急なお仕事から戻ってきました。まったく余力は残ってません(笑) 座っているのもつらいくらい疲労感があって、途中で休ませてもらったりもしましたが、楽しかったです。
さて、何回かに分けて書いてしまいましたが、膠原病の外来のお話のつづきです。
いつものように、「大丈夫だよ~」というモードだった先生なんですが、蚊に刺されたらすごくアレルギー反応が出て、口内炎みたいになる、という話をしたとたん、まじめに考え中というモードになりました。
どうやら慢性活動性EBウイルス感染症というものを疑われたようです。
このEBウイルス(Epstein-Barr Virus)自体は、ヘルペスの仲間で、とってもよくあるウイルスのようです。日本では、1歳で12.5%、2歳で60%、3歳頃には約70%が、20歳では90%以上の人が感染しているのだとか。免疫系が発達する前に感染することが多くて、ほとんどの人が無症状のようですが、発熱があったり、リンパや肝臓・脾臓が腫れたり、喉が腫れたりという症状が出ることもありますが、1ヶ月もすれば収まるものだそうです。これが伝染性単核球症なんだそうです。
ふつうは免疫の関係でやっつけられて、これでおしまいなのですが、このウイルスに感染した細胞が残って、増えてしまう病気があるそうです。それで、伝染性単核球症を何度も起こしたり、蚊アレルギーの症状を出したり、血球を食べてしまう血球貪食症候群を起こすのが、慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)だそうです。
もともとのウイルス症状がありがちなものなのに、この慢性活動性EBウイルス感染症になると、やっかいで、治療をしないと、数年から10数年で90%くらいの方が亡くなるという予後のよくない病気のようです。
特徴的な症状は・・・
・3週間以上、持続する38度を超える熱(…あるある。)
・白血球の数が増える(ずっと意味もなくあがってます。)
※逆に、血球貪食症候群を合併すると、減ります。
・慢性的な疲労感(そうそう、1日がんばったら、3日休んでます(笑))
・蚊刺過敏症(蚊アレルギー)(はい、穴があきます。)
疲労するようなことをしているわけではないのにやたらと疲労感が持続する慢性疲労症候群の患者さんのなかには、この慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)の軽症患者さんがいらっしゃるんじゃないか、なんて指摘もあるようです。なるほど。
診断手順は、2002年に定義されたものではこんな項目で、当たり前だけれど、血液検査がないと何にも言えないようです。
●疑診段階
1)3ヵ月以上持続する慢性あるいは反復性伝染性単核球症様症状
2)抗EBV抗体価の異常(抗VCA-IgG抗体の高値、抗EA抗体陽性、または抗EB抗体陰性)
3)蚊アレルギーや種痘様水疱症の既往/合併
4)末梢血リンパ球サブセット(T細胞やNK細胞の割合)
●確定診断
5)末梢血(血球)中のEBV-DNA量の増加(10E2コピー/μgDNA以上)
6)主たるEBV感染細胞の同定(TあるいはNK、その他)
7)clonalityの判定(EBV-terminal region、免疫関連遺伝子のSouthern blot)
伝染性単核球症の場合は、B細胞と呼ばれるところに感染するそうですが、慢性活動性EBウイルス感染症では、T細胞やNK細胞にも感染するそうです。(NK細胞に感染すると、蚊アレルギー(蚊刺過敏症)の症状が出るようです)
治療としては、この感染した細胞を排除してしまうこと。白血病や悪性リンパ腫の治療とも似ているそうです。日本での第一人者といわれるのは、大阪府立母子保健総合医療センターの河敬世先生のようですが、その先生のよると治療法は…
・第1段階:免疫化学療法・・・ステロイド、免疫抑制剤と抗がん剤(1種類)の併用
・第2段階:多剤併用化学療法・・・抗がん剤の組み合わせ
・造血幹細胞移植:移植
河敬世先生が書かれた「いわゆる慢性活動性EBウイルス感染症の診断と治療(pdf)」やEB ウイルス感染症研究会の資料はとってもわかりやすいかったです。
EBウイルスの感染も大人になってから伝染性単核球症になってもしんどいようですが、膠原病の先生が疑ったのは、慢性活動性EBウイルス感染症。いっつも脱力系なのに、久しぶりに真顔(笑)で過去の血液検査のデータを眺めながら、血液検査のオーダーをいれていました。横で、ボケてみるのですが、まったく受けず…(涙) それが「予後のよくない感」をひしひし伝えてました。はい。
「とりあえず、こういうウイルスがあって、それで今のような症状が出ることがあるから念のため、それに感染しているかどうか、検査しましょう。それからですね」という程度で。今日・明日ということでもないみたいなので、2ヵ月後の外来の採血のついでに、検査しておいてもらうということになりました。
それにしても、治療法がない、とか、予後がよくない、とか、そういう話って、こんなにしょっちゅう聞かされるものだったっけ?おかしいなぁ~(笑)
でも、罹ってないような予感がするので、きっと大丈夫。たぶん。このよくわからない疲労感の説明はつかないけれど。
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さて、何回かに分けて書いてしまいましたが、膠原病の外来のお話のつづきです。
いつものように、「大丈夫だよ~」というモードだった先生なんですが、蚊に刺されたらすごくアレルギー反応が出て、口内炎みたいになる、という話をしたとたん、まじめに考え中というモードになりました。
どうやら慢性活動性EBウイルス感染症というものを疑われたようです。
