SPIDERS IN LOVIN' COOL

ケロロ軍曹(主にクルドロ)や、名探偵コナン(主に平和)の小説。
毎週土曜日は「今週のクルドロ萌え」を予定。

diplomacy(名探偵コナン【平次×和葉】)

2008-02-11 12:34:31 | 名探偵コナン(平次×和葉)
----------ズルイ
決まって「電波の届かない場所にいる」と
苦しい弁解を許すのは
たぶん惚れた弱み----------

メールを送っても返事がない。
電話をかけても繋がらない。

「なにしてんの?平次の奴」

食事に行こうと誘ってきたのは平次の方だ。
なのに、もう2時間も待たされている。
携帯は繋がらない。なにしてんのん?
もう一度、かけてみる。

プルルルルル~プルルルルル~
がちゃっ

「はい、もしもし」

やっと繋がった。

「今何時?」
「へっ?」
「今何時って聞いてんのや」

ついつい可愛げのない口調になってしまう。
本当は、電話が繋がっただけで嬉しいのに・・・。

「すまん、すっかり忘れとった・・・」
「今どこにおんの?」
「東京や、東京」
「東京?東京で何してんの?」
「事件や、事件。ほなな」

ガチャッ、ツーツー・・・。

「もう!!なにしとんの!!」

強制的に電話を切った相手を、それでも待ち続けるのは、
きっと惚れた弱みだ。
来てくれるかもわからない幼馴染を・・・。

---------------------------------

結局、俺が梅田に着いたのは、約束の時間から4時間経ったころだった。
なんて謝ればいいんだろうか?

「すまん、すまん」

ついつい軽い口調になってしまう。

「もう、来てくれないかと思った・・・。」
「和葉・・・」
「もう、どんだけ待たせれば気が済むん?
 もう待ちくたびれてしもうたよ・・・。」

こいつの気持ちは・・・よう知っとる。
俺のこと、幼馴染以上に思ってくれとるってこと。
俺だって、こいつのこと、幼馴染以上に思ってる。
だけど、なんだかまだ気持ちの整理が出来なくて、
気持ちを伝える勇気がなくて・・・。
この距離より、近くなることがなんだか怖くて
ずっと待たせてしまってる。
和葉から言ってきてくれればいい・・・なんて卑怯なことを思うこともある。
だけど、こいつは・・・俺から行かないと、たぶん不安になってまう。

------------------------------

「・・・ほんま、すまん、和葉・・・」
「・・・反省しとる?」
「反省しとります」
「もう、遅刻なんてやめてや?」
「これからも、待たせてしまうかもしれません」

まだ、待っとってくれや。
どうか、俺に愛想つかんでくれ。
他の男のところに、いかないでくれ。
我侭だと判っている、都合がいいことだって。
でも、待っとってくれ。

「!?なんやのん、それ!!反省してないやん」
「いろんな意味でや」
「いろんな意味ってなんなん?」
「知らんわ、ボケェ、自分で考えや?」
「なんやのん!!平次のアホ!」
「アホで結構じゃ、ボケ!!」

待たせる分、後で幸せにしたるからな。


Fin


【あとがき】
久しぶりに平和を書きました(笑)。
1ヶ月くらい空いちゃったなあ~。
クルドロばかり書いてたからな~。
久しぶりの大阪弁だったので、変なところがたくさんあるかも?
どうせ千葉生まれの埼玉育ちの東京在住ですよ(爆)

不機嫌になる私(名探偵コナン【平次×和葉】)

2008-01-22 19:15:06 | 名探偵コナン(平次×和葉)
「もう!平次のどアホ!!」

喧嘩の理由なんて、いつも些細なことだ。
幼なじみだった頃も、恋人になった今も。
デート中に事件が発生、平次は推理に夢中…なんていつものこと。

そう、いつものことやん。

あたしと食事する約束を忘れて、一人東京に行って事件に巻き込まれて、
梅田で4時間待たされたこともあったし。
でもそれは、幼なじみの頃の話。
今とは違う関係だった頃。

平次は、幼なじみだった頃と全然変わってへん…。
あたしのこと、ちゃんと彼女だと思ってくれてる?

