あめ~ば気まぐれ狂和国(Caprice Republicrazy of Amoeba)~Livin'LaVidaLoca

勤め人目夜勤科の生物・あめ~ばの目に見え心に思う事を微妙なやる気と常敬混交文で綴る雑記。
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第5回アメーバ書籍大賞

2011-12-31 12:00:00 | 書籍大賞
今年も無事開催できました。第5回アメーバ書籍大賞受賞作発表会へようこそ。
例年と同じく、文学賞の雰囲気づくりのため、私の好みの様々な側面をそれぞれ別々のHN(便宜上「人格」と呼称)に代弁させる形で寸評を載せています。



【授賞規定】
・本賞は、「世界一権威の無い文学賞」たることを目的とし制定されたものである。

・対象は、原則として1月1日から同年12月31日までの間、私が読んだ全ての書籍とする。出版年は問わない。その年の12月31日に、受賞作の発表を行う。

・全17部門を設け、それぞれについて選考する(部門の数に関しては、今後流動する可能性がある。第2回より19部門とした)。

・一つの作品が複数の部門の選考対象になることは可能だが、複数部門の同時受賞は認められないものとする。

・一つの部門について同時受賞できる作品は、2タイトルまでとする。当然、該当作品が無い可能性もある(好短編部門については後述)。

・選考対象はタイトル単位とする。表題が一致している限り、冊数は問わない(副題が違っていた場合も同じ)。ただし、内容の連続性が明白であっても、表題が違う場合は別作品とする。なお、「シリーズ作品部門」「好短編部門」に関してのみ、この限りではない。

・好短編部門については、直木三十五賞の暗黙の了解にならい、「授賞する作家は2人まで、著者一人ごとに6作品まで」の同時授賞が可能とする。


【今回の特記事項】
・事情により、対象となる作品は2010年12月31日~2011年12月29日までに私が読んだ作品とする。12月30日以降については第6回で審査することとする。



【推理小説部門】
「時の渚」/笹本稜平
雨場毒太「ハードボイルドは読みづらいという先入観があったのだが、リーダビリティが高くそれでいて軽くないという絶妙なバランスが印象に残った。」
姉楠燎原火「それを可能にしているのが、適材適所なキャラクターの造形と配置でしょう。」

「花の鎖」/湊かなえ
雨場毒太「前回の書籍大賞推理小説部門を受賞した『告白』とは同じ作者なのだが、かなり違った趣。派手さはないのだが、読ませるいい作品。」
山科兵庫介「ある程度の予定調和が見えるにも関わらず、読者を捉えて離さない筆力は感嘆。」



【犯罪小説部門】
「カラスの親指」/道尾秀介
山科兵庫介「道尾秀介作品は暗いと勝手に思っていたが、裏切りにあった。」
姉楠燎原火「どこか伊坂幸太郎作品を思わせる、非現実的なのに妙にリアリスティックな雰囲気。長台詞が多いですが会話が巧みなので、飽きずに読めました。」



【冒険小説部門】
「ジョーカー・ゲーム」/柳広司
あめ~ば「険しきを冒す、が冒険だとするならば、スパイの仕事とはまさに冒険でしょう。」
十文寺「D機関のモデルは第二次大戦で活動したF機関だろうけれど、特にそのような前提知識は不要だろう。」



【コメディ小説部門】
「田舎の刑事の動物記」/滝田務雄
あめ~ば「前回のコメディ小説部門はこの本の前作だったので、シリーズによる連覇ですね。貫録の勝利でした。」
雨場毒太「前作を読むことが前提条件にならない点も高評価。」



【ホラー小説部門】
該当作品なし



【SF部門】
該当作品なし



【ファンタジー小説部門】
「カラクリ荘の異人たち」/霜島ケイ
雨場毒太「妖異との関わりを通じて少年が成長していくストーリーだが、温かみとほんの少しの物哀しさが調和する総合的な演出が見事。」
アングマールの魔人「静謐でノスタルジックな妖かし達の町は、情景が目に浮かぶようでした。」



【歴史・時代小説部門】
「天才と狂人の間 島田清次郎の生涯」/杉森久英
十文寺「一人の小説家の登場と没落を活写した一冊。短い小説に濃密な内容。」
でぃすけら「中二病の末路である。恐ろしや。」
ぱやし「メディアの性質というのは結局のところ何も変わっていないのだなと妙なところに感じ入る。」



【社会小説部門】
該当作品なし



【恋愛小説部門】
該当作品なし



【青春小説部門】
「ココロコネクト ヒトランダム」/庵田定夏
でぃすけら「人格入れ替わりは定番だが、料理の仕方が非常に面白い。絵のタッチはあまり好みではないけれど、この小説には合っていると思う。」
姉楠燎原火「ロールプレイというものの面白さと危うさを再認識しました。」



