活性酸素と固体マイナス水素イオン

生活習慣病の原因は活性酸素です。活性酸素と固体マイナス水素イオンと生活習慣病の関わりについて記載します。

疲労とHHV-6

2008年10月14日 | Weblog
●HHV と疾患●
今日は、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)と疲労との関係のお話しをさせて頂きます。
今日の話には、HHV-6 などのヘルペスウイルスを利用して、疲労の度合いを測定できる様になるというお話と、「疲れをためると大きな病気を引き起こす」という良く知られた事実の裏側に、HHV-6 などのヘルペスウイルスの活動があるかもしれないというお話しをさせて頂きます。
ウイルスというのは非常に多様な生物で、生活の仕方も極めて変化に富んでいます。しかし、どのウイルスも他の生物に寄生しなければ生きては行けないという点は共通しています。ウイルスが寄生する先の生物は、「宿主(しゅくしゅ)」と呼ばれています。ウイルスは非常に多様な生物であると言いましたが、その生き方を強引に2つに大別することができます。ひとつは、宿主の体で急速に増殖して、できるだけ多くの宿主に拡散して生存しようとするタイプのウイルスです。例えば、はしかやおたふく風邪のウイルスがこの例に当たり、割と思い病気を起こすものが多く見られます。もう一つは、宿主の体内に長く住み付く事によって自分自身の生存を有利にしようとするウイルスです。この場合は、宿主が死んでしまっては自分が生存できませんから、あまり重い病気を起こさないウイルスが多いのです。またこの時、ウイルスが自分の遺伝子だけを宿主の体内で維持する場合を、潜伏感染を呼びます。
●単純ヘルペスウイルスの再活性化●
この潜伏感染を生じるウイルスの代表的なものがヘルペスウイルス科のウイルスです。
ヒトを宿主とするヘルペスウイルスは、現在までに8種類が知られています。ヘルペスウイルスの代表的なものとしては、唇に水泡を作る単純ヘルペス1型があげられます。実はヘルペスウイルスというのはこの唇にできる水泡の名前がヘルペスと呼ばれるところから命名されたものです。また、水疱瘡と帯状疱疹を引き起こす水痘帯状疱疹ウイルスもヘルペスウイルスの仲間です。
潜伏感染しているウイルスは、宿主の体内に潜んでいるため、宿主が死んでしまうとウイルス自身も失われてしまいます。これを防ぐためには、ウイルスは宿主が死ぬ前に脱出して、元気な宿主に感染すれば良い訳です。この様な脱出をウイルスの再活性化と呼びま東京慈恵会医科大学微生物講座第一 教授 近藤 一博
す。その様子は、まるで船底に潜んでいたネズミが、船に危険が迫っているのを、いち早く察して逃げ出す様にもたとえられます。
実は、潜伏感染を生じるウイルスはヘルペスウイルス以外にもあるのですが、自力で再活性化をすることができるウイルスはヘルペスウイルスだけなのです。
●HHVの病像●
ヘルペスウイルスの一種であるHHV-6 は、小児期、それも1歳半までにほとんどのヒトに感染して、突発性発疹を起こします。その後一生涯、免疫機能に重要な働きをするマクロファージと脳内のグリア細胞において潜伏感染を生じます。このため、後でも述べますがHHV-6 の潜伏感染の動きは免疫や脳の働きといった、ヒトにとって重要な機能と深く関わっていると考えられます。例えば、熱を出したときにしばしば引きつけを起こす子供では、HHV-6 の脳内での再活性化が痙攣に関わっていることが判っています。
ヘルペスウイルスが再活性化を起こす頻度とその引き金は、ウイルスごとで異なります。
ただ、ヘルペスウイルス科のウイルスの再活性化と、ストレスや疲労が関係することは、経験的に古くから知られています。例えば皆さんの周りにも、ひどく疲れると唇にヘルペスが出る人がおられると思います。このようにヘルペスが出る人の中には、ヘルペスが出ることを自分の疲労の度合いのバロメーターにしておられる方もおられます。
●ストレス疲労とHHV 潜伏感染●