聞くのが怖くて聞けへん。
聞いたら、幼なじみに戻ってしまうんやないか…と…

「平次の…どアホ…」
「誰がどアホやて?」

そこに立っていたのはかつての幼なじみ、今の恋人。

「誰がどアホやねん?」

誰にも聞こえんよう呟いたつもりやったのに…。

「…平次…って、事件は?」
「あぁ、電光石火の如く解決したったわ。
この服部平次にかかれば、迷宮入りなんてあり得へんからのぉ」
「どアホ!彼女ほっといて事件事件って…
そないに事件が好きやったら、事件と付き合えばええやろ!?」
「和葉…?」
「これじゃ、幼なじみやった頃と変わらへんやん。
だいたい、事件とあたし…」
「事件より、和葉の方が大切や」
「…えっ?」

問いかけが終わる前に予想外の答え。
彼は照れくさそうに首の後ろを掻いている。

「今、なんて?」
「そやから…和葉の方が大切に決まっとるやろ?
だいたい、事件と和葉なんて、比べるもんやないで?」
「そやったら何で…何でいつもあたしのこと置いて事件ばっかり追うんよ」

彼はちょっと参ったな~と言わんばかりの顔で言う。

「和葉…お前がおるのに、犯人野放しに出来るかいな…」
「何それ!それじゃ答えになってへんやん!」
「そやから…犯人野放しにしておいて、
もしお前に何かあったらオレはどないすればええねん!」
「……………」

数十秒前まで不機嫌だった私を抱きしめ、
急に大人びた低い声で囁く。

「お前みたいなじゃじゃ馬、守れんのはオレくらいやで」


Fin


【あとがき】
クルドロ書くより平和書く方が数段難しい…。
姿が人間だとどうも…。
うちのクルドロは読む人にお任せなのですが、
うちとしてはケロン体なんですよね。
平和もケロン体にしてしまえば書きやすくなるのか?(するなや)。
どうしても平次が淡白になってしまう…。

恋になれ..(名探偵コナン【平次×和葉】)

2008-01-14 13:47:47 | 名探偵コナン(平次×和葉)
----------恋になれ想い 届けこのトキメキ
涙あふれるその前に
世界中の勇気をかき集めて
いつか好きとあなたに伝えたい----------

「ほな、またな」

家まで送ってくれた平次は、いつもと変わらぬ言葉をかけてくれる。
今日も・・・言えへんかった・・・。
毎日同じ後悔を繰り返す。
明日言おう、明日はきっと・・・。
そんな毎日の繰り返しや。
平次の顔を見るたび、言わへん方が、ええんやろか?と思う。
ずっと続けてきた幼馴染。
今の距離のままで十分ではないだろうか?
手を伸ばせば、すぐにでも届きそうなのに、
でも、手を伸ばせば壊れてしまいそうな気もする。

「今の距離のままで、十分・・・か・・・。」

今の距離のままでいたら、いつか平次は他の女性と結婚して、
結婚式に、あたしも招待されるのだろうか?
平次がもし、他の女性と結婚をしたら、
あたしは、平次の幸せを、心から祈れるだろうか?

「そんなん・・・耐えられへんよ・・・。」

我ながら、嫉妬深い女だ、と思う。
後悔の次は自己嫌悪。
17年間も一緒におって、物心ついたころから好きやった。
もし、“幼馴染”じゃなかったら、壊れることに怯えなくてすんだのかも知れない。

----------あなたはどう思ってるの?
切なさは日ごと 募るばかり----------

「好きやで、和葉」

家に入っていく幼馴染の背中に向かって呟く。
なんで直接言えないんやろか?

