自衛隊は、やはり「隊員の命」を軽視している
東洋経済オンライン
2015/7/2617:05 清谷信一
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150726-00078310-toyo-nb&p=1
陸上自衛隊は実際の戦闘による被害を想定していない。筆者はそれの端的な例として個人用のファースト・エイド・キット、 「個人携行救急品」の不備を挙げて、東洋経済オンライン上で検証を続けてきた。
陸自の「個人携行救急品」は諸外国のそれに比べて劣っている。 これには国内用と国外用(PKO用)があり、特に国内用は包帯と止血帯しか入っていない。 これは現代の軍隊ではありえないお粗末さだ。そのことを訴えるために寄稿した「戦傷者は「想定外」という、 自衛隊の平和ボケ」 「自衛官の「命の値段」は、米軍用犬以下なのか」 「自衛隊員の命は、 ここまで軽視されている」 「自衛官を国際貢献で犬死にさせていいのか」は大きな反響を得た。だが、 その後、 防衛省、 陸上自衛隊幕僚監部なとからの反論もあった。そこで、 この問題について陸幕広報室への取材をもとに再検証する。今回はその前編。
■ 陸幕広報室取材までの経緯とは?
筆者は昨年雑誌の記事を書くために、 このファースト・エイド・キットの取材で陸幕広報室へ取材をお願いしたが、 「直接取材はできない。質問を書面で行い、 それに書面で答える」と言われた。締め切りもあったのでこの条件を呑んだが、誰がどのような理由で取材を受けられないのか尋ねた。 ところが3カ月以上に渡ってメールやファックス、電話でも無視・黙殺された。 これは担当者個人の対応ではなく組織としての対応だった。
筆者は「これはおかしいのではないか」と、防衛省の防衛相及び陸上幕僚長会見でそれぞれ中谷元防衛相、岩田清文陸幕長に質問し、 その後6月17日に陸幕衛生部への取材が実現した。
当初の陸幕の言い分は、文書のやり取にしたのは正確を期すためであり、筆者の取材拒否の理由を尋ねた質問は新しい取材の依頼であり、取材依頼の体裁を取っていなかった(から無視した)だった。その後の理由は、該当部署が多忙だったに変わったりしたが、 いずれにしてもそうであれば当初の取材依頼の時に言えばいい話ではないか。何カ月も黙殺するのは広報以前に、組織、社会人としての常識を疑われる。それを異常と思わないのは問題ではないか。常識的に考えれば、何か取材に応じたくない「大人の理由」が衛生部ないし、広報室など陸幕側にあるのではないか、 と勘繰られてもしかたあるまい。
筆者はフリーランスのジャーナリストであるが、外国のメディアの日本代表を務めている。このため外務省のプレスパスを有し、FPIJ(在日外国報道協会)に加盟しているので、防衛省の記者会見に出席できる。もしこれが記者会見に出られないフリーランスのジャーナリストで大臣や陸幕長に直接質問できない立場であれば、黙殺されたままだったのではないだろうか。陸幕広報の対応に関してはあれこれ言いたいことは山ほどあるが、本稿の主題から離れることになるので割愛したい。
さて、今回の取材では菊池勇一衛生計画Gp長、井内裕雅薬務班長、川井雅文研究管理係長、渡辺孝雄3佐(薬務担当)に対応していただいた。筆者のこれまでの記事に対するオブジェクションもあったが、全体的に以前の回答から微妙に違う説明が気になった。
筆者は「個人携行救急品」は国内用と国外用があり、国外用(PKO)用が8品目に対して、国内用はポーチを含めてわずか3品目、ポーチを除けば包帯と止血帯のみの国内用キットでは不十分ではないかと書いたが、 これに対して中谷防衛相や岩田陸幕長、 陸幕広報室は「有事の際には国内用キットに5品目を追加し、 PKO用と同等にする」 「個人の救急処置に関する一練は、陸上自衛官全隊員に対し、年間30時間から50時間程度の教育訓練を実施しており、 この中で、有事の際に追加される5品目を含めた「個人携行救急品」の概要教育、実技訓練等を行っている」としている。