実は、「疲労」の度合いを客観的に知ることは、とても大事なことなのです。例えば、過度の疲労の蓄積によって生じる過労死では、過労死した方の半数以上は、自分が疲労していることを自覚していないと言われています。このため、疲労を客観的に測定してモニターできれば、過労死の予防に大いに役立ちます。ところが、疲労の客観的な測定は非常に難しく、今のところ標準となる方法はありません。このため、ヘルペスウイルスの再活性化が疲労の測定に使えれば、非常に役に立つ検査になります。ところが、唇の口唇ヘルペスの出現は個人差が大きく、ヘルペスが出る人も少ないので、誰もが使える方法ではありません。
最近我々は、仕事のストレスによる疲労がHHV-6 の再活性化を誘導することを見出しました。HHV-6 は赤ちゃんの時に全員が感染し、すべての人が体内に潜伏感染したHHV-6を持っています。その上、再活性化したHHV-6 は、唾液中に放出されるので検査が簡単にできます。我々は、再活性化したウイルスが唾液中に放出される各種のヘルペスウイルスについて、ゴールデンウィークの連休の前の、仕事が忙しい時期と、連休で1週間休んだ後でのウイルス量の変化を観察しました。この結果、HHV-6 の再活性化が仕事によってたまった疲労によって誘導され、しかも個人差が小さいことを見出しました。連休後は、HHV-6 の唾液中への放出は、放出する人数も放出されるウイルスの量も減少していました。
さらに、連休後もウイルスを放出している人は、連休中に体を休めていないことも明らかになり、この方法の客観性が高いことも分かりました。
●HHV 再活性化と疲労の関係●
またその一方で、病的な疲労である慢性疲労症候群の患者さんでは、HHV-6 の再活性化は誘導されず、代わりにHHV-6 に非常に近い関係にあるヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)の再活性化が亢進していることがわかりました。HHV-7 は、HHV-6 と同じく突発性発疹の原因となるウイルスですが、宿主の免疫機能に関連して再活性化すると考えられています。
慢性疲労症候群患者の患者さんで、HHV-6 がどうなっているかというと、こちらは潜伏感染から再活性化に向かってはいますが、再活性化には至らず、途中の段階である「中間状態」のウイルスとして異常な蓄積が生じていることが判明しました。慢性疲労症候群の患者さんには、うつ病などの精神症状を持つ患者さんが多く見られますが、我々は、HHV-6の中間状態の脳での異常な蓄積が、精神症状と関係すると考えています。 また、このことは、疲労の蓄積によって再活性化に向かったHHV-6 が、ある特定の素因をもった人では、異常に蓄積して、慢性疾患の原因になる可能性がある事を示しています。
HHV-6 は、免疫機能の司令塔とも言えるマクロファージでも潜伏感染をしますから、マクロファージの中に中間状態のウイルスが蓄積すると、免疫系の疾患を起こすかも知れません。よく、「疲れをためると大きな病気を引き起こす」と言われますが、このことの裏側には体内に潜伏しているウイルスの動きの変化が関係している可能性があります。
先程、疲労を客観的に測定する方法は確立されていないと言いましたが、疲労がなぜ起こるのか、人は疲労をどの様に感じるのがなど、疲労のメカニズムはほとんど判っていません。いわゆる疲労の原因物質も、長い間、乳酸が原因であると考えられてきましたが、一昨年(2004 年)乳酸は筋肉の動きを良くする物質であり、むしろ疲労を軽減するために筋肉中で増えてくる事が示されました。このため、現在のところ、疲労の原因物質は不明です。
今回我々が見出した疲労とウイルスの関係に関する現象は、過労死などの原因となる、「仕事によってたまった」疲労をHHV-6 の再活性化を利用して測定できる可能性を示すものです。またこれと同時に、HHV-6 やHHV-7 の感染の動態を検討することにより、疲労の原因物質の発見や、疲労を予防したり軽くしたりするための研究にも役立つものと考えています。

リーダー募集!

あなたのホームページ無料提供http://1sun.biz/N/60830.php?ID=B3799

固体マイナス水素イオン健康法
http://1sun.biz/N/80719.php?ID=B3799

最新の画像もっと見る