たしたりひいたり

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の店主が綴る日々の出来事、コラム

「我輩の猫である」 夏乃胆石

2005年09月06日 | たしたりひいたり
 手術後、ICUから病室に戻り、その日から2日間・・・いや翌日から
2日間だったか、記憶が確かではないのだが(忘れっぽいなあ)
夢また夢を見続けた。昼間も体力を消耗しているのかウトウトすることが
多かったように思うが、あのBGMは聞こえなかった。あのBGM・・・
9時の消灯後、静まり返った病室で目を閉じた時音楽が聞こえてきた。
なんだ?いや、自分だけにしか聞こえないのか?壁一枚を隔てた隣の病室から
聞こえてくるのかと壁に耳を当ててみたがそうではない。
再び枕を整え目を閉じると聞こえてくる。男性のヴォーカルに聞いたことのない
スローなリズム。気味悪く思いながらもなす術もない。
いつしか眠った。すっと眠りに堕ちていく感じ。途端に物語が始まる。
その展開が好ましくない場合、目を開ける。眠っているはずなのに夢をみている
ことを自覚し、筋書きが気に入らない場合目を開け目覚めればよい。

こんなことってあるかな、不思議な気もしつつ随分いろんな夢を楽しんだように
思う。BGMもあるし

2日目夜、消灯時間が訪れ、目を閉じる。途端に聞こえ出すBGM
今日もか、よくよく聞いてみると、ちゃんと終わりがある。男性ヴォーカルの
声が少しづつ小さくなっていき、拍手が聞こえる。
ああ 終わった・・・そしてまた始まる多分同じ曲 うーむ 困ったもんだ

しかし、さあ、今日も楽しい夢を・・・
いつもと気分が違った。ゆったりした気分でもあり、暑くもなく寒くもなく
実に心地良い。目を閉じた瞬間、平面的な暗闇ではなく、奥行きがあり
広がりさえ感じられる。いままでにない体験をしたようだった。
目を開けてみる。今日はおもしろくなりそうな予感がする。
再び目を閉じる、先程と同じ広がりある暗闇の空間の奥にテレビの画面の
ようなものがあり、映像が映る。そして、左右両隣に二人づつ、男が椅子に
腰掛けこちらと画面を見たりしている。日本人ではない、色の黒い中年の
男達で、酒を飲みながら談笑している。
誰?この人たち・・・もう夢の中にいるはずだが、意識は覚めていて自身の
おかれた状況がよくわからない。

正面にある画面を見つめると、説明のしようがない様々な映像が映っては消え
映っては消え、確かに眠っているはずで夢をみているに違いないのだが
そんな状況を楽しんでいる自分がわかる。
暗闇から一転明るくなったと思った時、眼前に大きく広がったのは実に
壮大な山の景色だった。何処かの山の頂に立っているのか、それとも
空中に浮かびながら見ているのか、木々の緑と山肌の土の色、きっとどこか
外国に実在するのではないのか、この勇壮な景色は。
しばらく見惚れたと思う。そうして次は人、人、人、老若男女が歌い踊る、
これまた素晴らしい眺めだった。

つづく


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