プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

阿久津義雄

2016-08-27 13:24:07 | 日記
1955年

昨年の高校球界はサウスポーに恵まれた。そのなかでも評判の高かったのは中山(中京商)と阿久津だ。阿久津は一昨年の夏二年生で甲子園の土を踏んでいる。このときは山上投手(現東京ガス)のリリーフで鳥取西高と中京戦に登板している。私はこのときしか阿久津のピッチングを見ていないが、これは有望な投手だと直感した。あがっていたのか鳥取西高戦には暴投を二個も記録したが、すぐ立ち直って五回以降完封して勝っているし、中京戦には七回からだが、無安打に抑えて中京のベンチをびっくりさせた。阿久津の宇都宮工とは宿敵の桐生工、阿部精一(日大OB)が口をきわめてほめているようにフォームは実にきれいだ。やせ型だが、五尺八寸三分、その長身をよく使いきって少しもギコチなさがない。手をとって教えてもらったことはないと聞いて二度びっくりした。先天的な野球のセンスがあるのかもしれない切れのよい速球はおそらく中山に匹敵するスピードをもっている。ドロップのブレーキも鋭い速球でビシビシときめ、最後にドロップをウィニング・ショットに使う本格派、コントロールもよく四球は一試合平均二個程度だという。フォームがよいことはすでに書いたが、身体は柔軟で、バネも強い。しかしそれよりも彼のピッチングの生命となっているのは人一倍強いリストにあるようだ。手首がよいからこそバッティングもすばらしい。一応内、外角を打ちこなして打者としても一流だ。このように素質の点からいけばおそらく今年プロ入りしたルーキーの中では一、二を争うくらいだ。しかし心配な点が二つある。その一つは身長が五尺八寸三分もあるのに体重が十七貫たらずであるということだ。ウェイトのない投手はどうしても球が軽い。それと線が細いので投手の一つの武器である相手打者に対する威圧感がないのは不利だ。そのよい例が昨年の山下投手(近鉄)で宅和級(南海)のスピードを持ちながら球の軽さと威圧感がないため宅和ほどの働きができなかった。宇工の浜野部長もこの点を心配してシーズン中は自分の家に下宿させ、偏食をなくするように努力したという話があるくらいだ。二番目は性格で、いい意味でのずるさがない。これがピッチングの面によく現れて、デッドボールでもさせると球威がぐんと落ち、相手に乗せられたことがしばしばあるそうだ。また一年生の夏、八回まで完全に相手を抑えながら九回現西鉄の豊田選手に得意の内角高目の直球を満塁ホームランされて逆転負けして以来、自信を失い気分的に立ち直るのに半年以上もかかったという。いまの彼に技術的な面より精神面の鍛錬こそ第一。いままであげたような諸点さえ矯正されば素質のある彼のことなので前途は有望。さいわい中山という競争相手もいるし今後の成長が楽しみでならない。

プロ入りの動機 野球が好きで、プロに入って腕を磨きたい希望に燃えていましたが、体力的に自信がなく一時迷いました。しかし身体は大丈夫と太鼓判を押されたので決心したわけです。

まず勉強したいこと プロ野球のふん囲気になれることです。つぎは体力をつけること、そして腰を強くすることです。技術的にはスピードをつけることに専念したいと思いますが、それには私の場合フォームなどよりも体力をつけることだと思います

目標とする選手 杉下さんあらゆる点で杉下さんのような大投手になりたいと思いますが、とくにスピードがうらやましい。

趣味 音楽

身長・体重・投打・年齢・背番 五尺八尺三分、十六貫八百、左投左打、十八歳、背番号未定

現住所 宇都宮市道場宿町1218

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