たしたりひいたり

+-2 gallery (プラマイツギャラリー)
の店主が綴る日々の出来事、コラム

「我輩の猫である」 夏乃胆石

2005年09月05日 | たしたりひいたり
 入院生活とは規則正しいものである。朝の5時には廊下の明かりが点き、
眩しくて目が覚め、またウトウトしても6時になると「検温です」って
マイクから看護師さんの声がし目が覚める。毎日決まった時刻に食事をし、
9時には消灯。単調な日々の中で過ごした2週間の、今まで綴ってきたものを
もう一度読み返せば順序が逆だったり、思い違いをしていたり・・・

で、私の場合、管からチュチュっと出せるような石じゃあなかった。
相当強い意志、いや石だったので、痛みも強かったし胆嚢自体もイカれていて、
切腹!となったのだった。あはは

入院から4日後手術。正直日にちが決まってホッとした。
さっさと切ってもらって痛みとさよならしたかった。
さよなら胆嚢君・・・

当日、昼過ぎから準備に入る。浣腸あり、剃りあり、どんなカッコイイ男も
キレイな女性も、手術となったら皆いっしょ。覚悟が必要である フフフ
お世話してくださった看護師の方は 若くてすごくカワイかった・・・ああ
正に地獄の喜びとはこのことである。

手術室、独特の雰囲気。周りに医師、看護師が数名、こっちはひとり
孤独な気もするが手術となったら皆いっしょ。

いつ始まりいつ終わったのか、わからない。
気付いた時には、夜中に運び込まれたICU。特別室じゃあ もちろんなかった。

息が苦しい。声も出そうと思っても出ない。口にはめ込まれたプラスティック
の、なんだ?これは、いだいでふ ひへほ 思いは誰にも届かない・・・うう

顎を上げ、真上を見れば、小さな窓から伺える外の気配。暗い、まだ夜か?
朝にならなければ、この状態から解放されない気がして、ひたすら明るくなるのを
願った。

外しますよ、と声がし、鼻に入れられた管が取れ、猿ぐつわ・・・
(じゃないんだけど、そう思えた)もなくなり少し楽になった。

ちょうどその時カミサンが来ていて、何人もの看護師が慌しく動き回り
看護が集中している患者を見、きっとあの方は容態が急変したのかも・・・
と思いながら、はて、ウチのやっかいな亭主は・・・と探したらしいが、
オレだよ!

麻酔のせいもあるだろう、いつ眠りまた起きたのかもよくわからないまま
ぼんやりしていると、窓の向こうが明るい。
朝か?どうやら朝。ベッドで体を拭いてもらい(何から何まですみませんねえ)
歯を磨き、ようやく病室に戻る。 やれやれ 終わったのか

その日から2日間、夢また夢のオンパレードだった(言い方 古い?)

つづく

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「我輩の猫である」 夏乃胆石

2005年09月03日 | たしたりひいたり
 入院2日目、エコーやMRIの検査を受ける。検査中は痛みも和らいでいて
少し楽だったのだが、地獄の苦しみは夜中にやって来た。

病院の夜は早い。9時消灯・・・通常なら夕食中または一杯飲んでいる時間。
点滴を受けながらなので空腹感はないが、ほとんど動かずに横になっているので
苦痛でしょうがない。そこに例のじっとさえしていられない痛みが再び襲ってきた。
真夜中、あまりのつらさに何度も看護師を呼ぼうと思うのだが、その度
(こんな時間に呼ぶのもなあ)と遠慮する。しなくていいんだけど

結局、1時から3時頃の間に3回呼んだと思う。
今の段階では痛み止めは打てない、と言う看護師も観念?し施してくれた
のだが、痛みは和らぐことはなかった。

ようやく朝を向かえ、内科医の担当の先生から治療の話を聞く。

「治療法は2種類あります。一つは右横から管を通し、石を取り出す、これは
傷跡も目立たないし、回復も早い。しかし、術後3~4週間は管を通した
ままで、横に袋がぶらさがってます。」

(退院しても、袋付き・・・これはいやだなあ)