「ふぅ~」

自分を嘲笑うかのように、大きくため息をつく。

「あたしは平次のお姉さん役・・・か・・・」

一緒にいるところを、

「よっ、夫婦!!」

と、同級生にからかわれる度に、和葉はそんなことを言う。
オレもオレで、

「アホぅ~お前の方がお子ちゃまじゃい!!」

と、憎まれ口を叩いてしまう。
なんでもっと素直になれへんのやろうか?
確かに、今のままでも十分近いと思うし、
今の距離が時には心地よくも感じる。
この距離を保っておきたい、でも、もっと近づきたい。
近づいたら、壊れてしまうかもしれへん。

「幼馴染・・・事件より厄介やな・・・」

推理するときは、次々に言葉が出てくるのに、
お前を目の前にしたら、途端に口下手になってまう・・・。
本当のことが言えへん。

----------未来は輝いてるの?
埋まらない距離がもどかしくて----------

(今日こそは平次に・・・)
(今日こそ和葉に・・・)

昨日の朝と同じことを胸に誓い、西の高校生2人は、今日も一緒に学校に通うのであった。


Fin


【あとがき】
オチを考えずに書き始めたもんで(爆)
最終的にみなさんに結末を託す、という卑怯な手に出てしまいました(爆)。
東の二人にはきっかけがあるけど、
西の二人にはきっかけがないんですよね・・・。
コナンが最終回を迎えても、くっつくかどうかは・・・。
いや、くっついて欲しいとは思ってますとも!もちろん。
タイトルの「恋になれ」と、「-----」中は小松未歩さんの「恋になれ..」から。
勝手に平和ソングだと思ってます(笑)

SPIDERS IN LOVIN' COOL(名探偵コナン【平次×和葉】)

2008-01-11 20:40:43 | 名探偵コナン(平次×和葉)
----------絡み合う指 解けない糸
狂おしい思いに誰も嘘はつけない
SPIDERS IN LOVIN' COOL-----------


失う怖さ…
まるでクモの巣のような糸に吊された和葉を見たとき、生まれて初めて恐怖を知った。

「平次ぃ~いてる?」

日常に戻り、何もなかったかのようにコロッコロ笑いよる和葉。
そんな和葉を見て、オレは益々失う恐怖に脅える…。

「平次、鳥取から帰ってきてずっと元気ないで?どないしたん?」
「………………………………」
「ロバートに、ヒドいことゆうたこと、まだ…後悔しとるん?」

確かにあれは、ロバートにとっては残酷な真実やった。
たとえ真実やったとしても、オレが探偵だとしても、ゆうたらあかんかった。
後悔しないはずがない。
でもオレは、ロバートが、関係ないお前を殺そうとしたことが許せんかった。
お前がもしホンマに殺されとったら…と思うと、冷静でいられへんかった。
お前を失うんとちゃうか?と思ったら怖かった…なんて素直に言えたら、苦労せぇへん。
素直に言えたら…とっくに幼なじみや、姉弟みたいな関係からは卒業しとるやろう。
震えるこの身体を、抱きしめて欲しい…。
抱きしめて、抱きしめられて…お前がちゃんとここにおるっちゅう事を、
お前の存在が、夢やないっちゅうことを確かめたい、感じたい。
せやけど、今のオレには、そんなことをしてもらったり、する資格はない…。

「平次…大丈夫なん?震えとるで?」

そう言うと、和葉はオレの手をギュッと握ってくれた。

「……和葉?」
「何に震えてるんかは知らんけど…大丈夫やて。
どんなに怖くても、平次にはあたしがついとるよ?」
「……心配かけてしもたみたいで…すまんかったな」
「何謝っとんの?平次らしないで」

もう失いたくない、失い欠けたくない…オレも震えた手で、
今ここにある、当たり前やけど離したくない存在を強く握り返す。
こんなんは卑怯かもしれへんけど、
今のオレらを、もう一生離れられへんように、
クモの巣に張り付けて、もうどうにも動けんように欲しい…。