また「個人携行救急品」は「米軍等の装備も参考に定めており、米陸軍の同装備と概ね同様の内容品であり、著しく劣っているとの指摘には当たらないと認識している」と述べている。この反論を検証してみたい。
■ 国内有事の際、本当に5品目を足すのか
まず筆者が2年前に当時の君塚栄治陸幕長(当時)に「個人携行救急品」について質問した際に、 「有事に際しては国内用に5品目を加えて、海外用と同じ構成内容にする」といった説明は全くなかった。国外用と国内用の違いの理由を問うた筆者に対する陸幕広報室の回答は以下のとおりだった。
「(国内用は)国内における隊員負傷後、野戦病院などに後送されるまでに必要な応急処置を、 医学的知識がなく、判断力や体力が低下した負傷者自らが実施することを踏まえ、救命上、絶対不可欠なものに限定して選定した。国外用は、 国内に比し、後送する病院や医療レベルも不十分である可能性が高いため、各種負傷に際し、 自らが処置できるための品目を、 国内入れ組に追加して選定した」
これを読む限り、 国内での事態に対しては国内用キットを使うとしか理解できない。今回、この件に関して衛生部に尋ねたが、 明快な回答は得られなかった。
そもそも救命を第一に考えるのであれば、「医学的知識がない」場合には教育をすればよい。 「判断力や体力が低下した負傷者自らが実施することが困難」であれば、負傷していない隊員による隊員相互の救護を徹底させればよい。現実にこうした努力を徹底することで米軍は「防ぎえた死」を9%以下にまで減少させることに成功しているのだ。
陸自と米軍の衛生能力の差はファースト・エイド・キットの違いに留まらない。分隊単位で整備されている衛生品のキットや携行用の担架などを含むTFAK(Team FirstAid KitやVFAK(Vehicle FirstAid Kit)一、般兵士であるが脱気針による胸腔減圧ができるCLS(CombatLife Saver)の存在など、予防の徹底、治療・後送システムと総合的に比較したならば陸自と米軍の衛生能力の差は「雲泥の差」となることだろう。
有事用の国内キットを補完するための備蓄について尋ねたところ、有事用の備蓄はあまりなく、有事には流通在庫に頼るという。
だが実際問題として銃器による犯罪の少ない日本国内では戦闘外傷用の医療用品は特殊であり、 そのほとんどが輸入品である。またこれらは使用期限があり、 自衛隊以外の大口需要は期待できない。 しかも調達は競争入札であり、必ず勝てるとは限らない。通常は応札が決まってから海外メーカーにオーダーをかける。 このため普段から大量の在庫を抱えることはない。止血帯は陸自専用仕様だから、 そもそも流通在庫は存在しないはずだ。
有事になった際に、仮に在庫があっても右から左に納品できない。業者は自衛隊の補給処ではない。調達するためにはまず入札の告知を出してから応札者を募って競争入札をする必要がある。実際問題、流通在庫で有事に対処は机上の空論でしない。
■ 調達数があまりにも少ない
以前の記事にも書いたが「個人携行救急品」の初年度(平成24年度)の調達は国内用のみが約5万セットであり、 PKO用の調達はゼロだった。 これでは海外活動や国内有事での使用はもちろん、平時の教育もできなかったはずだ。 これも先述の大臣や陸幕長の見解と矛盾する。 この件についても尋ねたが、 明確な回答は得られなかった。
教育用機材としては、 エマージェンシー・バンテージや包帯は各約3万個(10回ぐらい使い回しが可能なので、合計30万人ほどに教育が可能)、止血帯は数千個、チェストシールも訓練用も数は少ないが、調達しているとのことだった。
だがこれらを見れば、各アイテムのバランスが悪すぎる。本来なら一定数を満たした訓練用キットを用意する必要があるはずだ。 これではチェストシールなど一番数が少ないアイテムに合わせた人数しか訓練ができないだろう。ボディアーマーの防護力の過信から、胸やお腹は損傷しないと思い込んでいるからこそ、 陸自のチェストシールの装備化が進んでいないのではないか。物がなければ教育も普及していないであろうから、胸部外傷や腹部の外傷に対する教育も不充分であろうと推察される。