「もう一つはお腹切って・・・」

ああ、もう腹切って下さい。面倒だし

とは言ったものの、袋付きでも復帰が早いほうがいいかも知れん、袋は
邪魔だが・・・ウーム。じゃあいいや、袋付きで、と答え、翌日管刺しの刑が執行。 ヒー

ベッドに横たわったまま、手術室に運ばれる。ああドラマのようだ
誰も、駆け寄って名前を呼んだりしないが・・・

3、4人に抱えられ手術台に移される。裸の胸に何やら刷毛のようなもので
ぺたぺた塗られていたかと思うと、右横からカメラ内臓の管が差し込まれる。

ああ、タレを塗られ、横から串刺し・・・うなぎの蒲焼になった気分だ、うう

はい、見てください、って言われたと思う。
右上に首を向けると、内臓が写っている。もっと楽しいもん見せてくれ
心の叫びはもちろん誰にも届かなかった。


つづく

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「我輩の猫である」 夏乃胆石

2005年09月02日 | たしたりひいたり
 特別室に横たわり、首を少し右に向けると窓から空だけが見える。
いつの間にか少し眠り、目を覚ました時、その事に気付いたのだった。

少し眠り窓外に目をやると、その度雲のカタチが変わっていて、また空の
色も薄いグレイだったり、また淡いブルーだったりした。
晴れたり曇ったりしながら時が過ぎていったと、眠り、目覚めの繰り返しの中で
感じていたのだが、それは、明け方近くから明るくなるまでの僅かな時間の
流れの中に身を置いていただけにもかかわらず、丸一日そうして過ごしたか
のように錯覚していたのだった。
今はいったい何時なのか、それがとても気になったりした。

胃の痛みは既に薄れていて、こんな風に寝たり起きたりしていて
いいものだろうか、いつまでここにいるのだろう、と考えていた時、
一般病棟に移ると聞かされ、4人部屋の一つのベッドに横になった。
入院・・・初めてのことで、見舞いにしか訪れることのなかった病室で
自分がこうして点滴を受けながら、殺風景な天井を見つめていることに
不思議な気がし、すぐには患者としての実感さえ持つことができなかった。

こんな病室はオレには合わんな・・・早速院長を呼び、模様替えをしよう
と意気込んだが、実行しなかった(当たり前ですう)

備え付けのテレビ台、3段のボックスなど撤去し、昭和初期の医療棚を
運び込み、それに着替えやタオルを収める。それぞれのベッドを仕切る
カーテンはデッドストックのヴィンテージリネンに換え、点滴のバーも
古道具屋で見つけた昭和初期のものを使用。
お馴染みのスチールパイプの折り畳み椅子は使い込まれた丸いすに・・・

そんな訳のわからないことばかり考え続け、ただ時間を浪費しているのは
おもしろいような、それでいてあまりに寂しいような気がした。
そして、そんな時間を過ごさなければならないのが、この先まだまだ続く
などとは夢にも思っていなかった。

つづく

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「我輩の猫である」 夏乃胆石

2005年09月01日 | たしたりひいたり
 カミサンがどこかの病院に電話をかけている間、こうのすけの視線を
感じつつ、着替えを済ませ病院に向かう。
病院に着いたのは午前2時前だったか。しばらく待たされた後診察室へ。

11時頃から胃が痛み背中までの鈍い痛みに耐えかね来ました・・・ハアハアハア

早速点滴開始、今回は点滴ってえ天敵、なーんてバカな考えは浮かびもせず、
レントゲン、CTと検査を受けたあとベッドで横になっていると、先生が入ってきて
奥さんにも聞いてもらいましょうか?と聞く。冷や汗タラリ

「胆嚢に石があります。もう少し検査をしますので・・・」

入院か? 入院しました、その日に。

石って、薬飲んで流しゃあいいんでしょ?ね?

考えは甘かった・・・

その後、車椅子に乗せられ向かった先はICU集中治療室
えらいことになってしもた・・・まさしくトホホ
4時前にカミサンが帰り、ICUの一番奥、扉に特別室と書かれた部屋の
ベッドに横たわりつつ、ろくに眠ってもいないのに眠れないまま
(特別室・・・か? フフ やっぱり扱いが違うな、オレは)と考えた。

しかし、よくよく考えてみれば特別って違う意味か?あたりまえだ


つづく


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする