その４１６．娘

長女と次女と私の３人で久方ぶりに飲んだ。
肉好きの長女のリクエストに応えて焼肉を食べたが、
アラサー女達のよく喰うこと。
しかも喰っては呑み、呑んでは喰う。そして喋る。
私は女子会に紛れ込んだ死にかけの狼だ。

その長女が連休にロシア旅行に行くと言う。
シベリア超特急に乗るのだとか。あんたは水野晴郎か？
そういえば私の取引先の女性担当者も
モロッコの青い街に行くと言ってたなぁ・・
平成女子は親の心配もよそに冒険家だ。
勇猛果敢、支離滅裂。
くれぐれも「ご安全に」と
石焼ビビンバを頬張る長女の横顔に独り言。
私の両親も私に「ご安全に」と呟いていたのだろうなぁと
親になり親の気持ちがわかる。

同じ娘なのに長女と次女は性質も生態も異なる。
男から見て、どっちと結婚するかと問われると・・・
「足して２で割る」位でちょうどいい湯加減なんだがなぁ。
どちらと結婚していただてもいいけれど、
付き合うという入り口で躊躇されては先がない。
容姿は並だが、気は上ハラミ。
ナヨナヨの平成男子にはちと荷が重い(笑)
父の私ですら恐ろしくて「結婚はまだか」と聞けない。
どうやら二人共、結婚する気はありそうだ。
いい男がいない！とブーたれながら
追加のロースとバラを頬張っている。
私は焼き係。焦げないように丁寧に焼き上げる。
いつもながら職人ワザだ。

二次会はショットバー。
見かけはショットバーだがプラス１曲１００円で
カラオケが歌える。さすが西九条。
この店構えならジャズが流れていても良さそうだが
TV「後妻業」のテーマ曲（エレカシ）を熱唱するオバサンの
トイメンに陣取り、ハーパーの水割りを注文。
Ｗ主演の木村佳乃を思い浮かべながら
オバサンを見ていたら娘から一言
「お父さんは女を見る目がない」
まるで私の女性遍歴を見てきたように言ってのける。
君達は男を見る目があるのかと問えば
「あるからいまだに独身」と涼やかに答える。
オソロしや平成女子。
くれぐれも「ご安全に」。