包帯と止血帯は実際に使用しなければ身につかない。止血帯は相当な訓練をしなければ正しい使用法ができないという研究結果もある。教育所要ということであれば、一番、数を揃えなければならないのは止血帯であり、少なくとも4インチ・エマージェンシー・バンテージと同じ数の止血帯がなければ、 防ぎえた戦傷死の60%を占める四肢外傷の救急処置訓練を行えない。
4インチ・エマージェンシー・バンテージは止血帯が使用できない場所に止血剤との組み合わせにより止血を行えるよう、巻き方に改良がなされ、 10種類を超える使用法が教育されるようになった。10回の使い回しかできないのであれば、教育できるのは実際のところは1万人に満たないだろう。
諸外国では訓練用に各自に支給されるものとは全く別のキットが販売されており、 これを採用している軍隊も多い。例えば米国のノース・アメリカン・レスキュー社はスーツケース型のドライケースに20個のー練用IFAKのシステムを収納したセットを販売している。 これに装備されている止血帯などは色がブルーに変えられている訓練専用である。 このようなシステマティックな訓練用キットを陸自では採用していないようだ。
先に述べたように防衛省、 陸幕は「個人の救急処置に関する訓練は、 陸上自衛官全隊員に対し、年間30時間から50時間程度の教育訓練を実施しており、 この中で、有事の際に追加される品目を含めた「個人携行救急品」の概要教育、実技訓練等を行っている」としているが、数から見てそれが本当に可能であるのか疑問が残る。
またこの訓練は筆者が取材した限り、戦場を想定した訓練ではなく、包帯の訓練も行われているというが、通り一辺倒であり、例えば止血帯が使用できない大腿部の付け根に止血を行う方法などは教えられていないという。
■ 現場での救急処置が生存率に直結する
これらのことから、有事に際しては全隊員にPKO用キットと同じ内容に揃え、 そのための教育を行っているというのは率直に申し上げて疑わしい。仮にそのような計画があっても実行は不可能だろう。
戦争となれば国内の戦場においても後送する病院や医療レベルは不十分なのではないだろうか。第2次世界大戦以降の戦傷死に関する研究では、戦死者の約90%以上が負傷後2時間未満で死亡しており、戦死者の約90%以上が最前線の治療施設に収容される前に死亡しているのであるから、後送する病院や医療レベルの違いよりも、受傷した現場でいかに早期に救急処置を行い、応急処置、応急治療へと命を鑿いでいくかを目的にファースト・エイド・キットやMEDICの装備品を選定することが常識である。
その証拠にファースト・エイド・キットを国内外用と分けている軍隊は存在しない。国内でも有事には国外用と同じものを使用し、 そのための訓練を行っているのであれば、貧弱な国内用セットではなく、普段からPKO用と同じものをすべての隊員に支給すべきだし、 国内外とも同じものを支給すべきだ。現状では、単に全部隊に「国外用」を支給する費用が惜しいからといわれても仕方ないだろう。
私見…
これが…
現代の防衛省の姿なのでしょう…
訓練をしたことがない幹部には
解らないのでしょう…
実際 現場を知りないのは
事実でしょうから…
昔…。
陸軍省・海軍省…
今…。
防衛省…
貴族院があった頃…
机上の空論…
昔もそうだったのでは?
陸軍省・海軍省 貴族院…
現代も
その体制や体質は
何も変わってはいない
と言うことなのかもしれません…
言うなれば…
関東軍と731部隊体制のままだと
言えるのかもしれません…
戦時中…
薬ひとつねだってはいけない…
何と言う悲しいことでしょうか?
戦時中…
関東軍は 一体 何をしましたか?
731部隊とか 何をしましたか?
昭和時代は…
張作霖 列車爆殺事件
関東軍の関与があったのでは
ないでしょうか?
関東軍が関与したと
言われている事件は
何個あるのでしょうか?
証拠隠滅した関東軍…
本当に証拠隠滅をしたのでしょうか?