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宇多田ヒカルがCMで登った栗沢山からアサヨ峰を歩く

2021年09月11日 | 山&ハイキング
南アルプス北部の地図を見ていてずっと気になっていた「アサヨ峰」。「~山」でも「~岳」でもない、「峰」が付く山だけど、2800メートルに及ぶ標高を持ち眺めも良さそう。

気になる山に登ろうと思ったのは去年の夏でしたが、去年はコロナの影響でこの山域はバスも走ってないし、山小屋もテント場も閉鎖され、計画倒れに。今回はその計画のリベンジ登山となりました。

アサヨ峰へは、北沢峠から栗沢山を経由するルートにしました。栗沢山をネット検索していたら、宇多田ヒカルがサントリー南アルプス天然水のCMの撮影で登った山という情報が沢山出てきました。このCM、見たことなかったので、出かける前にYouTubeで宇多田ヒカルが見て登った風景をチェックしておきました。CM動画はこちら↓

サントリー天然水 『水の山行ってきた 南アルプス』 宇多田ヒカル

2021年8月4日(水)時々

登山のスタートは北沢峠。東京からだと広河原から入るのが近いのですが、広河原と北沢峠を結ぶ林道は2年前の台風の影響で通行止めが続いています。このため、戸台方面から入ることになります。

仙流荘まで車で行き、そこから南アルプス林道バスを利用します。夏山最盛期ですがバスは空いていました。バスは南アルプス林道を、深い谷を遥か下に見下ろしながら走ります。よくこんなところに道路を作ったものだと思います。台風などで道路が寸断されてしまう過酷な自然があることも実感。運転手さんがこの辺りの地形や歴史、山々について詳しくガイドしてくれてためになりました。


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車窓からは鋸岳の険しい峰々が眼前に迫り、最初は雲に隠れていた甲斐駒ヶ岳の山頂部も見えてきました。


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北沢峠までの道は一部不通区間があり直通運転していません。鹿の沢で一旦バスを降りて10分ほど工事区間を歩き、その先でシャトルバスに乗り継ぎます。そして、仙流荘から約1時間で北沢峠に到着しました。ここはすでに標高2032メートル。空気はヒンヤリ、汲んだ水はキンキンに冷たくて気持ちいい!


今日の行程は仙水小屋のテント場までで、コースタイムは40分程度。道は歩きやすく、きつくもなく、時間にも余裕があるのでのんびり歩きました。

苔むした森・・・ ここはCMで出てきたところかな。


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仙水小屋近くの沢にかかっている橋、ここも宇多田ヒカルがヨロヨロと渡っていた橋かも・・・ と思ったので、自撮りしてみました。セルフタイマーにして短時間でこの態勢を作るのはタイヘンでした。。。



沢の水は澄んでいてマジ冷たい!

仙水小屋に着きました。小屋の前に豊富に出ている水の冷たくてうまいこと!
幕営の手続きをしていたら、小屋に泊まるという他の登山者が「今日はお一人だけです」なんて言われてビックリしてました。夏山シーズン最盛期に宿泊者が一人とは!


テント場は小屋のすぐ裏で、他にはまだ一張だけ。テントを張ってから、まだ15時過ぎだったので仙水峠まで行ってみることにしました。

仙水峠に向かう途中にこんなガレ場がありました。確か宇多田ヒカルが「#うわまじか」と呟いて登っていたところ。でも実際は、このガレ場をCMみたいに登るルートはなく、ここを横目に見ながらちゃんとした登山ルートを歩きます。けれど、真似してちょっとガレ場をよじ登ってみました。


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途中で見つけたシモツケソウ

仙水小屋から仙水峠までは約30分で着きました。ここからは甲斐駒ヶ岳がダイナミックに見えるということだけどガスに覆われていました。けれど森の手前の木々に陽光が当たって、光と色彩のいい感じのコントラストを作っていました。


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しばらくするとガスが晴れて甲斐駒ヶ岳が全容を現しました。山頂部の花崗岩の山肌が陽光に照らされて白く輝いています。


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折重なる仙水峠の大きな石の間に咲いていたオトギリソウ


甲斐駒を眺めながらコーヒーを飲み、スケッチもできました。


テント場に戻る頃、樹林帯はだいぶ暗くなってきました。


夕刻、テント場から仙水小屋越しに見えたのは仙丈ケ岳?小仙丈かな?


夕闇迫るなか、テントに明かりを灯しました。

夜、小屋の前から満天の星空を眺めました。約2分間の露光。星って意外と速く動いていることがわかります。

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2021年8月5日(木)のち一時霧

翌朝は4時前に起きて、簡単に朝食を済ませ、テントはそのままにして出かけましたが、仙水峠へ着く前に日の出となりました。



再びやって来た仙水峠で朝の日差しのなかの甲斐駒を眺めます。



中央アルプスと鳳凰三山の地蔵岳のオベリスクが見えます。


仙水峠から先は、樹林帯のなかの激しい急登が続きます。目指す栗沢山が見えないし標識もないので「いったいいつまでこの急登が続くんだ」と、先の見えない登りです。

針葉樹林帯を抜け、ダケカンバの明るい林になっても急坂は終わりません。でも、行く先の山のピークらしきものが見えるように。でもあれは栗沢山の頂上ではありませんでした。。


