答えが僕の修士論文です。ヒントはルールと今回の記事です。

SPARQLとWeb2.0

2005-11-30 15:34:57 | セマンティックWeb
SPARQL: Web 2.0 Meet the Semantic Web

最近英語の勉強もかねて一日一本英語のニュースを読むように心がけている。ということで今日はセマンティックWeb関連の記事を読んでみたらなかなか面白かったので、紹介してみる。

このO'REILLYの記事は最近ようやく標準としてでてきたセマンティックWebのクエリ言語SPARQLの記事。この手の話はセマンティックWeb側から見ている話が多いのだが、この人はWeb2.0側の人。SW側の勝手な理想に振り回されずに結構過激な内容をズバズバいっていて小気味がよい。

まず論点としては
・現状のWeb2.0にはRESTプロトコルによりHTTP上でGET,PUT,POST,DELETEなどの標準アクセス手段が提供されている。それはRPCスタイルのアクセス手段より実際便利だ。

・RESTだけではデータアクセスの手段が十分ではない。標準クエリ言語があれば便利。

・SPARQLをその標準としてはどうか?難しいかもしれないが、SQLよりかはマシ

・つまりデータ形式としてRDFだとかOWLを使っていなくても、SPARQL(に書かれている内容のクエリ)に対して、出力を返しさえすりゃ、現在分散しているWeb2.0アプリをつなげられるでしょ。たとえばデータを関係データベースに格納していたとしても、なんとかSQLにマッピングすれば結果を得ることはできる。

・SPARQLを標準とすればWeb2.0とSWとを合体させられるでしょ。

こんな感じ(だと思う、英語能力に疑問ありなので興味をもったら原文を読んでください)。個人的には共感する部分の多い記事だった。たしかにWebのようなたくさんの人が独立して参加する環境では、データモデルレベルでのデータ統合ってのは難しいんだよな。世の中の人みんながRDF/OWLを使いましょうというのはW3Cの横暴だと思う。これからはクエリが重要なんですよ、きっと。

テレビブログ

2005-09-20 12:17:16 | セマンティックWeb
テレビブログ、記事と番組の映像シーンを連動--再生ソフトなど無償配布
RDF/OWLの応用アプリケーションとして、動画用メタデータオントロジを作成しているのだが、どうやら似たような試みが行われるらしい。

シーンごとの検索ができるというのはGoogleなどでは不得手の分野なのでメタデータを用いるというのは自然な流れだ。

CNNで報道されたこのソフトがどこまでメタデータを利用しているかはわからないが、現在作っているオントロジではできるだけ、様々なカテゴリを吸収できるような工夫をこらしている。例えば各シーンごとに、人物、カテゴリなどのインスタンスを持たせ、それぞれに対して独自のオントロジを適用できるようにしている。こうすることによって、例えば野球用のオントロジだとかドラマ用のオントロジとかを自然な形で利用できるのだ。ついでにCreative Commonsのボキャブラリなどもちゃっかり利用している。

今回作っていて感じたのは動画とRDF/OWLの相性の良さ。特にオントロジというレベルまでフルに利用できるという意味では興味深い。

セマンティックWebコーナー

2005-08-20 17:03:27 | セマンティックWeb
先日八重洲ブックセンターにいったらPC本コーナーでセマンティックWeb関連の本のコーナーができていてビックリした。

セマンティックWebの考え方自体は今後重要になってくると思うし、研究者、現場ともに使われてもおかしくない技術だと思う。しかし、現状出版されている本はまさに仕様書の要約だとか、研究者からみたセマンティックWebの考え方だとかでいまいち実践的ではない。

例えば、OWLでカテゴリの階層関係作って、RDFでリソースにメタデータつけてSesame上でRDQLなりでクエリ処理してなんて中身の本があれば、それなりに有益だとは思うんだが、、、。

IBMとWSDL-S

2005-06-30 18:04:59 | セマンティックWeb
Web Services Semantic Annotations - WSDL-S
IBMがテクニカルノートとして「WSDL-S」を発表しているのを発見した。
セマンティックWebサービスの有用性はすでに一部の研究者の中では知られていたが、あのWebサービスの大御所IBMが動いたということで今後ますます研究がすすむだろう。

IBM自体はセマンティックWeb推進派かというとそうでもない気がする。実際今回のWSDL-SでもRDFやOWLで必ず記述するというわけではなさそうだ(あまり深くは読んでないが)。今回の話はあくまで流行に乗ったというよりは、流行の中から有用だと判断されたと考えられる。

ここ最近IBM以外にもセマンティックWebを思い出させるような試みが多くの企業でなされている。例えばgoogleは各サイトの記述をXMLで記述することにより検索に利用したり、MSはlonghornにRSS機能を盛り込むらしい。これらの試みはW3CのセマンティックWebとは独立で行われている。しかし、その考え方はまちがいなくセマンティックWebと同じであり、RDFやOWLを用いることにより標準仕様にそった形で同様な機能を実現できる(そしてそれは大きな利益をもたらすだろう)。

そもそもWebのような雑多な空間でリソースやサービス、情報にメタデータをつけて整理するというのは至極当然の考え方である。またその整理法を一つの標準に統一することによってWeb全体での利用を可能にすることも至極当然だ。そう考えるとセマンティックWebのような考え方は当然の技術である。同様なことを独自仕様でも実現できるが標準があるならそれを使うべきである。

まだ実感はないが、セマンティックWebがどうやら"来ている"ようだ。