Fin


【あとがき】
本当はエロっぽく書くはずが、
取り留めがなくなりそうだったので却下になりました(爆)
言わずもがな、原作(25巻)、
アニメだと「鳥取クモ屋敷の怪」を参考にしたお話なので
まだまだ付き合う前の二人ですね(ってかこの二人、原作でも未だにくっついてねぇ)。
この前デジタルリマスターで再放送されていましたが、
改めてこの事件のやりきれない残酷さを感じました。
平次の残酷な真実の告白は…やっぱり和葉が殺されかけたってことと、
ロバート(犯人)の「もう誰が傷つこうと、関係ない!」って発言が許せなかったからだと思うんです。
探偵としてじゃなく、一人の人間として。
ブログのタイトルを「SPIDERS IN LOVIN' COOL」にしたのは、
この作品が書きたかったからでもあります。
ちなみにご存じの方は少ないと思いますが、
「SPIDERS IN LOVIN' COOL」というのは、
SUICIDE SPORTS CARという、大好きなアーティストの大好きな曲で、
最初の3行は、その曲から勝手に(爆)引用させていただきました。
クルドロも同じタイトルで書けそうです(笑)。

カフェラテ(名探偵コナン【平次×和葉】)

2008-01-05 23:29:54 | 名探偵コナン(平次×和葉)
「甘っ!!!なんやねん、コレ」
「平次が“なんでもええで~”ゆうたんやんか!!」
「確かにゆうたけど…普通コーヒーはブラックやろ!?ボケ!!」
「ボケとはなんやのん!!」

新幹線での言い争い。
理由は…アタシが買ってきたカフェラテ。
“なんでもええ”と言う平次の言葉を素直に聞いたアタシがアホやった。
新幹線まであまり時間がなくて…選んでる暇もなかったので、同じものを2つ買うてきた。
隣の席で平次がブーブーゆうてる。

「そんなに文句ゆうなら、飲まなければええやんか!」
「……もう遅いで、和葉。」

平次は右手で、中身のない缶をブラブラさせている。
……なんだかんだ言っても、平次は育ちが良い。
好みでないものでも、絶対残すことはない。
厳しい両親に育てられたお陰やな。

「苦っ…」
「あん?」
「平次、どこが甘いねん。これめっちゃ苦いやん…」
「どこがやねん!……そっか…和葉はお子ちゃまやからコーヒーなんて飲めへんのやな?」
「誰がお子ちゃまやのん!」
「お前や、お前。遠山和葉や。」
「苦くて飲めへんわ…」
「…オレが代わりに飲むさかい」
「さっき甘いって文句ゆうてなかったっけ?」
「残したらコーヒー豆を苦労して採取してる人に悪いやろ?」

結局、残りのカフェラテは平次に飲んでもらった。

「あぁ…ほんまに甘い…口直しで車内販売で買い直そう」
「そやね…」

平次はブラックを、アタシはカフェオレを買うた。

「美味い、やっぱりコーヒーはブラックに限るわ」
「甘くて美味しいわ~…」

すっかり機嫌も良くなったみたいで、口笛を吹いてる。
判りやすい…子供みたいやね。

「和葉…」
「ん?」
「そろそろブラックも飲めるようにならんと…」
「飲めなくても生きてけ…」

途中で言葉を遮られた。
軽い…平次のキスによって…。

「早よ苦いのにも慣れろや…躊躇ってしまうやないか…」

そのキスは…ブラックコーヒーとカフェオレの味が融合して、カフェラテのようだった。
ただ、さっきのカフェラテと違うのは、甘く、一瞬でもまろやかなキスだった。


【あとがき】
何が書きたかったんでしょう?(爆)。
昔「カフェラテ」って曲作ったんですよ。
お蔵入りしましたが…(爆)
カフェラテって飲む人によって甘さとか苦さの感じ方が違いますよね?
ちなみにうちは、苦いと思ってます。
コーヒーにお砂糖とミルク二つずつ入れないと飲めないし…。
設定としては付き合い始めかな?
しかし…新幹線に乗って二人はどこに行くんでしょう?
東京に行くなら飛行機使うし…。
いまいち盛り上がりにかける小説になってしまった…。