facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

小澤征爾 指揮 水戸室内管弦楽団(1996/サントリーホール)

2024年02月19日 | pocknのコンサート感想録(アーカイブ)
小澤征爾さんの訃報を機に、このブログを始める前に書いていた小澤征爾指揮の公演の感想から、とりわけ感銘を受けたものの感想をアーカイブで紹介します。

pocknのコンサート感想録アーカイブス ~ブログ開設以前の心に残った公演~

1996年 11月3日(月)
小澤征爾指揮 水戸室内管弦楽団
サントリーホール

1. ストラヴィンスキー/弦楽のためのニ調の協奏曲
2. ストラヴィンスキー/「プルチネルラ」組曲
3. ラヴェル/「クープランの墓」組曲
4. ラヴェル/バレエ音楽「マ・メール・ロア」(優)

 噂に高い水戸室内管弦楽団の初の東京公演を聴くことができた。 サイトウ・キネン・オーケストラの小編成版と言っていいこのオケは予想通りの高い水準の演奏能力を聴かせ、予想以上の感動を与えてくれた。 管楽器のソロは宮本文昭のオーボエ、工藤重典のフルートをはじめ、どの楽器もほれぼれする巧さ。 弦はたいへんデリケートで美しく透明な響きがする。 小澤の好リードで息も付かせぬ名アンサンブルを展開する。 活き活きと躍動感に溢れ、スリリングでさえある。

「プルチネルラ」のような身軽さが求められる音楽では縦横無尽に駆け巡り、このオケにとってはお手のもの。 更に「マ・メール・ロア」では奥行きと広がりが加わり、デリケートな音楽の表情が手に取るように伝わってくる。 ふわっと舞い上がる羽毛のような感触、響きの美しさ、ソロの妙技、溢れる生命力・・・ 指揮者とオケ双方の持ち味が理想的に発揮された名演だ。 音量的には大オーケストラに譲るのは当然だが、そうした大オーケストラの大音響がもたらす迫力に優るとも劣らないクレッシェンドの盛り上がりで大きな感動を味わった。 まさに極上の演奏だった。


サントリーホール10周年記念フェスのチラシ(拡大可)

1990年に開館した水戸芸術館の専属オケとして、初代館長の吉田秀和の提唱により誕生した水戸室内管弦楽団は、国内外の精鋭アーティストが集い、吉田の呼びかけに賛同した小澤征爾が総監督を務めるスーパー室内オーケストラとして注目を集めた。小澤が室内オケを定期的に指揮することも興味深かったが、このオケを聴くには水戸芸術館まで出向かなければならず、なかなか縁がなかったところ、サントリーホール開館10周年の記念行事の一環として小澤の指揮でこのオケを東京で聴けるということで駆けつけた。この演奏会は、大阪に次いで2度目の本拠地外の公演だったそうだ。

世界的なプレイヤーを大勢擁したスーパーアンサンブルの演奏は、それぞれのプレイヤーの妙技も魅力だし、それらが同じベクトルに合わさって生まれる桁外れの勢いや躍動感は、小澤がメンバーと共に目指していたものだろう。このオケには、そうした小澤の魂がずっと息づき、益々進化・熟成していくことだろう。
(2024.2.19)

巨星・小澤征爾の訃報(小澤の感想リストあり)

pocknのコンサート感想録について
♪ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネル♪
最新アップロード:「繭とお墓」(詩:金子みすゞ)

拡散希望記事!
コロナ禍とは何だったのか? ~徹底的な検証と総括を求める~
コロナ報道への意見に対する新聞社の残念な対応
やめよう!エスカレーターの片側空け

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« N響 2024年2月B定期( パブロ... | トップ | 小澤征爾 指揮 ボストン交響... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

pocknのコンサート感想録(アーカイブ)」カテゴリの最新記事