清良き心と未知なるものの為に㉑・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より
なんと、遠いことのように思われるのだろう!
夜明け前の暗がりの薄れゆく時刻である。鸚鵡どものあげる鋭い叫びが、最後まで残って
いた。薄く張り詰めた、皮膚のようにやわらかな、夜陰のしじまの膜をついに破りさる。そ
の叫びは、彼らの白い姿がすばやく飛び交うにつれて、うねりと塩と微風との織りなす布地
のなかに織り込まれてゆく。
眠りは浅かった-------野獣の眠りのように。そして眠っているうちに、五官が新しい一日
のほうへと蝕手を伸ばしてゆくのであった。
私がすぐそばまで近づくと、彼ははじめてものうしげに翼をばたつかせて、数メ-トルだけ
横っ跳びするのである。------腐肉をくらう、栄養のよい鳥であって、われわれのあいだにて
も平気なのである。