あめ~ば気まぐれ狂和国(Caprice Republicrazy of Amoeba)~Livin'LaVidaLoca

勤め人目夜勤科の生物・あめ~ばの目に見え心に思う事を微妙なやる気と常敬混交文で綴る雑記。
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第5回アメーバ裏書籍大賞

2012-01-07 23:54:03 | 書籍大賞
一年間でつまらなかった本・微妙だった本10冊を選ぶ裏書籍大賞。無事5回目の開催にこぎつけました。
選考対象は第5回アメーバ書籍大賞と同じく、2010年12月31日~2011年12月29日までに読んだ本です。

それでは、興味のある方だけ、どうぞ。

「推理小説」/秦建日子
構成が凝っているので、ある程度読みづらい構造になるのは仕方ないと思うのだが、それでは弁護しきれない読みづらさが随所にあると感じた。スピーディーな展開を志向してか描写が省略されているところが多く、帯などでさんざん煽られている「驚き」が、その説得力を失う形になっているように思われた。

「土井徹先生の診療事件簿」/五十嵐貴久
刑事ものと日常の謎のいいとこどりをしようとしてうまくいかなかった作品と感じた。飛躍の多い推理が即逮捕に結びつく展開が何度も繰り返される。動物との会話能力もあまり活かされていないように思う。なお、文庫化の際に何故か収録されなかった短編があるのだが、理由説明どころか、削ったこと自体告知されていない。

「怪奇小説という名の怪奇小説」/都筑道夫
中学時代に「玩具修理者」を読んで以来、まわりくどいホラー小説が好みである。この小説も幕開けから大回りを始めたので先を期待したのだが、大回りしただけでどこにもたどり着かず終わってしまった印象。不気味より理解不能が先に立ち、中編に近い短さなのでわけのわからないまま終わってしまう印象。

「思い出したくもない人生最悪の96時間」/布施文章
こういうジャンルに詳しい友人に言わせると有名映画の模倣が見られるらしい。私はその映画は観たことがないが、そうでなくても楽しめるものではなかった。展開が速すぎて読みづらく、かといって無駄がないかといえば何のために登場したのかわからないキャラクターもいる。後味が悪いので読後の爽快感もない。

「かめ探偵K」/北野勇作
北野勇作作品を読むのは初めてなのだが、読後にAmazonのレビューなど見ていると「いつものかめ」「相変わらずのかめ」などなどの言葉が躍っている。恐らく「いつも」であると感じることのできる読者には面白いのだと思う。初顔合わせの者には世界観がつかめず空気感になじめないまま終わった一冊だった。

「本と怠け者」/荻原魚雷
古書エッセイとジャンル付けされていたが、基本的には著者の感想文集であり、古書である必要性は感じられなかった。想定する読者がかなり限定されているのか、あまり知られていない作家や作品の名前がいくつも説明なく登場し、意図がつかみきれない。誤植など細かいミスが多いのもマイナスである。

「ほたるの群れ 第一話 集」/向山貴彦
平凡な高校生が、闇の犯罪組織をめぐる争いに何もわからぬまま巻き込まれてしまう展開なのだが、問題は読者も――何のために人が拷問されたりしているのか――何もわからないことだ。クライマックスの戦闘シーンも舞台設定が相まって誰がどのような状況なのか把握できない。わからない尽くしであった。

「ちあき電脳探偵社」/北森鴻
これについては、一番非があるのは学年誌連載の小説であるという点を見落としていた自分だと思うが、子供向けにせよ首を傾げる部分があるのもまた事実である。たとえば、いくら電力会社が協力しても町中の照明を一斉に点けるのは子供にも不可能だとわかるのではないか、という点など。

「少女と移動図書館」/竹雀綾人
ツイッターで小説を発表するという試みを本にしたものである。ツイッターそのものは過去についての参照がしづらいものだから、ストーリーが動くようなものは書けない。つまりどこから読んでも構わないような小説にならざるを得ないわけだが、それを最初から最後まで読むのはなかなかモチベーションの維持が難しい。

「葬神記 考古探偵一法師全の慧眼」/化野燐
人間関係など詳しく説明すべき事柄がいくつも放置され、代わりにあるのは考古学や民俗学に関する雑多な知識の断片と、語り部役の居眠りであるとあっては何を楽しんでいいのかわからない。描きこまれず数だけ多い登場人物がごちゃごちゃ動いた後、超展開が一幕あって終わるというサイケな夢のような一冊。

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