あめ~ば気まぐれ狂和国(Caprice Republicrazy of Amoeba)~Livin'LaVidaLoca

勤め人目夜勤科の生物・あめ~ばの目に見え心に思う事を微妙なやる気と常敬混交文で綴る雑記。
コメント歓迎いたします。

第4回 アメーバ書籍大賞

2010-12-31 12:00:00 | 書籍大賞
今年も無事開催できました。第4回アメーバ書籍大賞受賞作発表会へようこそ。



【授賞規定】
・本賞は、「世界一権威の無い文学賞」たることを目的とし制定されたものである。

・対象は、原則として1月1日から同年12月31日までの間、私が読んだ全ての書籍とする。出版年は問わない。その年の12月31日に、受賞作の発表を行う。

・全17部門を設け、それぞれについて選考する(部門の数に関しては、今後流動する可能性がある。第2回より19部門とした)。

・一つの作品が複数の部門の選考対象になることは可能だが、複数部門の同時受賞は認められないものとする。

・一つの部門について同時受賞できる作品は、2タイトルまでとする。当然、該当作品が無い可能性もある(好短編部門については後述)。

・選考対象はタイトル単位とする。表題が一致している限り、冊数は問わない(副題が違っていた場合も同じ)。ただし、内容の連続性が明白であっても、表題が違う場合は別作品とする。なお、「シリーズ作品部門」「好短編部門」に関してのみ、この限りではない。

・好短編部門については、直木三十五賞の暗黙の了解にならい、「授賞する作家は2人まで、著者一人ごとに6作品まで」の同時授賞が可能とする。


【今回の特記事項】
・事情により、対象となる作品は2009年12月27日~2010年12月30日までに私が読んだ作品とする。12月31日以降については第5回で審査することとする。



【推理小説部門】
「告白」/湊かなえ
山科兵庫介「救われたものなど誰もいないのに、暗然とした爽快感に包まれるストーリー構築は大変好みだ。」
雨場毒太「それが素晴らしいミステリとして結実したのは結果論としても、自分の作った物語にどのような後日談が作れるのかを考えるのはとてもミステリ的だと思う。」

「インシテミル」/米澤穂信
雨場毒太「さすがのミステリ愛。息詰まる殺人ゲーム、堪能しました。」
姉楠燎原火「閉鎖空間では動きよりも会話の価値が高くなるものですよね。」



【犯罪小説部門】
該当作品なし



【冒険小説部門】
「僕たちの旅の話をしよう」/小路幸也
あめ~ば「子供の頃読んだ児童文学を思い出させる空気で懐かしませながら、それだけには終わらない巧みなストーリーが素晴らしいです。」
救済臨「遠さとは相対的なものだということを何度も実感させられる小説。」

「銀世界と風の少女」/松山剛
姉楠燎原火「様々なかたちの“家族”を描く小説、だと表現したら一面的に過ぎるでしょうか。」
山科兵庫介「これ1冊で終わるには勿体ない世界観。」



【コメディ小説部門】
「田舎の刑事の趣味とお仕事」/滝田務雄
あめ~ば「爆笑のし通しでした。」
雨場毒太「推理小説としての質も良く、なおかつコメディと推理が分離していない。デビュー作にして凄い手腕。」



【ホラー小説部門】
該当作品なし



【SF部門】
「塩の街」/有川浩
RYLOTH「印象的な短編を冒頭に置いて読者を引き込んだら、後はめくるめく有川ワールド。」
ぱやし「他の2作と比べると、“陸である”要素は少ない気もする。」
でぃすけら「恋愛小説部門だと思うのだが、それは他作品に任せるか。」



【ファンタジー小説部門】
「付喪堂骨董店」/御堂彰彦
山科兵庫介「どんどん救いの無い方向へ進んでいくと思ったのだが、最終巻での伏線の回収は凄まじかった。」
トリヘドラン「限られた性能の使い道というのは工学部的精神でもあるかなと牽強付会してみます。」
でぃすけら「イラストはタッチ、タイミングともに完璧に近い。」

「廃帝綺譚」/宇月原晴明
山科兵庫介「たとえ短編であっても、この絢爛な世界観は読者を十二分に酔わせる。」
十文寺「『安徳天皇漂海記』に比べると、歴史パズル度は減ったかな。」



【歴史・時代小説部門】
「舞王 -MAIOH-」/永田ガラ
十文寺「能舞の黎明期というなじみの薄い分野を題材にしつつ、少年を主人公にすることでわかりやすく映るように仕立ててあるのが良い。」
雨場毒太「前作のとっつきづらさが解消されているのにも好評価。」