【準文学部門】
「丘ルトロジック 沈丁花桜のカンタータ」/耳目口司
でぃすけら「居心地のいいバカ騒ぎ。」
山科兵庫介「ケレン味たっぷりだが、そこが好みのニッチにはまった感じ。」
姉楠燎原火「この絶妙に繋がりあうキャラクター造形がいいですね。どこまででも突き進んでいけそうですし、実際そうなってほしいです。」



【短編集部門】
「儚い羊たちの祝宴」/米澤穂信
山科兵庫介「こちらもまた、ある程度の予定調和を感じさせつつ読者を捉える筆力がある。」
雨場毒太「綺麗さっぱり全員いなくなるわけではないところにまた凄まじい後味の悪さがあるのがよい。」



【シリーズ作品部門】
「図書館戦争」シリーズ/有川浩
雨場毒太「文庫化待機主義者をしているといいこともあると思えたシリーズ。連続刊行になるので待ち時間が少なかったし、おまけ短編が補足になっていた。」
ぱやし「ホラの吹きすぎと言われつつ、何だかんだでその大ボラに現実が近付きつつあるというのがまたどうにも。」

「“文学少女”」シリーズ/野村美月
あめ~ば「このシリーズの第一作を準文学部門に選んだのは第一回のことでした。もう4年も経ったかと思うと感慨深いです。」
雨場毒太「堪能しました、の一言。」



【随筆・紀行文部門】
「ビートルズの幽霊」/葉山葉
あめ~ば「ビートルズゆかりの地の現在を映し出す興味深いルポでした。」
救済臨「ビートルズをテーマとした旅行記として楽しく読んだ。」
雨場毒太「著者なりのビートルズの解釈を試みるエッセイでもある。」
アングマールの魔人「幻想的な描写も面白いですね。」

「寝ても覚めても本の虫」/児玉清
あめ~ば「追悼企画で書店に平積みされていたので手に取ったのですが、作者の読書愛の深さに感服しました。」
雨場毒太「翻訳小説には少々疎いのだが、この本のおかげで読みたい本がいくつもできてしまった。でも読書エッセイというのはこうでなければ。」



【ノンフィクション部門】
「封印作品の謎 ウルトラセブンからブラック・ジャックまで」/安藤健二
ぱやし「ちょうど『図書館戦争』シリーズにはまった年でもあり、この本についても思うところは多かった。」
十文寺「さほど昔の話でもないのに、ここまで錯綜するものか。」
でぃすけら「最後の1トピックは当方には興味深いテーマだったけれど、全体の流れからは浮くという意見は頷ける。まだ未読の続編に期待。」



【学術・実用部門】
該当作品なし



【自由部門】
「完全恋愛」/牧薩次
十文寺「それぞれの時代背景をかすかに映しながら描かれる、波瀾の男の一代記。」
雨場毒太「大きな謎を引っ提げた骨太のミステリなのだが、ミステリの枠に収まりきらない面がある。ベテラン作家だからこそのなせる業であり、ある意味若手作家への挑戦状のようにすら感じられた。」



【好短編部門】
「目撃者」「最後の別れ」「最先端」「物件案内」「ビル業務」「秘祭」/坂木司
雨場毒太「短いながらも爽やかな「目撃者」、美しい結末の「最後の別れ」、不気味さがたまらない「最先端」、いい話なのにほんの少し居心地の悪さがある「物件案内」、着眼点の勝利「ビル業務」、ブラックコメディ「秘祭」。バラエティ豊かな作品が揃った。」
あめ~ば「どれも短編集『短劇』に収録されている作品です。同コンセプトの先行の佳作『怪笑小説』他(東野圭吾著)と比べると落ちると感じられる作品もあったので短編集部門での扱いは見送り、特に面白かったものをこちらでピックアップしました。」

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2 コメント

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うわっ!! (せぷ)
2012-01-02 10:26:27
うわっ、さすがによく読んでいらっしゃる!!
やっぱり学生さんは時間があるのですねぇ、、、などと言いつつ、自分が学生だった頃はろくに本なんて読んではいませんでしたが。笑。

悲しいかな、中年の域に差し掛かり(具体的にいくつかは口が裂けても言いませんが。笑。)、以前にも増して本を読まなくなったのですが、去年読んだ本の中では山本弘の『詩羽のいる街』などは面白かったですよ。
面白かったというより、気に入ったといったいう表現の方が合ってるかな。

あと、お薦めしてくれた『タイム・リープ』をブックオフで購入しました(薦めてくれましたよね?)。
何とか正月休みの間に読むつもり、、、なんですが、正月休みも半ば以上に終わっちゃいましたね。
今年の目標は「有言不実行」になりそうです。笑。
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Unknown (雨場毒太)
2012-01-09 01:58:35
コメントありがとうございます。年末年始から諸々を通常運用に戻すのに手間取り返事が遅くなりました。

これでも高校の頃に比べたら確実に読書量は減っているのが寂しいところ。
一週間に2冊は読むのを目標にしているんですが、なかなか難しいです^^;

山本弘は(「と学会」関連を除けば)一冊も読んだことがないのですが、ちょうど友人が一冊貸してきたので、そろそろ初体験といこうと思っております。
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