このEBウイルス(Epstein-Barr Virus)自体は、ヘルペスの仲間で、とってもよくあるウイルスのようです。日本では、1歳で12.5%、2歳で60%、3歳頃には約70%が、20歳では90%以上の人が感染しているのだとか。免疫系が発達する前に感染することが多くて、ほとんどの人が無症状のようですが、発熱があったり、リンパや肝臓・脾臓が腫れたり、喉が腫れたりという症状が出ることもありますが、1ヶ月もすれば収まるものだそうです。これが伝染性単核球症なんだそうです。
ふつうは免疫の関係でやっつけられて、これでおしまいなのですが、このウイルスに感染した細胞が残って、増えてしまう病気があるそうです。それで、伝染性単核球症を何度も起こしたり、蚊アレルギーの症状を出したり、血球を食べてしまう血球貪食症候群を起こすのが、慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)だそうです。
もともとのウイルス症状がありがちなものなのに、この慢性活動性EBウイルス感染症になると、やっかいで、治療をしないと、数年から10数年で90%くらいの方が亡くなるという予後のよくない病気のようです。
特徴的な症状は・・・
・3週間以上、持続する38度を超える熱(…あるある。)
・白血球の数が増える(ずっと意味もなくあがってます。)
※逆に、血球貪食症候群を合併すると、減ります。
・慢性的な疲労感(そうそう、1日がんばったら、3日休んでます(笑))
・蚊刺過敏症(蚊アレルギー)(はい、穴があきます。)
疲労するようなことをしているわけではないのにやたらと疲労感が持続する慢性疲労症候群の患者さんのなかには、この慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)の軽症患者さんがいらっしゃるんじゃないか、なんて指摘もあるようです。なるほど。
診断手順は、2002年に定義されたものではこんな項目で、当たり前だけれど、血液検査がないと何にも言えないようです。
●疑診段階
1)3ヵ月以上持続する慢性あるいは反復性伝染性単核球症様症状
2)抗EBV抗体価の異常(抗VCA-IgG抗体の高値、抗EA抗体陽性、または抗EB抗体陰性)
3)蚊アレルギーや種痘様水疱症の既往/合併
4)末梢血リンパ球サブセット(T細胞やNK細胞の割合)
●確定診断
5)末梢血(血球)中のEBV-DNA量の増加(10E2コピー/μgDNA以上)
6)主たるEBV感染細胞の同定(TあるいはNK、その他)
7)clonalityの判定(EBV-terminal region、免疫関連遺伝子のSouthern blot)
伝染性単核球症の場合は、B細胞と呼ばれるところに感染するそうですが、慢性活動性EBウイルス感染症では、T細胞やNK細胞にも感染するそうです。(NK細胞に感染すると、蚊アレルギー(蚊刺過敏症)の症状が出るようです)
治療としては、この感染した細胞を排除してしまうこと。白血病や悪性リンパ腫の治療とも似ているそうです。日本での第一人者といわれるのは、大阪府立母子保健総合医療センターの河敬世先生のようですが、その先生のよると治療法は…
・第1段階:免疫化学療法・・・ステロイド、免疫抑制剤と抗がん剤(1種類)の併用
・第2段階:多剤併用化学療法・・・抗がん剤の組み合わせ
・造血幹細胞移植:移植
河敬世先生が書かれた「いわゆる慢性活動性EBウイルス感染症の診断と治療(pdf)」やEB ウイルス感染症研究会の資料はとってもわかりやすいかったです。
EBウイルスの感染も大人になってから伝染性単核球症になってもしんどいようですが、膠原病の先生が疑ったのは、慢性活動性EBウイルス感染症。いっつも脱力系なのに、久しぶりに真顔(笑)で過去の血液検査のデータを眺めながら、血液検査のオーダーをいれていました。横で、ボケてみるのですが、まったく受けず…(涙) それが「予後のよくない感」をひしひし伝えてました。はい。
「とりあえず、こういうウイルスがあって、それで今のような症状が出ることがあるから念のため、それに感染しているかどうか、検査しましょう。それからですね」という程度で。今日・明日ということでもないみたいなので、2ヵ月後の外来の採血のついでに、検査しておいてもらうということになりました。
それにしても、治療法がない、とか、予後がよくない、とか、そういう話って、こんなにしょっちゅう聞かされるものだったっけ?おかしいなぁ~(笑)
でも、罹ってないような予感がするので、きっと大丈夫。たぶん。このよくわからない疲労感の説明はつかないけれど。

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私も蚊刺過敏症で悩まされています。
蚊に刺された後は患部以外にもちょこちょこ出てしまいます。
ただ、発熱、肝機能障害、疲労感などの慢性活動性EBウイルス感染症に見られる症状がありません。
蚊刺過敏症という1つの条件さえあれば、確実に慢性活動性EBウイルス感染症なのでしょうか?
それとも単なる蚊アレルギーということも考えられるのでしょうか?
蚊に刺されるたびに腫れるんですね。。
わたしは専門家ではないのですが、大きく分けると、蚊の唾液腺に対する免疫とEBウイルスに対する免疫反応の2つを考えると聞きました。
実際に刺されたあとの経過(何時間後くらいにどれくらい腫れたとか、熱を出したとか、痕が消えるのに何週間かかったとか)をメモしておいて、気になる場合は内科などで相談するのもいいのかもしれません。
必要に応じて、抗体検査もしてくれるようです。
http://www.cocokarada.jp/column/qa/0708/01.shtml
暖かい日がつづくと、いつまでも蚊がいますから、お大事なさってください♪
蚊の唾液腺に対する免疫だけなら心配ないってことですね。
その可能性を信じたいですが・・・。
とりあえず、蚊がいない間は安心して暮らしていますが、夏が来るのが憂鬱です。
お忙しい中ご回答ありがとうございました!
蚊の対策は、まずは刺されないように蚊帳を使ったり虫除けを上手に使うというのが一番という話も聞きました。
お大事になさってください♪