SPIDERS IN LOVIN' COOL

ケロロ軍曹(主にクルドロ)や、名探偵コナン(主に平和)の小説。
毎週土曜日は「今週のクルドロ萌え」を予定。

23.ヘッドフォン(ケロロ軍曹【クルル×ドロロ】)

2008-02-24 12:47:51 | クルドロ50のお題
「クルルくん…好きだよ」
「クルルくんってカッコいいね」
「クルルくん、ちゃんとご飯食べないと倒れちゃうよ」
「クルルくん、今日は雪が降ってるよ」
「クルルくん、たまには外に行こうよ」
「心配しないで、クルルくん。
僕はずっと、君の傍にいるから」
「クルルくん、何作ってるの?」
「クルルくんのバカぁ!!」
「ヒドいよ、クルルくぅう~ん」
「クルルくん、もっと愛して」
「おやすみ、クルルくん。」

ヘッドフォンで聴いているのは音楽ではなく、
こっそり録音したドロロの声。
俺は変態か…?自問自答する。
ラボで仕事をしてるときは、機械音しか耳にしない。
味気ない機械音ばかり聞いていると、俺だって、人の声が欲しくなる。
だから、恋人の録音した声を聴いている。

「逢いたいなぁ」

思わず本音を呟いた。
逢いたいなんてセリフ、当の本人には言ったことがない。
だが、毎日ラボに来てたドロロが姿を見せなくなって
もう3日も経つ。
ラボだけじゃない、侵略会議にも姿を見せなかった。
喧嘩をした覚えはない、どこかに行くなんてことも知らされてない。

「お前、なんかあったのか?」

恋人はアサシンのトップである。
そう簡単になにかあるとは考えられないが、
3日も姿を見せないとなると、悪い方に考えてしまう。

「クルル!」

ラボに入ってきたのは、恋人ではなく、オッサンだった。
がっくし…と肩を落とす。

「あんだよ?」
「機嫌が悪いようだな…」
「あぁ、あんたの顔見たら余計にな」
「なんだ?ドロロが来ることを期待してたのか?」
「…そんなんじゃねぇよ」
「お前は相変わらず可愛くないな…
ドロロとは不釣り合いだ」
「火に油を注ぎにきたなら、帰ってくれ」
「いや…実はドロロのことなんだがな…。
暫く、帰って来ないかもしれないんだ…」
「あぁ?あんた今ドロロがどこにいるか知ってんのか?」
「あぁ。ドロロは今、ケロン星にいる」
「はぃ?」
「本部から極秘で呼び出されてるんだ」
「なんでだよ?」
「…………」
「おい!なんでドロロは本部に呼び出されてるんだ?教えてくれ!」

オッサンは、神妙な面持ちで口を開いた。

「実はだな…バレたんだよ、ドロロがペコポン側に寝返ったってことがな」
「あんだって?」
「ガルルから聞いたんだが、今軍法会議にかけられてるらしい」
「どうなるんだよ?あいつ…」
「軍法資料によると、他の星に寝返った場合、
禁固刑は免れないらしい。
あとは本人次第で早く出ることは出来るらしい」
「あいつ…俺に何も言ってくれなかった…」
「そりゃそうだ、さっきも言ったが、極秘で呼び出されたんだ。
小隊の誰にも言っていかなかった。
本部で知っていたのも、ごく僅かだそうだ」
「なんで…あいつだけなんだよ…」

俺たちだって、お世辞にも侵略者とは言えない。
ペコポン人を敵性宇宙人から守ったことが何回かある。

「まあ、あいつのことだ。
誰にも言えなかったんだろうよ」

一人で抱え込みやがって…

「そういうことだから…気長に待ってやってくれ。ドロロのこと」
「…言われなくても…」
「そっか…」

俺は、ヘッドフォンで恋人の声を聴く。

「クルルくん、ただいまぁ~」
「クルルくん、ただいま」
「クルルくん?クルルくんってば!!!」

はっと後ろを向くと愛しの恋人。

「お…お前なんでいるんだよ?
禁固刑なんじゃ?」
「えっ…?
あっ、もしかしてギロロくんに聞いたの?
うん、でも3時間だけだったよ」
「はぁ?」
「僕はペコポンが平和になるような侵略がしたいだけって言ったら、
ちょっとだけ反省の意味で3時間だけ
ガルル中尉に助けられたってのもあるんだけど」
「もう…俺に黙って出ていくな。
一人で抱え込むな!」
「クルルくん…ヘッドフォン音漏れしてるよ…」
「やべっ…」

一番聴かれたくない相手に聴かれてしまった。

「違うんだ、これは…」

ドロロは優しく笑った。

「そんなの聴かなくたって、飽きるまでいってあげるのに…」
「…いや、だからこれは…」
「クルルくん、心配しないで。
僕はいつも君の傍にいるから」
「もう…俺を一人にするな…」
「うん」


Fin


【あとがき】
クルルくんのヘッドフォンはそういうことだったんですね(勝手に決めるな)