たしたりひいたり

+-2 gallery (プラマイツギャラリー)
の店主が綴る日々の出来事、コラム

梅次郎と春子

2006年03月04日 | たしたりひいたり
梅次郎は電車のドア横に立ち、窓外をぼんやり眺めながら、
去年のあの日を思い出していた。(桜梅桃李 2005 5月19日参照)
春子は最後にもう一言何か言いたかったのではないか・・・
オレが夏子のナイスバディに見惚れたばかりに、呆気ない別れ方に
なってしまった。
夏子のビキニに目が行ったあのニヤケ顔を見て、さみしいような
アホらしいような気分になって、そそくさと姿を消したのではないか?
もう会えないのか?

3月、肌寒いが確実に春だ、オレの出番だし、春子の出番のはずだ。
プラマイツの店主、ていうか管理人は何をしているのだ?

梅次郎がそんな考えに行き着いた頃、電車は駅に止まり、通過列車の
待ち合わせの為2分ほど停車すると車掌が告げた。

その時、一つ前のドアから乗り込んだ女が一人。
つい目が行く梅次郎。彼女はつり革を持つと片手で文庫本を開いた。
いい色のスーツだな、と思う。コットンで洗ってあるのか、馴染んだような
風合いとシワの感じも自然で好ましい。足元はキャンバスにレザー使いの
ブーツか・・・キレイな色のシルクらしいプリントのストールを捻って
巻いた襟元にくたっと柔らかなレザーの雰囲気のあるショルダーバッグ。
俺の好みだなあ~ ニンマリする梅次郎だが、次の駅で降りるまで
彼女が春子だとは気付かないのだ。

つづく・・・・(いつかまた)

コメント
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