30分以上の急登が続いたあとは道は緩やかになり、森林限界を超えて眺望も開けてきました。

仙水峠から約1時間20分で宇多田ヒカルが登った栗沢山山頂(2714m)に到着。甲斐駒の眺めが素晴らしい!ここからだと山頂部と摩利支天が並んで見えて、絶好の甲斐駒ビューポイントです。右肩に覗くのは八ヶ岳の赤岳。


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日本第二の高峰、北岳も間近に迫ります。その奥には間ノ岳が続きます。

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CMにちなんでこれを持ってきた


そして飲んでみる


仙丈ケ岳はいつも静かで穏やかな印象を与えてくれます


スケッチは北岳方面にしました

栗沢山山頂ではたっぷり2時間近く過ごし、稜線の辿った先にピークが見えるアサヨ峰へ向かいます。この先はCMでは未踏の地です。

アサヨ峰へ続く道は、大きな石がゴロゴロしていて歩きづらいけれど、甲斐駒、仙丈、北岳など主要な峰々を常に眺めながらの山歩き、御嶽山や乗鞍岳も見えます。


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稜線歩きでの展望は抜群ですが、アサヨ峰の山頂はなかなか見えません。甲斐駒の見え方がだんだん変わってきて、山全体がピラミッド型に見えてきます。


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栗沢山を出発して約1時間。アサヨ峰の山頂直下まで来て初めて富士山が見えました。富士山をみるとやっぱり「おお!」ってなりますね。


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アサヨ峰登頂(2799m)!後ろは崖でちょっと怖い。。


歩いて来た稜線の先には甲斐駒が聳え立つ

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ここでもスケッチ。描いてる途中で鳳凰三山はガスで隠れてしまいました。

アサヨ峰山頂には1時間あまり滞在しました。この後は来た道を戻ります。

栗沢山に戻りお昼にカレーを食べていたら、ガスで隠れていた甲斐駒がまた見えてきたので、時間の許す限りこの雄姿をスケッチしました。


仙水峠への下山路に咲いていたトウヤクリンドウ。それにしても今回のコースは花が少ないのが気になります。高山植物は夏山歩きの楽しみのひとつですが、出会った花といえばこの投稿で載せたものが殆どです。


テント場に着いてテントを撤収したあと、小屋のご主人とおしゃべり。のんびりした感じだけれど、質問を向けるといろいろ話してくれました。お客さんは秋の閑散期ぐらいしか来ないこと、その大きな原因は、コロナに加えて「バスが歌宿までしか運行されない」という誤った情報が流れてしまったことにあるということ。民営の山小屋はこれでは存続が危ういと話していました。

花が少ないのは、鹿が花の芽を食い尽くしてしまうせいだそうです。近年、鹿が高山帯まで登ってきて高山植物の芽を食い荒らしてしまうことは多くの山域で問題になっていますが、ここまで深刻な状況だとは。柵を設置したけれど時すでに遅しとのこと。この山にまた花々が咲き誇るようになる日が来るのでしょうか・・・



小屋のご主人と長話してたら出発しようと思っていた時刻を過ぎていました。。北沢峠発15:50の最終バスに乗るのでさっさか下らねば!

天然の生け花のよう

今回のルートは、コースの目印に岩や木の幹にペンキのマークがなく、枝に下げられたリボンが頼り。ペンキは目立つけれど、自然を大切にするという意味で敢えてやっていない気がしました。


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上りと同じ道を下ったわけだけれど、沢を徒渉したあとのルートが見つけ辛かったり、間違ってしまったりして少し焦りました。下りではルートを外れないよう注意が必要です。


木のうろから動物が顔を覗かせているようですね!

北沢峠のバス乗り場に着いたのは発車時刻の5分前。結構なギリギリ。。。楽しめる時間はできる限り長く使いたいという性分から、いつもこんな感じ。でももう少し早めに行動したほうがいいと今回も反省。バス乗り場で「ギリギリでした~」と云ったら、「様子を見て走らせてるので大丈夫ですよ」と運転手さん。でもね~。

天気にも恵まれて比較的ラクなコース。大自然のなか、マスクも必要なく(山で出会った人は言葉を交わすときも100%ノーマスクでした)、コロナも忘れて楽しい山歩きができました。このあとは仙流荘に泊まって、ビールに美味しい山の幸をいただき、ったりと山の余韻を味わいました。

翌日は駒ケ岳ロープウエイを使って中央アルプスを歩く予定。だけど車がタイヘンなことになり、出発できない事態に!

愛車、マーチくんのブレーキランプが!!

《歩行タイムデータ(休憩を除く)》
1日目
北沢峠→(0:09)長衛小屋→(0:41)仙水小屋→(0:31)仙水峠→(0:34)仙水小屋テント場
2日目
仙水小屋テント場→(0:42)仙水峠→(1:22)栗沢山→(0:59)アサヨ峰→(0:48)栗沢山→(0:45)仙水峠→(0:31)仙水小屋テント場→(0:34)長衛小屋→(0:11)北沢峠

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東京を離れて自然のなかへ出かけよう!


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第1行進曲「ジャンダルム」、トリオ「森の詩」ほか
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