【社会小説部門】
「チャイルド44」/トム・ロブ・スミス
ぱやし「主人公の捜査官が直面する問題点は、そのままスターリン政権下のロシアの悪弊。見事なストーリー構築だと思う。」
雨場毒太「“孤立しながらも真実を追う捜査官”というプロットは見慣れたものだが、この舞台では孤立のレベルが違う。舞台設定の勝利。」



【恋愛小説部門】
「阪急電車」/有川浩
救済臨「舞台にするには地味な路線かと思ったが、読み終わってみれば過不足ないと感じた。」
あめ~ば「阪急“電車”というタイトルの付け方が、関西出身者としては嬉しい限りです。」



【青春小説部門】
「1/2の騎士」/初野晴
あめ~ば「どこかバートン映画を思わせるようなアウトサイダー達への愛が感じられて面白かったです。」
山科兵庫介「前途の多難さを思わせながらも爽やかなラストが良い。」



【準文学部門】
「怪獣工場ピギャース!」/松山剛
雨場毒太「消滅寸前の新風舎がこんな良作を出していたとは。嬉しい驚きである。しかし裏表紙の煽りがこの本の魅力を全く表現できていないのが所詮新風舎という気はしないでもない。」
ぱやし「徹底して「善悪」を消そうとしている描写に作者の熱意を感じる。」



【短編集部門】
該当作品なし



【シリーズ作品部門】
該当作品なし



【随筆・紀行文部門】
「高砂コンビニ漂流記 悪衣悪食を恥じず」/森雅裕
ぱやし「働いていた店はもう潰れているから多少の書きすぎは許されるだろう、と歯(筆?)に衣着せぬ筆致を見せる怖いもの無しの作者。空恐ろしい実録である。」
雨場毒太「これほど買い支えねばと思ったエッセイも無い。」

「宇宙からの帰還」/立花隆
破六大佐「宇宙がいかに人に対して影響を与えるか、を深く掘り下げた名著。」
ぱやし「アメリカ人ばかりでない新しい『宇宙からの帰還』も読んでみたいが、無理だろうか。」



【ノンフィクション部門】
「医薬品クライシス」/佐藤健太郎
ぱやし「製薬が抱える問題点が簡潔にまとめられている。」
トリヘドラン「そのうち他人事でなくなる日が来るのかもしれない。」

「星新一 一〇〇一話をつくった人」/最相葉月
雨場毒太「聖人じみて語られることもあった作家の実像が見える。」
RYLOTH「日本SF創成史として見ることもできると思います。」



【学術・実用部門】
「環境リスク学 不安の海の羅針盤」/中西準子
トリヘドラン「レポートの参考書として図書館で借りてきたが、気づいたらレポートを忘れて読みふけっていた。」
ぱやし「著者は日本共産党員の娘として生まれ、“政治論争と違って科学の議論には結論が出る”ことに感動して理系になったという人物。環境という科学の中でも最も結論が出にくい部類の分野で活躍しているのは皮肉と言えなくもないが、この本からは著者の深い情熱が感じられて快い。」

「よいこの君主論」/架神恭介・辰巳一世
あめ~ば「政治学の論説を題材にしながら、大変面白く読めます。」
ぱやし「あまりに読みやすいので、まともな解釈なのかと疑ってしまうところが難点といえば難点か。」



【自由部門】
「15×24」/新城カズマ
雨場毒太「小説単品のみならず、ネットを利用した様々な試みを含めた一つのエンターテイメントとして。」
姉楠燎原火「後日談が読みたくなります。」

「死にカタログ」/寄藤文平
あめ~ば「エッセイであり、絵本のようでもあり。楽しい中にも考えさせられる一冊です。」
トリヘドラン「考えた結果ではなく考える過程を書いた風変わりな一作。」



【好短編部門】
「ストーリー・セラー」「脱柵エレジー」/有川浩
でぃすけら「ラヴにニヤニヤしていればいいだけの簡単なお仕事だと思っていたのに。『“文学少女”と死にたがりの道化』を初読したときと同じ感触ではある。『夏期限定トロピカルパフェ事件』にも近いかもしれない。」
雨場毒太「作家を裏切る読者、というエレメントにも“文学少女”シリーズを思わせるものが。まあ御託以前にとにかく衝撃だった。」
ぱやし「どうでもいいことを考えていられる幸せ、というものがあるのだ。」
姉楠燎原火「で、「ストーリー・セラー」だけだとどうにもトラウマ語りに終始しそうなので、「脱柵エレジー」と合わせることに。一つの場所から動かずに、回想と会話だけで話が進むスタイルは好きです。」

「蝶遣いと春、そして夏」/恩田陸
山科兵庫介「幻想的なシーンの連続は、魔術師の本領というべきところ。」
雨場毒太「色彩の奔流のようなイメージが浮かんでくるが、読み進めていくうちにセピア色になっていくような気がした。」

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