あめ~ば気まぐれ狂和国(Caprice Republicrazy of Amoeba)~Livin'LaVidaLoca

勤め人目夜勤科の生物・あめ~ばの目に見え心に思う事を微妙なやる気と常敬混交文で綴る雑記。
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第6回アメーバ裏書籍大賞

2013-01-13 14:34:15 | 書籍大賞
一年間でつまらなかった本・微妙だった本10冊を選ぶ裏書籍大賞。無事6回目の開催にこぎつけました。
選考対象は第6回アメーバ書籍大賞と同じく、2011年12月30日~2012年12月27日までに読んだ本です。

それでは、興味のある方だけ、どうぞ。

「完全なる首長竜の日」/乾緑郎
精神感応がテーマのミステリとなると、そもそも読者は相当に疑って読むのであって、そこへ時系列が目に見えてわかりづらくなっているのでは鮮烈な驚きというのは難しい。読んでいる途中に抱いたそんなイメージは裏切られないままに終わった。せめて最後の2ページは無い方がすっきりとまとまるのではないだろうか。

「午前零時のサンドリヨン」/相沢沙呼
主人公であるワトソン役はひたすら空回りし、ヒロインである探偵役の心理や行動原理はよくわからないまま。奇術少女というのが作品のコンセプトの一つであるが、ヒロインの内面が見づらくなるデメリットの方が大きかったように思う。もどかしさは青春ミステリの重要な要素だが、もどかしさばかりでもいけない。

「ロスト・トレイン」/中村弦
失踪者を追うミステリーかと思いきや純粋に現代ファンタジーである。さして長い本ではないのに、前半部分はその必要があるとは思えないミステリ仕立ての部分で占められており、本題に入ったらすぐに終わってしまう。本題は登場人物の心理に関わるのだが、最後まで感情移入はできなかった。

「ありすさんと正義くんは無関係ですか?」/わかつきひかる
読んでいるうちにひたすら続くがらんどうの部屋の中を進んでいるような気分になった。それほど中身のないラブコメ風の何かで、面白い面白くないの判断材料すらあったかどうかわからないうちに本は終わった。カステラだと思ってかじったら実は黄色いスポンジ、とでも形容すべきだろうか。

「終着駅」/宮脇俊三
好きな紀行作家であり、出版サークルメンバーとしては尊敬すべき編集者である。本書は没後に出版された未刊行作品集だが、本にならない程度の断片的なものと、本人が筆力の衰えを自覚した以降の文章を無理矢理一冊にした内容で、生茶葉と出涸らししか出ない喫茶店のようであった。まあ香典替わりにはなろうか。

「封印されたミッキーマウス」/安藤健二
この人の持ち味といえば、不屈の情熱に裏打ちされた深い取材であろうと考えている。それが余すところなく本になるためにはある程度の紙幅が必要なのだが、雑誌記事の形ではとても足りない。中には未成線の交通遺構など既往のルポがいくらでもあるものも含まれ、本領が発揮されていないという印象を強くした。

「双子と幼なじみの四人殺し」/森田陽一
ダークな雰囲気のミステリとして期待したのだが、実際は人知を超えた存在がより人知を超えた存在に圧伏させられていくのを、凡人たる読者が指をくわえて眺めるしかないという構図であった。下々の者の苦しむ様を見下ろしながら高笑いする機械仕掛けの神様に付き合う趣味は、私は持ち合わせていない。

「書店ガール」/碧野圭
働く女性をかっこよく描きたいというスタンスなのだろうと思うが、世の男にはロクな人間が一人もおらずあまねく女性の敵であるという作品世界を構築されてしまっては、いくら主人公が活躍しようと説得力もなくなろうというものである。男に限らずこの作品の登場人物は主人公の引き立て役すら果たせていないものが多かった。

「囮なめくじ長屋」/楠木誠一郎
準文学風捕物帳だが、兎にも角にも会話文のクオリティが壊滅的で、犯人などほとんど何もしゃべらせてもらっていない。そのため幕開けからクライマックスに至るまで緊迫感がまるでない。主人公の「過去10年の江戸の事件をあらかた記憶している」という特殊技能もほとんど機能しておらず無意味。

「珈琲店タレーランの事件簿」/岡崎琢磨
まず第一に、登場人物が次々と現れるのだが鬱陶しくない人物を探す方が難しい。第二に場面転換が大変に乱雑で、なおかつミスリードの効果もなく単純に読みづらいだけである。第三に、京都が舞台であるにも関わらず京都らしさというものが全く感じられない。京都生まれの人間としては最後の点は特に苛立たしかった。

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